映画『search/サーチ』(Searching)は行方不明になった娘を救うために父親がパソコンで交友関係など情報をサーチしまくるサスペンス。
作品情報・キャスト
視聴してのぶっちゃけ感想・評価(ネタバレあり)
ラスト結末やコンセプトを徹底考察
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
↓続編『search/#サーチ2』の解説レビューは下記記事へ↓
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映画『search/サーチ』作品情報・予告
制作国:アメリカ
上映時間:1時間42分
原題:『Searching』
ジャンル:サスペンス・ミステリー・スリラー
年齢制限:13+
監督:アニーシュ・チャガンティ
脚本:アニーシュ・チャガンティ/セヴ・オハニアン
全世界興行収入:約100億円
2023年4月に続編となる映画『search/#サーチ2』(英題:Missing)が公開されました。続編という位置付けですが登場人物もストーリーも異なります。
『search/サーチ』キャスト
主人公・デイビット役はジョン・チョー。映画『スタートレック』シリーズや、最近だと残念ながら酷評されたNetflixの実写ドラマ『カウボーイビバップ』(2021)で主演を務めていました。
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娘のマーゴット役はミシェル・ラーです。
ヴィック刑事役のデブラ・メッシングはドラマ『ふたりは友達? ウィル&グレイス』や『SMASH』で有名な人物。
主人公・ジョセフの弟ピーター役はジョセフ・リー。Netflixドラマ『Beef/ビーフ 逆上』に出演していましたね。
映画『search/サーチ』あらすじ
数年前に最愛の妻・パムに癌で先立たれてしまったデイビット(ジョン・チョー)。妻の死以来、デイビットは過去を思い出すことを恐れてパムの話を娘・マーゴット(ミシェル・ラー)としなかった。
娘のマーゴットは高校生になり、デイビットはコミュニケーションを取っているつもりだったが、何を考えているかわからないと感じることも多い。
ある夜、デイビットが寝ている間にマーゴットから何度も電話がかかってくる。デイビットは気づかなかった。
デイビットは翌日電話をかけ直すが、マーゴットとぜんぜん連絡がつかない。弟のピーター(ジョセフ・リー)は「夏休み前に友達と遊んでいるだけだ」と言う。
デイビットはマーゴットの友達のアイザックの母親に電話をかけてみると、「アイザックたちとみんなでキャンプに行っているはずだ」と言われる。デイビットはほっとした。
しかしアイザックから電話がかかってきて「マーゴットはキャンプに来なかった」と言われる。
デイビットは警察に連絡。ヴィック刑事(デブラ・メッシング)が捜査を担当してくれることになった。
デイビットはマーゴットのノートパソコンを開いてSNSでつながっている友達に片っ端から連絡するが…。
※以下、映画『search/サーチ』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『search/サーチ』ネタバレ感想・評価
検索画面、Facetime通話、SNS、過去の動画、監視カメラの映像などを駆使して頑なにパソコン上で進行する良作!
娘の失踪がネットで話題になり、PC画面上からニュースなど世界の動きがみえて全然退屈しません。ミクロとマクロの融合ですね。
あと本作でうまいなあと思ったのがデスクトップのゴミ箱の使い方。
娘が死んだと思って葬式で使う映像を選んでいるときに父の日の思い出の動画をゴミ箱に捨てる場面で、主人公ジョン・チョーの顔は一切映っていないにも関わらず彼の心情がありありと伝わってきます。
パソコンの操作が人の感情を伝えるのに適しているとは!まさにコペルニクス的転回の演出でした。
最近だと日本の作品でもhulu『名探偵ステイホームズ』や『#マンホール』など似た作品が量産されてますね。『search/サーチ』は多くのフォローコンテンツを生み出したという意味でも革新的な作品といえるでしょう。
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CineMagの評価 | 84点 |
アイデア | 96点 |
ストーリー | 85点 |
IMDb(海外レビューサイト) | 7.6(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 92% 一般の視聴者 87% |
メタスコア(Metacritic) | 71(100点中) |
映画『search/サーチ』考察(ネタバレ)
ラスト結末や伏線
終盤ではラストでは、元犯罪者のカートフが娘を暴行して殺したと証言して自殺。娘・マーゴットの死亡も確定したかに思われました。
その後、デイビットは葬儀の会社・メモリアルワンの手続きページに使われている写真の女性と、娘マーゴットの配信に来ていた女性・ハンナのアイコンが一緒だと気づきます。ハンナはフォトモデルの写真を使っていただけの偽物だったのです。
同時に、ハンナに証言を取ったというヴィック刑事のウソも発覚。
デイビットはヴィックが元犯罪者のカートフと一緒に映っている写真を思い出しました。デイビットと警官が現地へ向かい、マーゴットの葬儀に参加していたヴィック刑事は逮捕されます。
(葬儀がライブ配信されていた演出も面白いですね。)
ヴィック刑事の証言により、彼女の息子・ロバートが娘を突き落とした事実を隠蔽していたことが判明しました。
真犯人はヴィック刑事でした。
序盤でヴィック刑事とカートフが一緒に映っている写真が伏線として提示されていたのです。
写真は情報量が多いので、おおっぴらに画面に映ってもヴィック刑事にしか目がいきません。
視聴者はどれが重要な情報かわからずにスルーしてしまうのです。
パソコンの画面しか映さない場合、いくつかの情報を優先順位をつけずにサラッと映せるのも構造上のメリットですね。写真の顔を全部記憶できるような人でない限り伏線を見抜けないでしょう。
また大雨で捜索ができないことが伏線になり、渓谷から落ちた娘・マーゴットが雨水で生きていたというラストにつながります。計算し尽くされていますね。
親が子を救う、対比構造
本作は親と子供のヒューマンドラマという点でも優れていました。
まず、PC上で今は亡き妻・パムとの思い出の映像が流れる冒頭からして感動的です。
そして全体を通して失踪した娘を見つけようとする父・デイビットの裏に、息子の事件を隠蔽しようとする母・ヴィック刑事がいます。
被害者も犯人も「子供を守りたい」という動機のもと、終始PC画面上で対立していたわけです。
ストーリーのコンセプトが優れているからこそ、PC上だけで展開されても薄っぺらさを感じなかったのかもしれません。
PC画面しか映らない怖さ
映画『search/サーチ』は現代人の生活やアイデンティティがパソコンやスマホ上にあると露呈した作品でもあります。リアルよりもPCやネットに人生の比重が置かれているということです。
おもしろいのが、本作で視聴者は普通の映画のように登場人物が自分の目で確認したものを見せられているわけではありません。すべてがパソコンというフィルターをとおして映されます。
つまり人間の視線でなくパソコンという“モノ”の視線を見せられているわけです。それが『search/サーチ』の本質だと思います。
パソコンに監視されている、人生がデジタルの情報と化しているなどの寓意が込められていると同時に、“モノ”の視線に冷たさを感じられるのが本作の大きな魅力ではないでしょうか。
最後のまとめ
サスペンス映画『search/サーチ』は、すべてPC画面上で進むというアイデアを最大限に活かした良作でした。
親子のテーマもよかったです。そして何より無機質な画面操作による感情表現、主人公と視聴者の視線を交錯させないなど、あらゆるコンセプトが斬新でした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。映画『search/サーチ』レビュー終わり!