スティーブン・キング原作の映画『IT/イット それ が見えたら、終わり』の正直な感想レビューややピエロ殺人鬼ペニーワイズの正体をネタバレ有りで考察しています!
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映画『IT/イット それ が見えたら、終わり』ネタバレ感想・評価
ぶっちゃけストーリーは
- 連続殺人ピエロ・ペニーワイズに子供たちが次々と襲われる
- 子供たちが団結して立ち向かいなんとなく倒す
これだけ。
これだけなんですが、ペニーワイズがその子供が1番怖がるであろう姿に変身して襲いかかるシーンのすべてが最高です。
まずオープニングで主人公・ビルの弟・ジョージーが襲われるシーンはホラー映画屈指の名場面ではないでしょうか?
雨の中、排水溝の下のペニーワイズに話しかけられる。腕を食いちぎられる。血だらけで排水溝の中に引き摺り込まれる。最高のコンボです。芸術的ともいえるでしょう。
子供が腕を食いちぎられる描写って制作側もためらいそうですが、そこまで徹底的にやったことで素晴らしいシーンが完成しました。
ユダヤ人少年・スタンが追いかけるときは、ペニーワイズはスタンが嫌いなモディリアーニの絵画の女性に扮して襲ってきます。このシーンも最高におぞましい。
黒人少年マイクの場合は火事で肉親が死んだ過去が再現されています。
『It』の怖さは子供の頃のトラウマを喚起させるところにあるのです。
ひと皿ひと皿が素晴らしさが、そのまま映画全体の完成度につながっています。
もちろん、ヤツメウナギのように歯がたくさんあるペニーワイズの風貌も怖い。
あとはピエロと赤い風船という絵が極めてアート的ですよね。シュールアートっていう感じです。それもあってすべてのカットに絵画的なカタルシスがあります。
ビルを演じるジェイデン・マーテルの演技が良かったですね。若いのに吃音の演技を違和感なくこなしていたと思います。
殺人ピエロ/ペニーワイズの正体考察(ネタバレ)
スティーブン・キング原作らしく連続殺人ピエロ・ペニーワイズの正体はハッキリとは語られませんが、想像する余地と楽しさがあります。
個人的に「こういう解釈もありでは?」というものを書いていきます!
モデルがいた
まずペニーワイズには非公式ですがモデルがいるといわれています。
パーティーでよくピエロの格好をしていた連続殺人鬼ジョン・ゲイシーです。(通称:殺人ピエロ、キラークラウン)
ジョン・ゲイシーは1970年代に33人もの少年・青年たちに性的暴行を加えて殺害し、遺体を自宅に埋めたアメリカ史でも最悪なシリアルキラー。
ゲイシー自身も父親からひどい虐待を受けており、心疾患など持病を持っているなど、ベバリーやビルのキャラに通底する要素があるのが興味深いです。
モデルにしただけでペニー・ワイズ=ジョン・ゲイシーと安易に断定することはできません。
しかしゲイシーの生い立ちを考えると、虐待被害者が大人になって虐待を繰り返すような不条理が浮かび上がってきます。
トラウマが自身にもたらす不条理・負の連鎖を具現化したのがペニー・ワイズなのかもしれませんね。
救われなかった子供の恨み
広い視点で捉えると、ペニーワイズは救われなかった子供たちの恨みの集合体とも考えられます。
本作では太っちょの少年・ベンが図書館で街の歴史を調べ、祭りの爆破事故で88人の人間が犠牲になった資料を見つけます。その挿絵には首が吹き飛んだ子供の絵が描かれていました。
この事故が示しているのは、さまざまな事故や事件で助けられることなく死んだ子供たちが無数にいるという当たり前の事実です。
さらに主人公たちをいじめるヘンリー・バワーズの顔や笑い方がどことなくペニーワイズに似ているのも気になりました。
ヘンリーも警官の父親から厳しくされすぎて精神がねじ曲がったようであり、ついには父親を刺殺してしまいます。彼はそこが見えない井戸の中に落ちてしまいました。
ビルやビバリーなど主人公チームは救われた側。ヘンリーは救われなかった側という対比構造があるのです。
先ほどのトラウマの不条理さ、負の連鎖を加味すると、被害にあった子供たちの怨念が逆恨みを起こしてもおかしくありません。
救われなかった子供たちの魂は下水を流れてピエロの屋敷に到着し、ペニーワイズの一部として取り込まれたのではないでしょうか。
子供心を殺す大人のメタファー
私たちが子供の頃に持っていたワクワクや希望は、大人になる過程で壊されます。
サンタクロースはいない。好きなことじゃ生きていけない。現実は厳しいなどなど。大人の何気ない言葉によって子供の心は殺されているわけです。
ペニーワイズは子供心を殺す大人の象徴ではないでしょうか。
大人になる通過儀礼的な意味もあると思いました。
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