『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』が公開されたので、エヴァのストーリーを復習したい人のために、アニメ版全26話(1995〜1996年放送)のあらすじネタバレを書いた。
そして、アニメ版の結論としては「シュルレアリスムアートだよね」っていう考察も付け加えてみた。
あらためて全話見返すと、エヴァって鬱アニメであり、アートだね。
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- 2 アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』全話あらすじネタバレ解説
- 2.1 第1話『使徒、襲来』
- 2.2 第2話『見知らぬ、天井』
- 2.3 第3話『鳴らない、電話』
- 2.4 第4話『雨、逃げ出した後』
- 2.5 第5話『レイ、心のむこうに』
- 2.6 第6話『決戦、第3新東京市』
- 2.7 第7話『人の造りしもの』
- 2.8 第8話『アスカ、来日』
- 2.9 第9話『瞬間、心、重ねて』
- 2.10 第10話『マグマダイバー』
- 2.11 第11話『静止した闇の中で』
- 2.12 第12話『奇跡の価値は』
- 2.13 第13話『使徒、侵入』
- 2.14 第14話『ゼーレ、魂の座』
- 2.15 第15話『嘘と沈黙』
- 2.16 第16話『死に至る病、そして』
- 2.17 第17話『四人目の適格者』
- 2.18 第18話『命の選択を』
- 2.19 第19話『男の戰い』
- 2.20 第20話『心のかたち 人のかたち』
- 2.21 第21話『ネルフ、誕生』
- 2.22 第22話『せめて、人間らしく』
- 2.23 第23話『涙』
- 2.24 第24話『最後のシ者』
- 2.25 第25話『終わる世界』
- 2.26 最終回 第26話『世界の中心でアイを叫んだけもの』
- 3 最終回ラストの意味を考察
- 4 アニメ エヴァンゲリオンとシュルレアリスム考察
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アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』全話あらすじネタバレ解説
第1話『使徒、襲来』
西暦2015年。セカンドインパクトから15年が経っていた。国連の組織NERV(ネルフ)ミサトに呼ばれて第3新東京市にやってきた、14歳のサードチルドレン・碇シンジ。
第3使徒が現れ、指揮官である父・ゲンドウの命令でエヴァ初号機に乗れと言われるが断る。しかし怪我をして苦しそうな少女・綾波レイが代わりに乗せられそうなのを見ていられず、乗り込んで出撃した。
第2話『見知らぬ、天井』
シンジは操作に慣れず、初号機は使徒に腕を折られ、顔を貫かれてしまう。動力がなくなり、初号機は暴走して使徒を倒した。
目覚めて見えたのは白い天井だった。ミサトの家で暮らすことになり、ペンギンのぺんぺんに驚く。
第3話『鳴らない、電話』
初号機の訓練と戦いへの恐怖で、シンジはうつっぽくなっていた。学校ではエヴァのパイロットだとバレ、先日の戦闘で怪我をした少女の兄でクラスメイトの鈴原トウジに殴られる。
そんな中、第4の使徒が出現。初号機は戦闘で山に弾き飛ばされ、地面で見物をしていたトウジと相田ケンスケを発見。コックピットの中に入れる。
その後はミサトの退避命令を無視して、プログレッシブナイフで使徒を倒した。
第4話『雨、逃げ出した後』
シンジはエヴァに乗るのが苦痛で家出する。すると偶然ソロキャンプをしていた相田と会い、一緒に焚き火を囲んだ。ネルフのエージェントが来て、シンジは本部に連れ戻される。正式に脱退することになったが、列車に乗らず復帰する決意をした。
第5話『レイ、心のむこうに』
数日前、テスト搭乗で零号機が制御不能になり、エントリープラグが外に投げ出される。ゲンドウは手に火傷を負いながら綾波を救出した。
