Netflix映画『アイ・ケイム・バイ』(I came by)は、老人の屋敷に忍び込んだ青年がある秘密を発見し、悲劇に巻き込まれていくサスペンススリラー!
作品情報・キャスト・あらすじ・見どころ、ぶっちゃけ感想・評価、ラストの意味・テーマ考察、ストーリーネタバレあらすじ解説を知りたい人向けに徹底レビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
作品についての視聴者・口コミアンケートも投票お願いします↓
Netflix映画『アイ・ケイム・バイ』作品情報・キャスト紹介
原題:『I Came By』
ジャンル:サスペンス
監督:ババク・アンヴァリ(『ワウンズ呪われたメッセージ』『アンダー・ザ・シャドウ』)
脚本:ババク・アンヴァリ/ナムシ・カーン
登場人物・キャスト紹介
登場人物 | キャスト・出演作 |
トビー 金持ちの家に忍び込んでスプレーで「I Came By」と書き、ネットで格差社会根絶のメッセージを発信する無職の青年。 |
ジョージ・マッケイ (『1917命をかけた伝令』) |
ジェイ トビーの親友。恋人のナズと一緒に暮らしている。 |
パーセル・アスコット (『THE INNOCENTS イノセンツ』) |
ヘクター・ブレイク卿 元判事で屋敷に1人で住んでいる老人。 |
ヒュー・ボネヴィル (『パディントン』シリーズ。ドラマ『『ダウントン・アビー』』) |
リズ トビーの母 |
ケリー・マクドナルド (『トレインスポッティング』『ノーカントリー』) |
ナズ | ヴァラダ・セィスー (『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』) |
ネタバレなし感想・あらすじ・海外評価
あらすじ:貧困家庭に育ったトビーとジェイは金持ちの家に忍び込んで「I Came By(参上)」と壁にスプレーアートをする活動を繰り返していた。ジェイは昼は庭師をしており、有名な元判事のヘクター・ブレイク卿の家の庭を整備した後に中に忍び込んで次のターゲットに定める。しかしジェイは恋人・ナズから妊娠したと聞き、トビーに「もうスプレーアートの活動はしない」と言った。トビーは1人でヘクターの家に忍び込み、恐ろしいものを発見してしまう…。
サスペンススリラーによくある怪しい老人の秘密と、イギリスが抱える格差社会や移民問題などの社会的なテーマがいい具合に混ざり合っています。
ストーリーが淡々と進んでいくので刺激が欲しい人には向いてないかもしれませんが、さまざまなアイデアを盛り込んだ斬新なサスペンスを見たい人にはおすすめしたいです!
おすすめ度 | 74% |
アイデア | 80% |
ストーリー | 75% |
IMDb(海外レビューサイト) | 6.0(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 70% 一般の視聴者 47% |
メタスコア(Metacritic) | 57(100点中) |
※以下、Netflixのストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『アイ・ケイム・バイ』ネタバレ感想・評価
主人公のトビーは開始40分でヘクターに殺されて退場。息子の心配をする母・リズの主観で話が進んでいきます。
リズはトビーを探すためヘクターの家に忍び込んで捕まり、殺されます。
そして次はトビーの親友・ジェイが主人公っぽい感じでヘクターと対決!
この主人公の途中退場はミケランジェロ・アントニオーニ監督の『情事』と同じコンセプトですね。意識したのでしょう。
老人宅に誰かが監禁されているアイデアは『ドント・ブリーズ』(2016)っぽいです。
サイコパスな老殺人鬼・ヘクターは、『羊たちの沈黙』や『ハンニバル』のレクター博士に似ています。
ラストの意味考察
最後にいたのは誰?
