考察①愛を保存することはできるか？
本作のテーマはズバリ、1番いい時の恋愛を保存できるか…だと考える。アンドロイドを使えば1番良かった時の恋愛を保存できるのか？という問いがあった。
マユミとDV男のナオキにも、いい関係の時はあった。しかしナオキのDV癖が治らないせいで、マユミはジェブという女性と不倫をし、結婚生活は破綻。ナオキはマユミを突き落として殺害してしまう。
ナオキは、1番いい時の恋愛の状態を永遠に保存したかった。しかし、記憶が不十分なアンドロイドはマユミではないと心のどこかで感じて、それに気づかず失敗を重ねたと考えられる。
考察②フラッシュバックが赤い血の理由
それぞれのマユミ・アンドロイドには、インストールされていない記憶があった。ドビッシューの月の光や、ジェブに関する記憶だ。
これは、マユミがアンドロイドではなく、もはや有機的な人間だという示唆だろう。
完璧なアンドロイドはアンドロイドという存在を超えて、マユミという存在そのものになった。本物のマユミであれば、過去の記憶が抜け落ちていたとしても、脳の他の部分（実際は回路が）が保管して記憶がフラッシュバックしても不思議ではない。
アンドロイドのマユミにも人間と同じように何らかの霊性が宿っているとの表現だと考える。
だからマユミはフラッシュバックで赤い血を流していたのだ。自分を機械としてでなく人間として認知しているからこそ彼女のフラッシュバックは赤い血だった。彼女の存在はアンドロイドではなく人間そのものだ！という意味が込められているのだろう。
アンドロイドとして復活したマユミが記憶を取り戻そうとしたことには、辛い記憶を消し去るよりも、覚えていてこそ前に進めるというメッセージも込められていた。
ちなみに地球は津波でダメになったというのはナオキが考え出した嘘なのだろう。マユミを地球に帰らせないためである。
ここまで読んでいただきありがとうございます。『不都合な記憶』レビュー終わり！
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