シンジは綾波のことが気になっている。ネルフの更新カードを届けに彼女のアパートに行くと、アクシデントで裸の彼女を押し倒し、あたふたしてしまった。ゲンドウのことを信じられないと言うと、ビンタをくらう。
第5の使徒が現れ、シンジが乗った初号機はレーザーをくらって戦闘不能になった。
第6話『決戦、第3新東京市』
第5の使徒はネルフ本部を狙って穴を掘っている。ミサトは自衛隊から陽電子砲を借りて、使徒を攻撃する作戦を考えた。
シンジがベッドでいじけていると、綾波が作戦を伝えてくる。シンジは気乗りしないままスーツを着ると、綾波が「私が守る」と言う。
初号機が、全国の電力を集めた陽電子砲を発射。しかし使徒のコアには当たらなかった。攻撃されるが、零号機が盾になり溶けながらレーザー攻撃を防ぐ。
陽電子砲を命中させ、使徒を倒した。シンジは地面に投げ出されたエントリープラグを開け、生きてる綾波を見て涙を流す。
第7話『人の造りしもの』
使徒用の戦闘マシンとして別組織で作られたJA(ジェットアーロン)ロボが制御不能で暴走。原子炉融解の危険が迫る中、初号機が機体を止め、ミサトがロボの中に入り解除コードを打つ。しかしエラーが出て、システムは止まらない。ミサトは動力棒を押し込むと、なんとか機体が止まった。
(映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』のストーリーはここまで)
第8話『アスカ、来日』
ドイツから2号機が戦艦で海上輸送されてくる。シンジたちが海上へ着くと、セカンドチルドレン(パイロット)の惣流・アスカ・ラングレーがいた。使徒が現れ、アスカは自分の凄さを見せつけるために、シンジもエントリープラグに乗せて出撃。ミサトの指揮で2号機を餌にケーブルで使徒を釣り上げ、2号機が口をこじ開けて艦隊がミサイルを、放ち倒した。
加持は最初の人間“アダム”をゲンドウに渡す。
第9話『瞬間、心、重ねて』
使徒が襲来し、アスカとシンジが出撃。使徒は分裂して2人はぶざまな敗北をした。タイミングよく2体のコアを破壊するため、アスカはシンジと一緒に暮らし、音楽でシンクロする訓練をする。夜、アスカが間違えたのか寝床に入ってきて、シンジは焦る。彼女は泣いていた。
ついに決戦の日、初号機と2号機は完璧なタイミングで使徒を倒すが、着地に失敗し破損する。
第10話『マグマダイバー』
アスカは沖縄への修学旅行を禁止され、ふてくされる。
そんな中、活火山の溶岩の中に使徒のサナギが現れ、2号機が耐熱スーツを装着して潜って回収する。しかし引き上げる途中で使徒が目覚め、2号機がなんとか撃破。そのまま溶岩の底へ沈みそうなところを、初号機に助けられた。
みんなで温泉で戦いの汗を流す。ミサトの腹にはセカンドインパクトの傷があった。
第11話『静止した闇の中で』
ネルフの本部が何者かによって停電。自動のレールは使えず、シンジたちは迷いながら本部の地下へ歩いて進んでいく。
第8の使徒(クモ)が現れ、ゲンドウの指揮のもと手動でエントリプラグを装着。シンジ、アスカ、綾波の3人が到着して乗り込み、3体のエヴァが協力して使徒を撃破した。
第12話『奇跡の価値は』
西暦2000年。セカンドインパクトがあり、ミサトは腹に傷を受けながらも父に守られて安全プラグの中に避難した。父は死亡。
2015年。相田の発案で、ミサトの3佐昇進祝いが開かれた。
翌日、第9の使徒が大気圏外から隕石のように突っ込んでくる。ミサトの指揮のもと、3体のエヴァは落下地点へ行き、ATフィールド全開で使徒を止め、2号機がコアを破壊した。
シンジは父・ゲンドウに褒められてほほがゆるむ。
第13話『使徒、侵入』
3対のスーパーA.I.であるMAGI(マギ)システムのテスト中、マイクロマシンの第11使徒がネルフ本部に侵入し、マギを乗っ取ろうとする。リツコはマギシステムを作った母の残したプログラムコードで、どうにか乗っ取り拒絶に成功。
第14話『ゼーレ、魂の座』
ダミーシステム構築のための互換テストが行われ、綾波は初号機とまずまずのシンクロをする。しかしシンジが零号機に乗ると、拒絶されて暴走してしまう。
第15話『嘘と沈黙』
