漫画『今際の国のアリス』の続編である『今際の国のアリス RETRY』(全2巻)のストーリーネタバレあらすじ解説、ウサギが発したラストシーンの意味、全体のメッセージをわかりやすく考察してみました。
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『今際の国のアリス RETRY』ネタバレ/ハートの9 地球侵略
(※コミック1巻と2巻の内容をまとめています)
アリスが再び今際の国へ
『今際の国のアリス』で隕石の衝突による臨死体験から帰還して8年後。
公認心理士(カウンセラー)として忙しい日々を送る有栖良平(以下アリス)は出産間近の妻・ウサギに会うために病院までの道を急いでいた。
そのとき道で巨大な看板が落下し、アリスは下敷きになりそうな人を助けようとして巻き込まれてしまう。
気がつくと草木に覆われた渋谷のスクランブル交差点にいた。
アリスは8年前に隕石の衝突事故での臨死体験できた場所だと記憶を思い出した。
アリスは再び今際の国に来てしまったのだ。
東京スモールワールドというテーマパークだけ明かりがついていた。
アリスは建物内に入り、置いてあるスマホを取る。
他のメンバーも何人かおり、アリスはこれからデスゲームが始まると確信。
ウサギと生まれてくる赤ちゃんのために、必ず生きて帰らなくてはならないと思った。
建物内ではすでに1人がバラバラ死体で死んでおり、他の参加者が叫んでいる。
ゲーム参加者は全部で6名↓
- アリス
- 鬼頭正嗣(キトー マサツグ)|救急救命医
- 尾上 七瀬(オノウエ ナナセ)|キトーと同じ病院で働く看護師
- 堀川譲(ホリカワ ユズル)|保険会社の役員
- 堀川向日葵(ホリカワ ヒマリ)|ユズルの娘で保育士
- 大河直倫(タイガ ナオミチ)|入れ墨を入れた若者
地球侵略のルール
ゲーム「ちきゅうしんりゃく/地球侵略」の開始がアナウンスされる。
ルール概要
- プレイヤー同士スマホで、LIFEカードと1枚のDEATHカードをやり取り
- そのターン(ホール)でLIFEカードを1枚もらえればシェルターに入れる
- シェルターに入れなければ宇宙人からの攻撃を受けて死亡
- DEATHカードはLIFEカードを1枚無効化できる→シェルターに入れない
補足的な要素
- LIFEカードは1ターンに1回しか使えない
- 最終6ホールまでに7枚のカードをすべて使い切らなければならない
- シェルターはターンごとに人数マイナス1個しか用意されておらず、誰が死ぬか選ばなければならない
- カードは宇宙人の侵略で死んだもの以外に与えることができる
要はプレイヤー同士でLIFEカードを交換すればシェルターに入れますが、シェルターの数が参加者より少ないので、1ターンに1人は必ず死人が出るゲームです。
アリスたちは最終ターンで最後の1人になった人物しか生きられないと悟ります。
つまりチームを組んでLIFEを交換しあえばOKと思いきや、最終的に1人しか生き残れないのであれば、結局は途中で相手を裏切らなければならないのです。
ゲーム開始〜中盤
第1ホール(第1ターン)・シェルター6つ
みんなでLIFEを交換し合い、6人全員生存。
第2ホール・シェルター5つ
タイガは看板が落下する少し前に、ドラッグを買う金をカツアゲする際に相手を刺し殺した危険な人物だった。
タイガはみんなで話し合ってそのターンで誰が生き残るか決めようと提案したキトーらにブチ切れ、ナイフを出す。
キトーはタイガをなだめるため、トランプでのくじ引きで死ぬ人を決めようと提案。タイガが1番低い数字を引くようにイカサマをする。
死にたくないタイガはナイフでユズルを刺す。しかし暴力行為は禁止されているため、空からのレーザーで右腕を失って痛みで叫んだ。
タイガはシェルターに入れず死亡。
第3ホール・シェルター4つ
次のターンで瀕死のユズルは自分が死ぬことを選択し、みんなに裏切りや殺し合いのゲームにしないでほしいと言う。
ナナセはユズルの考えを尊重して彼にDEATHカードを送り、他の人物にDEATHカードを使う可能性を放棄した。
第4ホール・シェルター3つ
ヒマリはキトーのイカサマを知り、タイガがナイフを出して死んだのはキトーのせいだと考えてDEATHカードを送る。
ナナセは救急救命士としてこれまで尽力してきたキトーにLIFEを送る。ナナセはキトーからLIFEをもらった。
