Netflix映画『グッド・ナース』(The Good Nurse)はアメリカの医療現場で実際に起こった事件を基に、人間の狂気と闇を描いた物語!
ジェシカ・チャステインとエディ・レッドメインというアカデミー賞受賞コンビが主演を務めます。
作品情報・キャスト・あらすじ・見どころ、ぶっちゃけ感想・評価、もとになった実話の考察
ストーリーネタバレあらすじ解説、を知りたい人向けに徹底レビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
作品についての視聴者・口コミアンケートも投票お願いします↓
Netflix映画『グッド・ナース』作品情報・キャストと演技の印象
原題:『The Good Nurse』
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス、社会問題
監督:トビアス・リンホルム
脚本:クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
原作:チャールズ・グレーバー「The Good Nurse: A True Story of Medicine, Madness, and Murder」
登場人物・キャスト紹介
©︎Netflix
ジェシカ・チャステインは『タミー・フェイの瞳』(2021)でアカデミー賞主演女優賞を獲得した超実力派!ブラッド・ピットやショーン・ペンと共演した『ツリー・オブ・ライフ』なんかも有名ですね。
個人的には非合法ポーカークラブを運営する女性を描いた『モリーズ・ゲーム』なんかも好きです。
エディ・レッドメインといえば『ファンタスティック・ビースト』のニュート役。『博士と彼女のセオリー』(2015)でアカデミー賞主演男優賞を受賞しています。
Netflix作品では社会派の『シカゴ7裁判』にも出演。
なんと主演女優賞と主演男優賞のコンビなんですね。
エディ・レッドメイン演じる看護師チャーリーと、ジェシカ・チャステインが演じるエイミーは実在の人物をもとにしたキャラクターです。
ちなみに病院側の責任者を演じたキム・ディケンズは『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』シリーズのマディソン役で有名。
あらすじ
パークフィールド記念病院の夜勤看護師エイミー(ジェシカ・チャステイン)は、健康保険など社会福祉の適応を受けるために心筋症と呼ばれる病気を抱えながらも仕事に励んでいた。
家に帰るのは朝方なので2人の娘は育児ヘルパーに任せきりだ。
ある日チャーリー(エディ・レッドメイン)という看護師がエイミーの同僚として配属されてきた。
チャーリーは気が利いて仕事ができる人物で、エイミーは彼とすぐに仲良くなる。
エイミーが病気だと知ったチャーリーは、エイミーの娘の世話なども手伝ってくれた。
ある日、回復途中にあったはずの老女アナが突然死亡。担当していたエイミーはショックを受ける。
アナは不審死とされ、火葬されてから7週間後にようやく警察に通知が行き、ブラウンとボールドウィン刑事が調査に乗り出した。
しかし病院側は一流の弁護士を雇い、必要なデータを警察に渡さないなど、隠蔽を図っているようだ。
ブラウン刑事は看護師のチャーリーに住居侵入罪で逮捕された過去があることを突き止めた。しかし、チャーリーが以前勤めていた病院に電話をかけても、皆彼のことを話そうとしない…。
ネタバレなし感想・海外評価
いろんな事件が勃発してハラハラドキドキ!というタイプでなく、鑑賞中に冷たい何かがひたすら心に触れてくるような作品です。
ジェシカ・チャステインとエディ・レッドメインの演技もものすごく見応えがありますし、実話がもとになっているのでリアリティも抜群です。
Netflixのドラマシリーズでは『ダーマー』や『ザ・ウォッチャー』などが世界中でランキング入りしました。実話をもとにした作品が流行っていますね。
Netflixドラマ『ザ・ウォッチャー』(The Watcher)は、郊外の素晴らしい邸宅を購入して引っ越してきたある家族に謎の人物から“監視している”と手紙が届くサスペンス! ナオミ・ワッツとボビー・カナヴェイル主演で全7話です。 […]
おすすめ度 | 82% |
人間の狂気 | 95% |
ストーリー | 78% |
IMDb(海外レビューサイト) | 7.1(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 78% 一般の視聴者 84% |
メタスコア(Metacritic) | 66(100点中) |
※以下、Netflix映画『グッド・ナース』のストーリーネタバレありなので注意してください!