加持はネルフの裏組織・マルドゥック機関の仕事で京都にきていた。その後、同級生の結婚式に参加し、ミサトと2次会のあとにキス。
シンジはゲンドウと、母・ユイの墓参りをする。家に帰りチェロを弾き、アスカが興味本位でシンジにキスをした。
一方綾波は、セントラルドグマ(ネルフ基地最深部)で液体プラグに入っている。
加持はターミナルドグマに行き、幽閉されている第1使徒アダムをミサトに見せる。
第16話『死に至る病、そして』
シンジはシンクロテスト結果でNo.1となり、アスカが嫉妬する。
その後、球体と影の第12使徒・レリエルが現れ、初号機が虚数空間に取り込まれてしまった。
数時間後、零号機と2号機を使った救出作戦がスタートするが、シンジが母の幻を見たあとに初号機が暴走し、レリエルを内部から引き裂いて出てきた。
第17話『四人目の適格者』
実験中に大爆発が起き、米国のネルフ第二支部と4号機が消滅。3号機が日本支部に送られてきた。
綾波はシンジにはじめて「ありがとう」と言う。
クラスの委員長・洞木ヒカリはトウジのことが好きで気にかけていた。
第18話『命の選択を』
3号機のテストが行われるが、第13使徒バルディエルに機体が乗っ取られており、暴走してしまう。暴走を止めようとした零号機と2号機は倒され、シンジは中には子どものパイロットが入っていると言って、戦おうとしない。
ゲンドウはダミープラグ機動を命令。初号機は3号機は引き裂き、喰らう。エントリープラグを破壊してやっと止まった。重傷を負ったトウジが中から出てくる。
第19話『男の戰い』
トウジがフォースチルドレン(第4パイロット)だと知らなかったシンジは怒り、エヴァから出ようとせず強制排出された。実は第一中学校のクラスメイト全員がパイロット候補者だったのだ。
トウジはベッドで目覚め、シンジが隣に寝ているのを見る。委員長ヒカリが見舞いにきた。
シンジはエヴァ搭乗を拒否し、ネルフから出ていく。しかし街に第14使徒ゼルエルが現れ、2号機は両腕と頭部切断。自爆しようとした零号機も頭部裂傷で戦闘不能に。目の当たりにしたシンジは初号機に乗り戦うが、動力が切れる。
シンジの願いをエヴァが聞き入れ、シンクロ率400%を達成。初号機は覚醒してゼルエルを倒し、喰ってS2機関(永久機関/生命の)を取り込み、自らの左腕の損傷を回復させた。制御装甲も取れていく。
第20話『心のかたち 人のかたち』
初号機は止まったがエントリープラグが出せない。シンジは中で液状の生命のスープと化し、意識の中でさまざまな映像を見ていた。
シンジの肉体を固定して救出する作戦が決行されたが、初号機に拒絶されて失敗。ミサトはプラグからスーツだけ出てきたのを見て泣くが、横からシンジが裸の状態で出てきた。
ミサトは加持とラブホテルで愛しあい、マイクロチップの入ったカプセルをもらう。
第21話『ネルフ、誕生』
1999年。教育機関に勤める冬月コウゾウは、碇ユイや六分儀ゲンドウと知り合う。
2000年のセカンドインパクトあと、冬月はゲンドウたちの組織ゲヒルンが関わっていた事実を公表しようとするが、ゲンドウに誘われて組織ゲヒルンに入る。
2005年のエヴァ計画実験中にユイが死亡。ゲヒルンはネルフとなった。
その後、ゲンドウと愛人関係にあったリツコの母・ナオコは、小さな綾波レイを見つける。彼女から、ゲンドウがおばさんは用済みと言っていたと聞かされ、怒りで首を絞めて殺したあと、自身も自殺。
冬月はゼーレに拉致されたが、加持によって解放される。加持はミサトに留守電を残し、消息を絶った。
第22話『せめて、人間らしく』
アスカは先の戦いで何もできずプライドがズタズタにされ、精神が不安定だった。そんな中、第15使徒アラエルが上空に現れる。2号機が出動するが、謎の光で精神汚染されアスカは苦しむ。ゲンドウの命令で零号機がアダムからロンギヌスの槍を引き抜き、それを投げてアラエルを消滅させた。アスカは助かる。
第23話『涙』
アスカはミサトの家に帰らず、ヒカリの家でゲームをしている。
第16の使徒アルミサエルが出現。零号機が出動するが、ボディが侵食される。初号機が出動する中、綾波はATフィールドで使徒を封じ込めて自爆。第3新東京市の大部分が巻き込まれた。
