映画『トップガン マーヴェリック』ネタバレ考察・完璧な続編ラスト感想!評価,物語あらすじ深掘り解説

  • 2024年3月21日

映画『トップガン マーヴェリック』(Top Gun: Maverick)まさに完璧な続編スリリングな空中アクションと熱き人間ドラマが、不死鳥のごとく2022年に甦りました

最高の懐古映画であると同時に、新たなメッセージも内包した期待以上の傑作。トム・クルーズ史上最大のヒットになりそうです!

前作公開当時は生まれてすらいなかった筆者が超感動する出来栄えなので、1980年代リアルタイムで前作を観た人たちは絶対に劇場に足を運んだほうがいいです!

感想を語る犬
上官(上司や奥さん)の命令は無視して、サングラスをかけて映画館に直行してください(笑)。あ、奥さんも連れて行ってね。
CineMag
マーヴェリックが30年前にグースとできなかったことを成し遂げましたよ

作品情報・キャスト・あらすじ・見どころ、ぶっちゃけ感想・評価考察:グースの亡霊との別れ・前作との比較ストーリーネタバレあらすじ解説を知りたい人向けに徹底レビューしていきます!

(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目からどうぞ)

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映画『トップガン マーヴェリック』作品情報・キャストと演技の印象

公開・制作国・上映時間:2022/05/27・アメリカ・2時間11分
原題:『Top Gun: Maverick』
ジャンル:アクション・ヒューマンドラマ
監督:ジョセフ・コシンスキー(『トロン レガシー』『オブリビオン』)
脚本:クリストファー・マッカリー/アーレン・クルーガー/エリック・ウォーレン・シンガー
撮影:クラウディオ・ミランダ
音楽:ハロルド・フォルターメイヤー/ハンス・ジマー
主題歌:「ホールド・マイ・ハンド/Hold My Hand」レディー・ガガ

1986年の第1作から物語を引き継いだシリーズ2作目。

前作から30年後の設定ですが、実際は36年が経過しています。

ちなみに前作の監督トニー・スコットが続投予定でしたが、彼は企画進行中に自ら命を絶ってしまいました。エンドロール後に追悼文があります。

ピート・マーヴェリック・ミッチェル|cast トム・クルーズ

ピート・マーヴェリック・ミッチェルを演じた俳優トム・クルーズ

マーヴェリックは一匹狼の意味で、コールネーム(通信時の呼び名)です。

前作では大尉ですが、本作では大佐に昇進しています。一方でアイスマンはなんと海軍大将に。マーヴェリックが最前線から退かずに無茶を続け、昇進も拒んだようです。

今回は戦闘機F-14でなく、F-18に乗ります。しかし後半では…。

マーヴェリックとグースの息子ルースターとどんな関係を築くかがストーリー上のキーポイントです。

感想を語る犬
トム・クルーズは2022年時点で59歳ですが驚異的な若々しさ!戦闘機だけでなくサングラスやバイクまで似合いすぎです。

2023年は『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』で超絶アクションを見せつけました。まだまだ彼の時代は続きます。

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映画『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』

その他の登場キャラ・キャスト

ルースターを演じたマイルズ・テラー ブラッドリー・ルースター・ブラッドショウ大尉|cast マイルズ・テラー→ハマり役でした。映画『セッション』の狂気的な演技も印象的でしたね。

ペニー・ベンジャミンを演じる俳優ジェニファー・コネリー ペニー・ベンジャミン|cast ジェニファー・コネリー→マーヴェリックと3年前に付き合っていた女性。今作では完全無視された前作のヒロイン・チャーリーの代わりのキャラ。前作にはペニーは出ていません。

ジェイク・ハングマン・セレシン大尉|cast グレン・パウエル(映画『ディヴォーション:マイ・ベスト・ウィングマン』)

ナターシャ・フェニックス・トレース大尉|cast モニカ・バルバロ

アイスマンを演じたヴァル・キルマー トム・アイスマン・カザンスキー大将|cast ヴァル・キルマー→アイスマンは永遠です。俳優ヴァル・キルマーは2015年に喉頭癌で声が出なくなりました。本作の病気で声が出ない設定はこれが理由だったんですね。唯一喋る部分はAI技術で本来の彼の声をサンプリングした音声をつけ加えたようです。

チェスター・ハンマー・ケイン海軍少将|cast エド・ハリス→ちょっとしか出てないですが存在感抜群。HBOドラマ『ウエスト・ワールド』で有名です。

あらすじ(ネタバレなし)

第一線で戦闘機パイロットを続けているマーヴェリックは、旧友アイスマンの計らいで全米でトップクラスの腕前を持つパイロット訓練校・トップガンへ教官として戻ってきます。

敵国のウラン濃縮基地を破壊する超高難易度のミッションに挑む若手パイロットたちを訓練し、1人も死なせず全員を生還させるのが目標です。

メンバーには30年前の訓練中の事故での脱出の際に、キャノピー(透明の開閉部)にぶつかって死亡したパートナー・グースの息子ルースターの姿も。ルースターはマーヴェリックのやりかたに反抗しますが…。

ネタバレなし感想・見どころ・海外評価

戦闘機による肌がひりつくアクションはそのままに、ヒューマンドラマ要素はパワーアップ。最高かつ完璧な続編です。

感想を語る犬
戦闘機のアクションは臨場感抜群!絶対劇場で見るべき!

