2024年3月1日配信のNetflix韓国映画『ロギワン』。ベルギーへ逃げた脱北者が必死に生きていく心が締め付けられる物語です!
物語ネタバレあらすじ・ラスト結末解説
視聴後の正直な感想・評価レビュー(ネタバレあり)
ストーリー考察
これらの情報をわかりやすく解説していきます!
Netflixオリジナルの韓国映画『ロギワン』(My Name Is Loh Kiwan)。脱北した青年が異国の地ベルギーで想像を絶する苦悩を味わうシリアスなヒューマンドラマ! シネマグ ソン・ジュンギが体当たりで汚れ役に挑[…]
韓国映画『ロギワン』ネタバレあらすじ解説
ベルギーでの苦難と出会い
青年ロ・ギワン(ソン・ジュンギ)は北朝鮮から中国へ亡命してそこで暮らしていたが、最愛の母の事故死がキッカケでベルギーの首都・ブリュッセルに逃げてきた。
ギワンは難民申請を行うがIDや旅券などの身分証がない。通訳に頼んで北朝鮮からの亡命者であると認定を受ける手続きをする。
しかし通訳のキム・ギョンシルは忙しく、次の面会は年明けの2月にしかできないと言われる。
行くあてのないロギワンは公衆トイレで寝泊まりし、ビンや缶を集めてなんとか食べ物を買うためのお金を作って生活をした。
ある日、ロギワンは現地の人間から殴られたあとでコインランドリーで倒れていた。すると、イ・マリ(チェ・ソンウン)という女性に母の形見の財布を盗まれてしまう。
翌日、ロギワンが警察に訴え、マリは警察で聴取を受けた。
母の死で生きる希望を失っていたマリ。彼女には窃盗の前科がある。
マリは刑務所行きを逃れるため、ギワンに「盗んだ額を少なく証言したら財布と金を返す」と約束。ギワンは仕方なくそうする。
警察署の前にマリの父イ・ユンソンが迎えにきていた。マリが幼い頃に家族で北朝鮮からベルギーに移住したらしい。ユンソンは商売で成功しているようだった。
マリは賭博射撃の店を経営するシリルに「財布と金を返して欲しい」と言った。シリルは「来週の賭け試合に出ろ」と交換条件を出す。
マリは元ベルギー代表の射撃の選手だった。しかし、遠征に言っている間に病気の母が死亡。母が安楽死を選んだと知ってショックを受け、生きる気力を失って精神的に不安定になってしまったのだ。
マリは賭け試合に勝って財布を取り戻し、ロギワンに返した。
ロ・ギワンはマリの紹介でイルシムの精肉工場で働く。同僚で同じく北朝鮮出身のソンジュと仲良くなった。
ギワンは寮にマリを呼び、一緒にご飯を食べた。
マリの父・ユンソンは身分が不安定なギワンに「娘に近づかないでくれ」と言う。
過去の回想:中国での生活
脱北したロ・ギワンと母は、叔父と一緒に中国の延吉(イエンチー)に逃げ、その地で貧乏暮らしをしていた。
ロ・ギワンはいじめられている同志を助けて警察とトラブルを起こし、指名手配されている。そのため働くことができなかった。
代わりに母が飲食店で働いてギワンを食わせていた。
ある日、ギワンと母は警察に見つかって追われる。その途中で母がトラックにひかれてしまった。叔父がやってきてギワンに逃げろと言う。
その後、叔父がギワンに母の財布と金を渡し、「ベルギーへ逃亡しろ」と言った。母の死体を病院へ売って金を手に入れたという。
ロ・ギワンはショックで手首を切ろうとするが、叔父が止めた。
ギワンは母が轢かれた通路にやってきて、泣きながら血を拭いた。
ロ・ギワンとマリの蜜月
難民認定の公判が始まる。同僚のソンジュが「ギワンは難民認定を受けたいだけの韓国系中国人だと思う」と嘘の証言をした。
公判後、ギワンはソンジュに対して怒りをぶつける。
精肉工場にいられなくなったギワンは中華料理屋で働きはじめた。
中国に強制送還されることになったソンジュが謝罪に来る。雇い主が難民管理局から調査を受けており、「書類の偽造がバレないようにギワンは中国籍だと証言すれば雇用を延長する」と言われたようだ。
中国にいるソンジュの末娘は病気で、治療費が必要なので仕方なく嘘をついたと言う。
マリはドラッグに溺れていた。
ギワンはマリの目を覚ますためにドラッグを飲み込み、倒れた。マリが慌てて注射を打って助ける。
目を覚ましたギワンは「ドラッグをやめないなら、何回もこの方法で止めさせる」と言った。