Netflix『グッド・ナース』ネタバレ感想・評価
エディ・レッドメイン演じる男性看護師チャーリーが裏で患者を殺していたとあきらかになる過程が淡々と描かれます。
ストーリーの起伏はないにも関わらず、画面から漂う緊張感、エディ・レッドメインとジェシカ・チャステインの演技に引き込まれました。
エディ・レッドメインは姿勢が悪いサイコパス看護師を完璧に演じていましたし、ジェシカ・チャステインが彼の狂気に気づいてだんだん焦り出す感じも最高。
演技のケミストリーがありました。恐らくこの2人でなく演技が微妙な役者が演じていたら凡作になっていたことでしょう。
2人のアップやジワジワ映すシーンが多いのですが、演技力が高いためずっと見ていられた印象です。
ストーリー展開も最適解だったと思います。
患者の殺人に及んだチャーリーの狂気的な面をずっと見せず、チャーリーは終盤の尋問で感情を爆発させるように「I can’t (答えられない) !!!!」を連呼します。
しかし最後の最後まで彼の犯行動機はわからないままです。得体の知れない人間性を見せられ、背筋の凍るような怖さを感じました。
仮にチャーリーの異常性をもっと強調するようなプロットだった場合、凡庸なサスペンスになっていたかも知れません。
チャーリーの人間性や動機が不明瞭なところから底知れぬ恐怖・深淵が感じられる素晴らしいコンセプトです。
ナースは患者の心や体を直接ケアするのが仕事。患者と1番近い立場にあります。
そんなナースが笑顔の裏に狂気を持っていたらと考えると恐ろしくなりました。
実在のチャールズ・エドモンド・カレンは、本人が語ったぶんだけで29人を殺害。実際は400人以上の殺害に関与している可能性が指摘されており、シリアルキラー(連続殺人鬼)の中でも殺した数でいえば全米トップです。
日本でも2018年に患者の点滴に界面活性剤を入れて殺害した容疑で看護師・久保木愛弓が逮捕されています(20名ほどの死関与している可能性)。
看護師が心の闇を抱えている場合、その気になれば無尽蔵の殺人が簡単にできます。(もちろんほとんどの看護師は善良な人です)。
この事実こそが恐怖そのものでしょう。
しかも本作で指摘されていたように、医療の知識がある看護師のやり口は巧妙で発見しずらく、病院も評判のために隠蔽しようとします。
実話・元ネタの事件 考察
チャールズ・エドモンド・カレンはアメリカ・ニュージャージー州で1988年〜2003年までに多数の患者を殺してきた実在のヘルスケア・シリアルキラー(医療従事者の連続殺人鬼)です。
「死の天使」や「ナースキラー」の異名も持っています。
被害者の数は確定しているのが29件。推定では300〜400人を手にかけていたようで、殺害の人数でいえばアメリカ史上最悪の殺人鬼。
劇中で語られていた通り、点滴にインスリンやジゴキシンを混入して殺害していたようです。
映画の結末でも語られていた通り、チャールズ・カレンがなぜこのような犯行に及んだかは究明されていません。
チャールズは幼い頃に父親を亡くし、いじめに遭い、9歳で自殺をはかり、10代の頃に母と妹を交通事故で亡くし、米国海軍に入隊するも精神的な問題のために除隊し、その後ナースになったという悲惨な経歴を持っています。
専門家ではないですし、実在の事件に対しての考察は慎重にならなければならないので突飛なことは言いませんが、幼少期〜青年期にかけてのトラウマを抱えていたことは明らかです。
なぜ彼は患者を殺す衝動に駆られたのでしょうか。
生殺与奪を手中にした優越感か、苦しむ姿を見て悦に浸っていたのか。トラウマがなぜ患者を殺害する方向へ行ってしまったのかは分かりません。
劇中では「誰も僕を止める人がいなかった」という非常に恐ろしいセリフが印象的でしたが、本人の人間性と社会システムの欠陥の両方を提示するにとどめられています。
彼の心を完全に解読することはできません。
しかし客観的に見れば精神的に完全に屈折した人物が仕事をする能力や、発覚が困難な殺人をする頭脳を持ち合わせていたことが大きな問題を引き起こしたのは確かです。看護師という職業を選んだのも最悪の偶然としかいえません。
医療体制や社会システムの欠点を象徴したのがチャールズ・カレンの事件だといえるでしょう。
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