映画『湯道』(ゆどう)、生田斗真、濱田岳が銭湯をつぶすかつぶさないかもめる兄弟を演じ、橋本環奈がお風呂好きの番台として花をそえます。
作品情報・キャスト
ネタバレなしの感想
視聴してのぶっちゃけ感想・評価(ネタバレあり)
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
これから観る方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
映画『湯道』作品情報・予告
上映時間:2時間6分
ジャンル:ヒューマンドラマ・コメディ
監督:鈴木雅之(『マスカレードナイト』)
脚本・原案:小山薫堂
出演者
生田斗真
濱田岳
橋本環奈
柄本明
小日向文世
寺島進
戸田恵子
天童よしみ
クリス・ハート
厚切りジェイソン
吉田鋼太郎
朝日奈央
窪田正孝
ウエンツ瑛士
夏木マリ
角野卓造
生見愛瑠
映画『湯道』キャスト
©︎ 「湯道」製作委員会
主演の生田斗真さんが銭湯を潰して改築したい建築家・史朗を演じています。銭湯を経営する弟・悟朗役は濱田岳さん。
銭湯まるきんで働く番台・いづみを演じたのは橋本環奈さん。悪くはなかったのですが、銭湯大好きな感じが伝わってこなかったような気がします。
あとは風呂仙人役の柄本明さんは相変わらずいい意味でクセがすごい!ずっと見てられます。
超風呂付きの横山を演じた小日向文世さんも、家族にうとまれている哀愁がすごくて引き込まれました。
映画『湯道』あらすじ
建築家の史朗は仕事がなくなり、弟の悟朗が経営する実家の銭湯・まるきんに帰ってくる。
悟朗は父の葬式にも帰ってこなかった兄・史朗に冷たく接した。
史朗は不動産と銭湯をつぶしてマンションを建てる計画をねる。
しかし、住み込みで働く番台のいづみや常連客と触れあううちに、銭湯や日本のお風呂文化を愛するようになっていくのだった…。
ネタバレなし感想・海外評価
常連さんたちのやり取りにほっこりさせられ、ときには心を大きく揺さぶられます。
ただ、深みがあるストーリー!というわけではないので、物語性を求める人には退屈かもしれません。
邦画らしい良くも悪くも無難なヒューマンドラマを見たい人にはおすすめです。銭湯文化を体験したい人にももってこいでしょう。
おすすめ度 | 60% |
日本のお風呂文化最高 | 95% |
ストーリー | 49% |
※以下、邦画『湯道』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『湯道』ネタバレ感想・酷評
良い点・ダメな点
©︎ 「湯道」製作委員会
寺島進と戸田恵子が夫婦役でしたが、痛風だけど妻より先に銭湯からあがってビールを飲もうとするなど、クスッと笑えて情にあふれるやりとりが印象的でした。
コミカルなやりとりですけど、妻が夫の健康を心配する愛がしっかり伝わってきます。
銭湯で母・天童よしみが歌っていると、刑務所帰りの息子クリス・ハートも入ってきて「上を向いて歩こう」をデュエットする流れも感動的!銭湯に親子の愛のデュエットが響き渡りました。
また一緒に銭湯に来ていた妻に先立たれた笹野高史が、ローカルの温泉で猿を妻と見まちがえるシーンは笑いと感動が入り混じった最高の演出だったと思います。
妻を思って涙があふれるような、でも笑って妻の死を受け入れられるような名場面でした。
小日向文世さんの妻と娘たちが、退職金でこっそりヒノキ風呂を家に作ってあげる流れにも胸が熱くなります。世の中のお父さん!ありがとう!お風呂で疲れを癒しておくれよ!
日本人がお湯につかるのが必然なように、人間関係があるべき場所におさまっていくというステキなコンセプトを感じました。
しかし映画として考えると、軸となる生田斗真と濱田岳の銭湯をつぶすつぶさないのストーリーが平凡すぎて中だるみ感がすごかったです。
正直いっていい湯加減どころか、ぬるかった感がぬぐえません。
銭湯の常連客たちは素敵なキャラばかりなので、本筋のストーリーにもう少し起伏を持たせても良かったのでは?
生田斗真が銭湯の魅力に気づいて濱田岳と和解し、いづみと3人で銭湯を続けることになる。水戸黄門なみの予定調和です。
群像劇風なのであまりストーリー性を持たせたらバランスが崩れるというのはありますが、物語全体としてはまとめにいった感が強すぎました。
2時間以上あるにしてはひねりが無さすぎです。ストーリーに必要なもの以外をはぎ取ってきれいに整えすぎて、逆にフックがなくなってしまった印象。
あとは、吉田鋼太郎さん演じる源泉かけ流し主義の温泉評論家を、みんなで囲んで追い返す展開もなんだかなあ。
湯道の教えに「以湯為和(湯をもって平和をなす)」があるなら、吉田鋼太郎さんも風呂に入れてあげて欲しかった。口先だけの評論家を風呂に放り投げれば良かったのに(笑)。
評論家を追い返すのではなく、その場で銭湯の良さを納得させたほうがメッセージがより明確に伝わってきたと思います。
映画の鑑賞前にAmazon Prime独占のスピンオフドラマ「アナザーストーリー 湯道への道」も見ましたが、こちらも非常にストーリー性の薄い、なんとも感想を持ちがたい凡作でした。
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お風呂文化サイコー
いろいろ不満点を述べてしまいましたが、日本のお風呂文化はとにかく最高だよね!という最重要事項はしっかり伝わってきました。
心も温めるというコンセプトがすばらしいですね。
私が子供だった頃はもう銭湯があまりなくて、恥ずかしながら銭湯を利用したのは1〜2回でしょうか。
そんな私の目にも、本作で再現された昔ながらの銭湯は常連さん同士のつながりがあたたかく映り、こういう場所をなくしてほしくないと感じました。
女湯と男湯が壁でしかへだたれておらず、夫婦で風呂桶を鳴らして出るタイミングを決めるというのも、なんか日本人の心を感じました。
阿吽の呼吸ならぬ、風呂桶の会話です。いいですね、こういうの。
昔の銭湯はこんな感じだったのでしょうか? 女性陣は番台のイケメン・生田斗真に裸を見られてうれしがっていたのでしょうか?
まあ冗談はさておき、日本のお風呂文化について知らないことが多いので、本作を視聴したのをきっかけに少し調べてみました。
番台は盗難防止として利用客を監視するために両方見える場所に設置されていたそうです。
さらに江戸時代は混浴だったようで、現代とは裸の恥ずかしさの価値観・文化が違ったのでしょう。
なるほど!本作は昔ながらの銭湯そのままだったわけですね。文化的な学びがありました。
今の時代も本作のまるきん銭湯と同じ構造の銭湯があるのかどうか?気になっちゃいますね!
最後のまとめ
映画『湯道』は、日本の風呂文化が存分に堪能でき、登場人物も魅力的でしたが、ストーリーがありきたりすぎていまいちノれませんでした。
本作を映画化した理由はなんでしょうか(お金以外で)?
「日本文化ってすばらしいね。銭湯っていいとこだよね」という当たり障りのない、ありふれた意見を伝えるにとどまっていたと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございます。『湯道』レビュー終わり!
2023年公開邦画レビュー
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