ファンにとっては期待以上で、もはや歓喜の出来栄えでしょう。

最近第1作を見たばかりの人が見ても超感動の傑作エンタメに仕上がっています。

ただひとつ注意点ですが、今作は主人公マーヴェリックが1986年の前作に登場した親友パイロット・グースの息子ルースターと交流する話なので、前作『トップ・ガン』(1986)の視聴は必須です

海外の評価も批評家が97%の支持率と、めちゃくちゃ高いですね!

耳をすませば世界中から歓喜の声が聞こえてくるようです。

おすすめ度 95%
アクション 94%
ストーリー 85%
IMDb(海外レビューサイト) 8.7(10点中)
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) 批評家97% 一般99%

※以下、映画『トップガン マーヴェリック』のストーリーネタバレありなので注意してください!

映画『トップガン マーヴェリック』ネタバレ感想・評価

80年代あってこその現在

期待の続編『トップガン マーヴェリック』の評価は91点。2022年上半期でナンバーワンです!
考察系ネコ
最強の懐古映画かつ、前作で解消されなかった人間ドラマにケリをつけた傑作でした。

大ヒット映画の数十年後の続編としては、『クリード:チャンプを継ぐ男』(ロッキーシリーズ)と同じかそれ以上の完成度。

前作ファン歓喜のオマージュシーンが随所に散りばめられており、フラッシュバックにより終始琴線をかき鳴らされます。

オープニングで前作のテーマソング「デンジャーゾーン」がかかり、戦闘機が空母から勢いよく飛び立つ!その時点でもうウルウルきました。

マーヴェリックがグースの息子ルースターを命懸けの任務に送り込むために決死の訓練をする。このプロットもパーフェクト。

戦闘機による大迫力のアクションシーンは健在です!超スリリングなので2時間あっという間でした。

そして何より、マーヴェリックが30年間追いかけていた“亡霊”から解き放たれ、現在の人間関係を大切にする人間ドラマもたまりません。

彼は遂に一匹狼であることをやめたのでしょう。

感想を語る犬
劇場で涙はこぼしませんでした。なぜならマーヴェリックが瞳を赤くしてこらえていたからです。
感想をまとめると、30年前のノスタルジーに浸ってテンションMAXな側面もありつつ、前作から続くヒューマンドラマ要素にしっかりと決着をつけ、メッセージ性にも優れていた完璧な続編といえるでしょう。
考察系ネコ
80年代があったからこそ2022年がある!そう感じさせてくれたとてもポジティブな懐古映画でした。

良い意味で、実際に80年代から社会のために貢献してきた人たちへのねぎらいが感じられました。

それでも死なせたくない

マーヴェリックが教官で、任務はルースターたちが行う流れは世代交代を思わせます。

任務は若手だけでなんとかクリアし、そこで敵戦闘機が現れてマーヴェリック出撃!という息子たちひとり立ちプロットもあり得たでしょう。

しかし本作ではマーヴェリックが任務の隊長となります。

イケイケ親父がでしゃばっている感じもありますが、そうではなく親友の息子・ルースターや次世代を絶対に死なせたくないという思いが強かったのだと思いました。

スポーツ映画なら息子世代が最後は1人で頑張る!というひとり立ちプロットのほうが良いかもしれません。

しかし本作のミッションは命懸けの戦闘です。

例えルースターが葛藤を乗り越えて1人前になったとしても、命を落としてしまっては何にもなりません。

感想を語る犬
次世代に託したい想いはありつつ、それでも絶対に死なせないという熱い親心が勝ったのが本作だと思い感動しました。
ドローン機によりパイロットは存在しなくなる未来が見えています。
映画業界でもCG技術の発展により、スタントが必要なくなるかもしれません。
マーヴェリックは息子世代パイロットの存在意義を示して守る
トム・クルーズが体を張って古き良き映画業界のスタイルを守っていることと重なります。
いずれ、現在のような映画制作、もしかしたら映画館自体がなくなるかもしれません。
それに対して「だが、今日じゃない」というアンサーなのでしょう。
「未来を憂うのではなく、今燃え尽きたい!」というトム・クルーズのメッセージが反映されているようです。
考察系ネコ
自身の子供ともいうべき映画を守る姿勢がそのまま物語に反映されたからこそ『トップガン:マーヴェリック』は傑作になり得たのではないでしょうか。

ミッション・インポッシブルの是非

トム・クルーズの『ミッション・インポッシブル/ローグネイション』から監督を務めているクリストファー・マッカリーが本作の脚本を担当していることもあり、終盤の任務中は「これはミッション・インポッシブルでは?」となるシーンがあります。