ロ・ギワンとマリは恋に落ち、同棲した。
ラスト結末
中国に帰ったソンジュから、ギワンの母が死んだ事故についての新聞が送られてくる。
2回目の公判では、ギワンの弁護士は新聞に脱北者死亡と書かれていることから、「ギワンが北朝鮮出身であり難民認定を受ける資格があることは明らかだ」と主張する。
ギワンはマリが家に帰ったのではなくシリルに呼び出されたのだと思い立ち、公判を抜けてシリルの賭博場へ走った。
シリルは銃撃戦のすえ商売敵のゲルトを殺害した。
そしてマリに「一緒にオランダへ逃げてそこで商売をし、借金を返そう」と言った。
やってきたギワンがシリルにつかみかかる。マリがシリルを撃った。
ギワンがトドメを刺そうとするマリを止める。2人はその場から逃げた。
ベルリンからやってきたゲルトの仲間がシリルたちを追い詰めて殺害した。
ギワンはマリに「命を狙われないよう海外へ逃げろ」と言う。難民認定されていない自分は一緒に海外へ行けないことはわかっていた。
後日、マリは父・ユンソンに金を用意してもらい空港へ。
マリは父に「病気の母に苦しんで欲しくなかったが、消えて欲しいとも思っていた」と告白。そんなときに母が安楽死を選んだので、ずっと自分を責めていたのだ。
ギワンは「必ず会いに行く」と言ってマリを見送った。
1年後。真面目に働いて難民認定を受けたギワン。これでやっと国外へ行ける。難民の認定もパーになるが。
ギワンはフィリピンで暮らしているマリをたずね、抱きしめた。
映画『ロ・ギワン』終わり
韓国映画『ロギワン』ネタバレ感想・評価
エグすぎる脱北者の海外生活
韓国や日本で絶対的な人気を確立しているソン・ジュンギが、血にまみれたエグすぎる移民生活を送る過程に度肝をぬかれます。
ラブロマンスというよりは、移民の辛酸を舐める生活を徹底的に描いて視聴者にライドさせるシリアスなヒューマンドラマと言ったほうが近いでしょう。
あのソン・ジュンギが公衆トイレでホームレスをする汚れ役を演じ切ります。現地の人に殴られます。ずぶ濡れでコインランドリーで倒れます。ドラッグで死にそうになります。自慰行為をします。ナイフを素手でつかんで血だらけになります。汚れた道路で母の血に塗れて泣きます。
徹底してますね。汚れた生活を含めて人間なのです。
あまりこんなことは言いたくないですが、日本の映画界もこの俳優魂は見習ってほしいと思いました。
考察:韓国が表現する移民の不条理
ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』などがいい例ですが、韓国映画は社会問題をしっかり入れ込んできます。
『ロ・ギワン』では脱北者がベルギーで難民申請をする設定により、韓国や北朝鮮のみならず世界の移民問題に通じる普遍的なストーリーに仕上がっていた点がすばらしいです。
社会派というにはドラマティックな展開も多かったですが、それでも移民や脱北者の切迫した生活に少し触れた気がします。
彼らがどんな思いで
細かい部分も練られていた
マリが生きる希望を失った理由については母が安楽死しただけだと少し弱いと感じていましたが、ラストで母がいなくなることを願った矢先の安楽死で、自責の念にかられていたことが判明します。
行動原理で「そうだったのか」と思わせたのがすごいですね。
また、ロ・ギワンがマリに対して「女を殴る男は一生変わらない」と言っていましたが、このセリフからギワンと母は長年父の暴力に苦しんできたのではという推測ができます。
細い部分についても少ない情報でしっかり伝えられていたと思います。
最後のまとめ
韓国映画『ロギワン』は脱北者の実情を徹底的に描いた完成度の高いヒューマンドラマでした。
ソン・ジュンギ演じる主人公・ギワンの境遇が辛すぎて見ていて苦しくなるシーンが多かったですが、同時に生きる力強さにも触れることができました。
こういう真に迫るタイプの映画って素敵ですよね。ソン・ジュンギの今後にも期待大です。
ここまで読んでいただきありがとうございます。映画『ロ・ギワン』レビュー終わり!
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