最後にジェイが見つけたのは、最初にトビーが地下室で見つけた衰弱した中年男性です。
この男性はヘクターから虐待を受けており、彼の性的嗜好や優越感を満たすために“飼われていた”のだと思われます。
恐らく中盤で登場したペルシャ系男性・オミードと同じ身元が不安定な移民なのでしょう。
ヘクター卿の話のなかで、「昔父と肉体関係になった移民のラビという男性をボコボコに殴った。殺そうかと思った」と言っていたので、もしやこの男性がラビなのでは?と思いました。
しかしラビがヘクター卿と同じ世代だとしたら老人のはずなので年齢が合いませんね。
巧みなミスリード
ヘクターがトビーを殺したシーンやリズを殺した場面は意図して映されていませんでした。
それがあって、「もしかして2人は生きているかも!」と思いこまされ、実際は生きていたのは衰弱した男性だけという驚愕のラスト。
希望というミスリードが効果的に機能したオチでした。
主人公の喪失
結局この映画は何が言いたかったのか?
序盤での主人公の喪失から汲み取れます。
結論からいうと、英雄は何度も交代してすぐに忘れ去られるが、支配者は変わらないと伝えているのだと思いました。
ヘクター卿のような権力のある差別主義の白人老人に世の中が支配されており、いろんな人が立ち向かっては消えてく。しかし権力者である白人老人たちの支配は変わらない。
その構造を暗に表現したのが本作だと思いました。
映画『アイ・ケイム・バイ』ネタバレあらすじ解説
トビーはヘクターの外出時に屋敷に忍び込み、家の地下室の棚の裏に隠された秘密の扉を発見。
中を見ると監禁されて衰弱した男性がいる。
トビーは屋敷から逃げ出し、警察に匿名で電話する。警察はヘクターの家を調査するが、ヘクターが権力者であるため、ろくに調べずに帰って行った。
トビーは仕方なく再度ヘクターの家に忍び込んで、地下室の男性を助けようとする。しかし失敗し、ヘクターに捕まって殴られてしまった。
トビーの母・リズは警察に行方不明届を出す。
ヘクターを怪しんだジェイはヘクターへの郵便をトビーの部屋に忍ばせた。リズはヘクター卿が関係していると勘づく。
刑事ロイドはヘクターの家を調べるが、地下室の隠し部屋の中には備蓄された食料しかなかった。
差別主義者のヘクターは黒人のロイドに暴言を吐く。ロイドは公務執行妨害でヘクターを逮捕。
しかしヘクターは警察署長と繋がりがあり、すぐに釈放されてしまう。
いきどおったリズはヘクターの屋敷を日夜監視。
すると、屋敷からペルシャ人移民のオミードが薬を飲まされてフラフラの状態でヘクターの家から出てくるのを目撃して助ける。オミードは家に招かれて酒に薬を入れられたと言った。
しかし、移民就労の申請に影響が出ると考えたオミードはこの件を警察に話さない。
後日オミードは、ヘクターから「移民申請で便宜をはかってやる」と言われ車に乗り込んでしまう。
リズはヘクターが出かけた隙をついて屋敷に忍び込んだ。しかしヘクターに捕まってしまう。地下室では目の前にオミードの死体があった。
その後、トビーやリズの行方を突き止めたいジェイは、ヘクターの屋敷に侵入。しかし家は売りに出せれており、何の証拠もない。
ジェイは大学での講演会を終えたヘクターの車を尾行し、彼の屋敷を突き止めた。ジェイはヘクターと揉みあいになり、彼をボコボコにして縛る。
ジェイは屋敷の赤い扉を開ける。そこにいたのは衰弱した中年男性(最初にトビーが見つけた)でした。
トビーもリズもすでに死んで始末されたようです。
ジェイは愕然とします。
刑事ロイドがヘクターを逮捕しました。
映画『アイ・ケイム・バイ』END!
最後のまとめ
Netflix映画『アイ・ケイム・バイ』はアイデア・コンセプトは良かったものの、全体的には刺激が少なめの微妙な作品でした。
もう少し何かあれば良作になっていたと思うと残念ですが、主人公の喪失やラストの意外性、浮かび上がるメッセージには優れたものがあり、見る価値はあったと感じました!
ここまで読んでいただきありがとうございます。『アイ・ケイム・バイ』(I came by)レビュー終わり!
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