シンジは病院で生きていた綾波に駆け寄る。しかし彼女にはシンジを助けた記憶がなく「わたしは3人目」と言った。
リツコはゲンドウによってゼールに差し出された後、本部に戻りシンジとミサトに地下の綾波の部屋や、エヴァの墓場(失敗作廃棄場)を見せる。
続けてダミープラグのもとである部屋に行き、リツコは15年前に人類は神を拾って罰を受け、アダム(神)を復活させ、アダムからエヴァを作ったと言う。そして、液体の中にいる魂のないたくさんの綾波のボディを見せて、破壊した。
第24話『最後のシ者』
放浪していたアスカは7日後に職員によって連れ戻される。
リツコは監禁され、ゲンドウにあのときのように凌辱すればいいと言った。
フィフスチルドレン・渚カヲルが現れ、2号機のテストを完璧にクリア。カヲルはシンジと仲良くなった。
しかしカヲルの正体は最後のシ者、第17使徒タブリスであり、彼は2号機を従えてアダムのいるセントラルドグマに向かう。それを初号機が追いかける。
しかしカヲルはアダムを見て、それがリリスだと知り行動を止める。2号機を倒したシンジはカヲルを握り潰した。カヲルは首が切断され死亡。
シンジは海辺で悩み、ミサトが声をかける。
第25話『終わる世界』
ゲンドウは人類補完計画は、人間の満たされない魂を統合し、始まりや安らぎへ導くことだと語った。
人類補完計画が進行し、シンジ、アスカ、綾波、ミサト、リツコの魂は融合をはじめ、それぞれが内面を見せることに困惑してトラウマに怯える。
最終回 第26話『世界の中心でアイを叫んだけもの』
2016年も人類補完計画は続行。
シンジの心を映像化した風景と、過去のセリフがひたすら流れる。哲学の存在論的転回のような疑問が繰り返される中、シンジはゲンドウとユイがいる普通の家庭で生き、アスカと幼馴染で、綾波が転校してくる。ミサトが担任だ。そんな世界もまた真実だと悟った。
最後は自分を肯定して「僕はここにいていいんだ」と口にして、心の中のみんなが拍手を送る。
『新世紀エヴァンゲリオン』旧アニメ版 完
最終回ラストの意味を考察
人類補完計画の発動やネルフがどうなったか全く描かれてなくて笑える(旧劇場版『Air/まごころを、君に』でグロい現実が明らかになるのだが)。
NHKで『プロフェッショナル仕事の流儀 庵野秀明』を見てみると、アニメの25話・26話は制作が追いつかなくてこんな感じになったようだ。(ちなみに放送の後、庵野監督は熱狂的なファンにネットで叩かれ殺害スレッドまで立てられて、鬱になったらしい。)
この最終回の意味としては、シンジが自分自身を肯定して思春期を卒業した。
自分=世界ならば、自分の肯定=世界を救う。
アニメ版のラストは、その図式をアートっぽく抽象的に描いたのだろう。
2021年3月公開の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は、話が一新されてよりわかりやすい結末が描かれている。
アニメ エヴァンゲリオンとシュルレアリスム考察
(↑マグリットっぽいシンジ)
少しでもアートを知っている人なら、エヴァンゲリオンがシュルレアリスムという芸術形態から影響を受けているとわかるはずだ。
シュルレアリスムは20世紀初頭に提唱された、フロイトの精神分析などをもとにしたアート表現の一種で、夢のような非現実的な空間=超現実的なシーンを描く方法。
個人的にエヴァは、サルバドール・ダリやルネ・マグリットの絵が近い気がする。使徒の形状などが、もろシュルレアリスムという感じ。
登場キャラの心理に大きくスポットが当たっていることもあるし、エヴァンゲリオンのコンセプト自体がシュルレアリスムに近いのだろう。
そう考えると、25話・最終回26話は作品の方向性としてある面、間違っていないと思う。庵野監督をインタビューしたプロフェッショナル仕事の流儀でも、シュールレアリスムっぽい思考が垣間見えて面白い。
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