映画『オットーという男』。孤独で気難しい老人が、隣人たちとの交流で心を変化させるハートフルなヒューマンドラマ。
作品情報・キャスト
ネタバレなしの感想
視聴してのぶっちゃけ感想・評価・考察(ネタバレあり)
物語ネタバレあらすじ・ラスト結末解説
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
これから観る方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
映画『オットーという男』作品情報・予告
制作国:アメリカ
上映時間:2時間6分
原題:『A Man Called Otto』
ジャンル:ヒューマンドラマ・コメディ
年齢制限:なし
監督:マーク・フォスター
脚本:デヴィッド・マギー
原作: フレドリック・バックマン「幸せなひとりぼっち」
キャスト↓
トム・ハンクス|オットー役
マリアナ・トレビーニョ|マリソル役
レイチェル・ケラー|ソーニャ役
スウェーデン映画『幸せなひとりぼっち』のリメイク作品です。
監督のマーク・フォスターは『チョコレート』や『ネバーランド』などで有名で、主人公とある一家の絆を描くのが得意な人物です。だからこそ『オットーという男』に抜擢されたのでしょう。
トム・ハンクス
©︎ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
トム・ハンクスが無愛想ないわゆる“老害”オットーを熱演。
トム・ハンクスやっぱり『フォレスト・ガンプ/一期一会』のイメージが強いですね。当時小学生ながら何度も見て感動した記憶があります。
その後は、『プライベート・ライアン』、『グリーンマイル』の看守役や、無人島で生き延びる男『キャスト・アウェイ』、スピルバーグ監督のもとレオナルド・ディカプリオと共演した『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』の演技もとても印象的でした。
最近だとあまり話題にならなかったですが西部劇『この茫漠たる荒野で』(2021)はかなり好きな映画でした。
2010年代以降も多数の良作に出演しているものの、90年代と比較すると個性的なキャラを演じることが減ったように思います。
そういった意味で、今作『オットーという男』ではクセのあるトム・ハンクスを見れただけでもうれしいです。
映画『オットーという男』あらすじ
©︎ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
妻・ソーニャに先立たれた老人・オットー(トム・ハンクス)は、生きる気力を失っていた。
オットーは毎日近所を見回り、ゴミの分別や駐車違反などに文句を言うのが日課だった。
そんなある日、向かいにマリソル夫妻と子供たちが引っ越してきた。メキシコ移民で妊娠中のマリソルはオットーにいろいろなお願いをする。
仕方なく彼女の頼みを引き受けるうちに、オットーの心情は徐々に変化していくのだった。
ネタバレなし感想・海外評価
最愛の妻を失った偏屈な老人が生きる意味を見出す過程がじっくり描かれます。
妻が死んで生きる意味がなくなった設定からして感動的です。(予告編で涙ぐんじゃうやつですね。)
SNSが横行しても人と人とが触れあう意味はなんなのか?そんな普遍的なテーマがトム・ハンクスの渋い表情を通して浮かびあがってきます。
複雑な展開もなく見やすいです。
人が生きるうえでのドロドロ感…みたいなものはいっさい排除されており、その点で賛否がわかれるでしょう。
海外レビューサイトの評価も比較的高いですが、元ネタであるスウェーデン映画『幸せなひとりぼっち』に比べると評価は低いです。
おすすめ度 | 80% |
ストーリー | 70% |
IMDb(海外レビューサイト) | 7.5(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 69% 一般の視聴者 97% |
メタスコア(Metacritic) | 51(100点中) |
※以下、『オットーという男』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『オットーという男』ネタバレ感想・評価・考察
最愛の妻を思って死のうとするトム・ハンクス。この時点で泣けます。あたたかい隣人たちが頼み事をしてその都度自殺は中止に。
生涯の伴侶を失っても生きる意味がきっとある!そんな前向きなテーマで心あたたまる良作です。
ただ、全体的にあっさりしすぎというか、味付けが薄すぎるのが残念でした。
ほとんどのシークエンスがトム・ハンクスが自殺を試みる→マリソルたち隣人が邪魔をするというパターンの連続で、意外性や緊張感はありません。
ちょっと悪く言ってしまえば序盤が感動のピークの予定調和の作品を最後まで見守ったに近いです。
トム・ハンクスが気難しいいわゆる老害を好演していましたが、もう少し彼の表情変化が見たかったのもあります。
キャラクター的に笑顔が多くできないのはわかりますが、ほとんどトム・ハンクスのシーンなのにずっと表情が変わらなすぎて少し飽きてしまったからです。
あとは向かいに越してきたキーパーソン・マリソルもメキシコ系で情熱的ですごくいいキャラだったのですが、彼女がオットーと過ごしてどう心を成長させたか?についてスポットが弱かったと思います。
オットーの心情変化とともに、周囲の人物の変化がもっと深く描かれていても良かったのでは?