マーヴェリックがルースターの戦闘機をかばって撃墜され、ルースターと一緒に敵基地でF-14を奪って飛び立つまでの流れです。

ここでリアリティラインが少し下がった印象でしたし、ヒューマンドラマ的にはもっとシンプルにしたほうが完成度は上がったかもしれません。

ドラマ性より、ファンのために敢えてこの展開にしたのでしょう。

ルースターと一緒に戦うだけでなく、ルースターとF-14に一緒に乗りグースへの弔いを演出する方法はこれしかありませんから。

考察:亡霊に別れを告げたマーヴェリック

グースとの思い出を昇華

『トップガン マーヴェリック』は30年前に訓練中の事故で死んだ唯一無二の親友グースへの想いや後悔を昇華する物語でした。

マーヴェリックが当時グースと果たせなかったことはなんでしょうか?

それは、命懸けの任務に2人で挑んで無事帰還することです。

前作では中盤でグースが死亡してしまい、マーヴェリックは彼の死を背負いながら敵機MiG-28と戦闘して勝利します。

一躍ヒーローになったマーヴェリックですが、「グースが後ろに乗っていたら」と強く願っていたことでしょう。

続編のストーリーではマーヴェリックがずっと第一線で危険な飛行をしてきたことがわかります。

考察系ネコ
コックピットで「やるぞグース」と口にしていたことから、戦闘機に乗ることがグースとの絆を感じられる唯一の方法だったのでしょう。

つまりマーヴェリックはグースの亡霊を30年も引きずっていたわけです。

戦友との絆を忘れないのは悪いことではないですが、その分マーヴェリックは現実の人間関係をおろそかにしていました。

そして今作では、マーヴェリックはグースの息子ルースターを後部座席に乗せて危険な任務から無事生還。

グースとできなかったことを、彼の息子と成し遂げたのです。

考察系ネコ
F-14にはマーヴェリックとルースターだけでなく、きっとグースも乗っていたのでしょう。

そしてマーヴェリックはルースターと実の親子のようになります。家族を作る決心をしたようなラストでした。

グースとの絆・亡霊を追い求めるのをやめ、30年越しにやっと地上に降りてきたような感動の結末でした。

過去を断ち切って未来へ目を向けたのです。

ポスターでマーヴェリックが見上げている2つの戦闘機には、父デュークとグースが乗っているのかもしれません。もしくはグースとアイスマンでしょうか。

トップガン マーヴェリック

いずれにしろ、マーヴェリックは幻影を追い求めることをやめ、ルースターやペニーとしっかりとした関係を築くことを選択しました。

本作はマーヴェリックという人間が30年の時を経て救われる物語だったのです。

メタ的に、グースの亡霊=トム・クルーズ自身の映画論と捉えることもできます。

体を貼ってスタントマンなしで超人的アクションをこなしてきた一匹狼トム・クルーズにとっても、もう羽を休めていいという自分自身への前向きな言葉になっていたような気もして感動です。

前作との対比構造・社会の変化

個人 VS チームプレイ

前作はほとんどマーヴェリックだけにスポットが当たった個人プレイの映画でした。葛藤も最後の戦闘もマーヴェリックの独壇場です。

比較して今作ではマーヴェリックはルースターやハングマンに助けられ、1人だったら生きて帰ってくることはできなかったとはっきり提示されています。

考察系ネコ
1986年は個人プレイ。2022年はチームプレイの構造です。
マーヴェリックが若手パイロットのハングマンに助けられたことで、世代交代の側面もしっかり描けていましたね。

世界情勢や社会問題の反映

構造を比べてみるとイケイケの1980年代から、リアルな問題を直視すべき2022年へと時代の移り変わりがしっかり反映されていることがわかります。

アメリカもイケイケの時代を終え、個人主義を追い求めるだけではどうにもならなくなっています。

個人プレイより、手を取り合ったほうが絶対に素晴らしい世界になる。

そんな社会情勢からくるメッセージが本作に織り込まれているようです。

考察系ネコ
2つの時代を経て、人間がどう生きていけば良いか伝えたのが『トップガン マーヴェリック』だと思いました。

(前作の考察記事はこちら↓)

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映画トップガン(1986)

ロシアのウクライナ侵攻とドンピシャ

コロナ禍で延期されまくった『トップガン マーヴェリック』ですが、延期されたことでロシアのウクライナ侵攻と公開タイミングが一致したことも特筆すべき点だと思います。

本作では敵国がロシアと明言されませんが、NATOに反するウラン濃縮基地の破壊がミッションだったのでモデルはロシアでしょう。

2022年にまたひとつ新たな戦争が起こってしまったことは悲しいですが、『トップガン マーヴェリック』は混乱の時代を予言しているようで興味深いです。

良いことかはわかりませんが、西側諸国の市民は『トップガン マーヴェリック』への肩入れがより強くなるでしょう。

陰謀論的な妄想をすれば、映画配給会社はロシアが侵攻する情報を事前に知っており、タイミングを合わせたのかもしれません(さすがにないか…)。

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