アリスとヒマリはLIFEを交換し合う。
ラスト結末
第5ホール・シェルター6つ
なぜかナナセでなくキトーが生きていた。
キトーはナナセにLIFEを与えなかったのだ。
キトーは最初に入り口で死んでいた人物が、持っていたスマホを使用していた。
入り口の死体はレプリカで、宇宙人の侵略で死んだわけではないのでゲーム上は生きており、キトーはそのスマホを使ってLIFEをやり取りして助かっていたのだ。
アリスはキトーからデスを受け取り絶体絶命のピンチ。
しかし、死体のスマホがあれば、全員がDEATHカードを死体に送れば全員生き残れたと考える。
シェルターの定員表記は第1ホールこそ1名だったものの、第2ホール以降は定員が2〜3名だと気づく。
つまり、最初から全員で生き延びられる選択肢のあるゲームだったのだ。
キトーは同僚のナナセを裏切ったことを激しく後悔した。
キトーはアリスの提案をのんだ。
アリス、キトー、ヒマリは死人のスマホも使って3人にLIFEカードが1枚ずつ残るように調整し、シェルターに入ってクリア。
最終第6ホール・シェルター6つ
キトーは自分はゲームをクリアして生き延びる資格はないと思ったが、ヒマリから医者としてこれからも多くの命を救えと言われ、生存を決意。
3人でカードを交換し、ゲーム「ちきゅうしんりゃく」をクリアした。
「こんぐらちゅれいしょん」が表示され、アリスたち3人は現実へ帰還。
アリスは病院で目覚める。この病院に陣痛のウサギも運び込まれていた。
女の子が生まれており、アリスはただいまと言って涙を流す。
『今際の国のアリス RETRY』考察(ネタバレ)
RETRYのメッセージ
『今際の国のアリス』と続編『RETRY』の大きな違いは、殺し合いだけが生存のルールではないというメッセージでしょう。
テーマが明確に違います。
少し飛躍しますが広い視点で考えれば『今際の国のアリス』は人数を減らしあうしかない資本主義の欠点を、『RETRY』はお互いに何かを与え合えば生き延びられるという希望を伝えていたような気がします。
ちょっとむつかしい言葉を使えば、資本主義から贈与論(互いに与えあう)による経済に移っていこうぜというメッセージが込められていたのではないでしょうか?
ラストの意味:ウサギの言動
出産を終えたウサギはやってきたアリスに「また寄り道してたの?」といっており、「また」という言葉が強調されていました。
ウサギはもしかすると8年前にアリスと今際の国で過ごしたことを覚えているのかもしれません。
もしくは出産で生死の境をさまよって自身も別のゲームに参加して帰還し、その記憶を保持しているのか…。
ルールの後出しという反則技
別に漫画に明確なルールはないですが↓
- 死体がレプリカで死体のスマホを使えた
- シェルターに2人以上入れる
この2つは後出しかつ反則的でした。
(シェルターの数と、収容人数がキレイに反比例するのも第4と第5ホールだけですし)
最初でルールを提示しておきながら、漫画を読みすすめていくうちにルールが追加された格好だからです。
ただそのぶん、ナナセが生き残ったと思ったらキトーが生きていたという意外な展開が楽しめたのでよしとしましょう。
小さい事故には規模の小さいゲーム
今回は看板の落下事故で被害者6名という少ない人数だったからか、ゲームもハートの9の1回だけで、それをクリアすれば生還でした。
8年前の隕石衝突は被害者数が甚大だったので、ゲームの回数も規模も大きかったのでしょう。
つまりは事故の規模とゲームの規模は比例するのかもしれません。
また、アリスは今回は心肺停止の臨死体験ではなく、意識を失っていただけでした。
生死の境をさまような重いパターンだけでなく、さまざまなパターンで今際の国へ行けるのですね。
『今際の国のアリス RETRY』ネタバレ・評価
意外性とのトレードオフでルールが後出しすぎる感はあったものの、本質は人間同士が極限状態で殺し合いでなく助け合いを選択することだったと考えれば納得できます。
全2巻と短めでしたが、各登場人物が現実世界でどんな生き方をしてきたかが短いシーンでしっかりと描かれており、ヒューマンドラマとして楽しめました。
『今際の国のアリス RETRY』のレビュー終わり!
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