実写『寄生獣』考察ネタバレ「パラサイトの正体や意味!母の絆」邦画解説レビュー

  • 2024年4月5日

原作を小学校の頃に読んで感動しまくった『寄生獣』の実写版を視聴!

原作の内容がおぼろげなこともあってか、すごい面白かった。駄作が多い実写化邦画の中ではかなり上位に来ると思います。

シネマグ

何よりメッセージ性が深く、壮大です。

そんな映画『寄生獣』(2014)と『寄生獣 完結編』(2015)について、ネタバレありで考察していきます。ストーリーの背後に隠されたメッセージをくみとっていきましょう!

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実写映画『寄生獣』考察ネタバレ

パラサイトの正体や、生まれた意味

人間に寄生して人間を食う生命体をパラサイトと呼びます。

パラサイトがなぜ突然人類のまえに現れて寄生し、人間を食うようになったのか?

この答えは、ゴミ処理施設で新一と対峙した後藤によって語られました。

すなわち、パラサイトが誕生したのは人類を破滅から救うためなのです。

  • このまま環境破壊を続ければ人類が人類を破滅させる結果になるかもしれない
  • パラサイトは人類をも助けるために人類の数を減らして調整しようとした

という理屈です。

人類を助けるために人類を食う…深いしエグいですね。

もし地球が意思を持っているとすればパラサイトという種を送り込んだ最大の目的は人間を減らすことでなく、人類以外にも知的生命体がいると気づかせて謙虚になってほしかったからかもしれません。

人類がパラサイトとの共存を学ぶことで、他の動植物たちの存続にも真剣になることができるのです。

パラサイトは地球からのメッセンジャーでした。

人間こそが寄生獣

パラサイトと見せかけて人間だった市長・広川剛志(北村一輝)は「パラサイトではなく人間こそが寄生虫、いや獣、寄生獣だ!」と言いました。

  • パラサイトは人間に寄生して生きている
  • 人間は地球に寄生して生きている

こういうわけです。

寄生獣=パラサイトのことかと思いきや、映画を見ているわたしたちも寄生獣だ!と突きつける発想の転換がある作品でした。

母と母

実写版の大きなテーマが、新一の母・信子と田宮良子(深津絵里)の対比です。2人の母を通して母親とは何かが浮かびあがってきます。

信子は新一が幼い頃に彼を守るために油の入った鍋を受け止め、今でも腕にヤケドのあとが残っています。

信子はAに体を乗っ取られたあと、ヤケドがある腕でAの攻撃をそらせて新一を守りました。

田宮は自分が産んだ赤ちゃんを守って死にます。

田宮の頭脳と戦闘力なら警官たちと戦って生き延びることもできたはずですが、「自分が身をていして赤ちゃんを守ることで母とはどういうものか伝えたかった」かのようでした。

2人の母に共通するのが、「肉体は滅んでも母の愛は死なない」という力強いメッセージ。

新一やミギーとパラサイト、そして人間たちを仲裁する役割を担ったのが信子と田宮なのです。

実写映画『寄生獣』感想・気になった点

邦画の実写化は『デビルマン』や『進撃の巨人』でもうコリゴリかと思いきや、実写『寄生獣』の2作はアクション・メッセージ・ヒューマンドラマ、どれをとっても素晴らしい良作でした。

山崎貴監督は2023年に『ゴジラ-1.0』を大ヒットさせましたが、改めて実写『寄生獣』を見るとエンタメ性だけでなく深いメッセージ性まで届けてくれる力を持っていると再認識させられました。

『ゴジラ-1.0』はアカデミー賞視覚効果賞をアジアで初めて受賞する快挙を成し遂げましたが、実写『寄生獣』のCGも2014年の作品にしては素晴らしい完成度だったと思います。

シネマグ
パラサイトの顔面がパカッと割れるシーンはグロく、肉の刃物による戦闘シーンは美しかったです。

ストーリーテリングも秀逸。新一と母との絆、そしてミギーとの絆がヒシヒシと伝わってきました。

唯一気になるといえば、ラストで里美を助けるシーンがくどかった点

確か原作漫画だと、ミギーの存在がもっと儚く描かれていてすごい味わい深かったと思うのですが、実写版だと里美まで「ミギーありがとう」と言ってしまうくどい結末が少し残念でした。

ラストで漫画版みたいな余韻が残るテイストにしたら何が起こったかわからない人が続出する可能性があるので、そのあたりを考慮してわかりやすくしてしまったのでしょう。

私よりも原作が好きな人からしたらもっと細かい点で気になったところがあるんでしょうけど、個人的にはラスト以外の改変はそこまで違和感なかったです。

感想を語る犬
傑作漫画をしっかり実写化できた奇跡に感謝です。ありがとうミギー。