スタンリー・キューブリック監督の最高傑作『2001年宇宙の旅』!
完成度が高すぎてもはや芸術の域である映像や構図!
神秘的かつ宗教的なシーンの連続で、非常に評価が高い映画だが、ストーリーの解釈が観る人に委ねられており、「結局どういう意味!?」と首を傾げた人も少なくないだろう。
僕なりに2001年宇宙の旅のストーリーとテーマを考察してみたので、参考にしていただければ幸いである。
映画『2001年宇宙の旅』ネタバレ考察/人類の進化→受精?スターチャイルドの解釈
「2001年宇宙の旅」は、どういうストーリーか。
通説では↓
類人猿がモノリス(黒い長方形の物体)に触って道具(動物の骨)を使う殺しを覚え(キラーエイプ仮説)、さらに月に埋まっていたモノリスの信号によって、ディスカバリー号のボーマン船長が木星へ行くことになり、そこでエイリアン(地球外生命体)と出会い、進化する(ボーマン船長がスターチャイルドになる)
というものである。
これだけでも読み解くのに苦労する難解なストーリーだ。しかし、スタンリー・キューブリックのことだから、裏のモチーフがありそうである。
僕の考えを端的に述べると、それは、人類の進化イコール受精であるというものだ。
「何言っているんだコイツは?」と思うかもしれないが、突拍子もない話ではないことを説明させてほしい。
まず、宇宙船ディスカバリー号の形は、球体に細長いものがついている。これは、完全に精子じゃないか。
そして、木星付近に着いたデヴィッド・ボーマン船長は、変な部屋で年老いて死に、最後は胎児(スターチャイルド)になって地球を見つめる。
星の表面=卵子とも捉えられる映像があるので、ディスカバリー号に乗って来たボーマン船長は、精子に乗ってきたDNAだと言えるだろう。
ストーリーの結論をいうと、「2001年宇宙の旅」は↓
猿人から始まり、地球を飛び出して宇宙船で木星へ行くという人類の進化は、
男性が女性に選ばれ、女性の体内という宇宙を、精子として冒険し、卵子にたどり着くのと同じような行程である!
と提示している物語なのである。
映画『2001年宇宙の旅』ネタバレ解説/マクロとミクロの融合
映画「2001年宇宙の旅」は、表向きは、エイリアンに導かれ進化する人類というストーリーだが、裏には受精がモチーフとしてあると説明した。
このことから「2001年宇宙の旅」がもっと深く見えてくる。
人類が木星まで行くというのは、地球という枠組みを超えた、人類至上もっともマクロな行動である。
それが最もミクロだといえる受精と同じ様な過程になので、マクロはミクロにつながるという考え方が、ひとつあると思う。
人類が宇宙船で木星に着くという行動が、実は高次元の生命体の胎内で行われている!といえばわかりやすいだろう。
逆にいうと人間の胎内でも、違う次元の冒険がある。
人類のミクロ世界は、他の次元の人間のマクロ世界であり、
人類のマクロ世界は、ネクストレベルの存在にとってはミクロである
(手塚治虫も火の鳥で、生物の細胞の中には、別の宇宙が広がっている的なことを書いているのだが、元の理論は2001年宇宙の旅と同じかもしれない)
モノリスとHAL9000からみる神と悪の二項対立
モノリスは人類に英知を与え、進化や方向性を示した。旧約聖書でいえば、“知恵の樹“”に相当するものだろう。神の啓示を与える存在である。
比較して、HAL9000は神の意思である人類の木星到達を阻もうとする、いわゆる“悪“”側の存在に見えなくもない。
キューブリックの解釈ではモノリスが神の導き、AI(人工頭脳)のHAL9000が悪の声なのだろう。
人工知能の発達しすぎに警鐘を鳴らす、シンギュラリティ(技術特異点)の怖さを描いているともいえる。
それにしても、AIの思考回路を断とうとしてくるボーマンに命乞いするHAL9000は見ものであるし、いろいろ考えさせられる。
HAL9000にも心があるのだろうか?
最後に感想・考察まとめ
ここまで説明してきた、モノリス、HAL9000、地球外生命体、受精、人類の進化というキーワードを並べてみると、
目的は何?その先に何があるの?という疑問が浮かび上がってこないだろうか。
その問いに対する答えが、2001年宇宙の旅のテーマだと思う。
人類の発展は、宇宙の知的生命体(神)と出会い、さらに高次元の存在に生まれ変わるためである!そして、次の世界でも、それを繰り返す!
言い換えると、宗教と科学の融合。
2001年宇宙の旅は、とても深い哲学的な映画なのだ!まさに、名監督中の名監督、スタンリー・キューブリックの最高傑作と呼ぶにふさわしいだろう。
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