トランスジェンダーのマルコムなど、みんなオットーに救われたのはそうですが、彼らの心が成長したかというと、ちょっと前向きになったという表面的な変化にとどまっていました。
全体的に感動できるけど雑味が少なすぎました。隣人たちがめちゃくちゃ無害な人たちばかりなので、リアリティも薄かったと思います。
『コーダあいのうた』はリメイク作品としてアカデミー賞作品賞を獲得しましたが、本作についてはスウェーデンの『幸せなひとりぼっち』を超える評価はないと思います。
映画『オットーという男』の評価をまとめると、すごくいい話しだけど予想外のおどろきはないもうひと声な作品でした。
映画『オットーという男』ネタバレあらすじ解説
オットーは首を吊って死のうとするが、天井のフックが取れて自殺に失敗。
近くに住む同年代のアニータが、「暖房機が壊れたので見てほしい」と言う。オットーは断るが、マリソルが見てあげてと言うので家の中に入った。
暖房をなおしたオットーは、昔は親友だったアニータの夫・ルーベンが車椅子で意識朦朧としているのを見て複雑な気持ちになる。彼とはまだ喧嘩したままだったが、もう口を聞けない状態だ。
マリソルの夫がハシゴから落ちて搬送された。オットーはマリソルや娘のルナたちを病院へ連れて行く。
オットーは病院に来たピエロが妻・ソーニャとの思い出の25セント硬貨を返さなかったことに怒り、彼につかみかかって警備員が来た。
オットーは列車に飛び込んで死のうとするが、目の前である男性が発作で倒れて線路に落ちる。オットーは線路に飛び込んで彼を救ってSNSでヒーローになった。
隣人のジミーが冬に外で凍える野良猫を世話することにするが、彼は猫アレルギーだったのでオットーが代わりに面倒を見ることになった。
オットーはショットガンで自殺しようとするが、教師だったソーニャの教え子だったマルコムがたずねてきて泊めてくれと言う。
オットーは、運転免許のないマリソルの指導をすることになる。
マリソルはオットーから半年前に死んだ最愛の妻・ソーニャや、彼女が妊娠中にバカンスでバス事故に遭って子供を亡くしてしまった話を聞いた。
オットーは不動産会社がアニータの家を不当に買い上げようとすることに抗議。列車で人を救ったときに配信したSNSレポーターのシャリがその様子を生配信し、不動産会社は立ち去った。
オットーは心臓の肥大症で倒れて病院で目を覚ます。そばにいたマリソルが産気づいて男の子を出産した。
オットーは天国のソーニャからの生きろというメッセージに気づき、マリソルの家族やマルコムらと仲良く過ごして、3年後に旅立った。
映画『オットーという男』終わり。
最後のまとめ
映画『オットーという男』は、生きる意味を伝えてくれる感動的なヒューマンドラマでした。
ただ全体的に味付けがちょっと薄めだったのが残念。いい映画だけど、傑作とまではいきませんでした。
おもしろくしようと思えばもっとできたような気もします。
ここまで読んでいただきありがとうございます。『オットーという男』(A Man Called Otto)レビュー終わり!
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