映画『ダウン・バイ・ロー』ネタバレ考察・ラスト感想!あらすじや意味解説,キャスト評価

  • 2024年3月21日

映画『ダウン・バイ・ロー』(原題:Down by low)は、アメリカインディーズ映画の巨匠と呼ばれるジム・ジャームッシュ監督作品。

モノクロでゆるゆるな、オフビート・ロードムービーだ。

あらすじをネタバレありで解説したあとに、意味不明な印象も受ける本作の魅力について存分に語っていく。

ダウン・バイ・ローの言葉の意味

『ダウン・バイ・ロー』(Down by Law)はスラングで、親しい兄弟という意味。もっと詳しくいうと、命を懸けて相手を守るくらいの間柄ということ。刑務所などで使われはじめたようだ。

ザック、ジャック、ロベルトが、短いながらもお互いを支え合ったストーリーにピッタリのタイトル。

『ダウン・バイ・ロー』ネタバレ考察/映画でありアート作品

 

ダウン・バイ・ローは、ストーリー自体が大きな意味を持った映画ではない。受け身で観てしまうと、あまりのゆるさに肩透かしを食らったと思うだろう。

結論を先に述べると、本作はシーンの意味は観ている人が自分で考えろ!という映画なのだ。アート作品に近い映画といえばわかりやすいだろう。

笑うところも、感動するところも人それぞれ。好きな場面は自分で見つけよう!そんなメッセージが込められている気がする。

映画パラサイト半地下の家族を観て、話の意図がわからない!という人は少ないだろう。しかし、ダウン・バイ・ローは受け取る側が自分で判断しなければ、オチのない意味不明な映画になってしまう。

映画『ダウン・バイ・ロー』解説/社会へのアンチテーゼ(ネタバレ)

 

ダウン・バイ・ローの登場人物、ザック、ジャック、ロベルトの共通点は何だろう。それは将来のことを深く考えないことだ。

深く考えずに仲間に騙されて捕まり、先のことなんか完全に行き当たりばったり。映画を見た人ならわかるだろう。

ロベルトに至っては、脱獄したばかりでとどまれば捕まる可能性が高いにもかかわらず、ニコレッタと一緒になるという、ノープランっぷり。

しかし人が生きるとは、本来ノープランでよいのではないだろうか?

資本主義の競争社会になり、将来のプランを立てて生きるのが当たり前の世の中だが、その生き方は本当に正しいのか?

ダウン・バイ・ローは、そんな痛切なアンチテーゼを投げかけている。

深く考えていなくても、人と人が友達になって助け合う過程は、ただ尊くて美しいのだ。

ジム・ジャームッシュ監督は、ダウン・バイ・ローでそんな瞬間を切り取りたかったのだろう。

『ダウン・バイ・ロー』感想・評価まとめ

 

ジム・ジャームッシュの才能と、レジェンド歌手であり俳優のトム・ウェイツとの化学反応が随所に垣間見えた映画がダウン・バイ・ローなのだ。

のちに『ライフ・イズ・ビューティフル』の監督、脚本、主演を務めたロベルト役のロベルト・ベニーニの演技もスパイスが効いていて面白い。

稼ぐための商業映画と対極にあるようなダウン・バイ・ローを観て、自分なりに何かを感じることができたなら、何気ないシーンが持つパワーに気づけた証拠かもしれない。

↓映画『ダウン・バイ・ロー』のあらすじラスト結末解説は2ページ目へ↓