Netflixアニメ映画『雨を告げる漂流団地』。少年少女たちが団地ごと海を漂流してしまう奇抜なファンタジーで、心の成長がヴィヴィッドに描かれます!
作品情報・声優・あらすじ、ぶっちゃけ感想・評価、黒い物体・のっぽくんの正体を考察、物語のネタバレあらすじ解説を知りたい人向けに徹底レビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
作品についての視聴者・口コミアンケートも投票お願いします↓
Netflix『雨を告げる漂流団地』作品情報・キャラ・声優
英題:『Drifting Home』
ジャンル:アニメ・ファンタジー
監督:石田祐康
脚本:森ハヤシ/石田祐康/坂本美南香
原作:なし(オリジナル作品):映画をノベライズした小説が刊行されている
制作:スタジオコロリド
配給:Netflix
『ペンギン・ハイウェイ』『泣きたい私は猫をかぶる』などが世界的に評価されたスタジオコロリドの長編アニメ映画の第3弾!
期待されているだけにクオリティはどんなかな?と不安もありましたが、予想を上回る素晴らしい物語でした!
2024年にはスタジオコロリド×Netflixの第2弾『好きでも嫌いなあまのじゃく』も配信!
登場人物・声優
登場人物 | 声優 |
熊谷航祐 | 田村睦心 |
兎内夏芽 | 瀬戸麻沙美 |
のっぽくん | 村瀬歩 |
橘譲 | 山下大輝 |
大志 | 小林由美子 |
令依菜 | 水瀬いのり |
珠理 | 花澤香菜 |
予告+あらすじ(ネタバレなし)
熊谷航祐は、幼少期に築60年以上のオンボロ団地に住んでいた。
祖父の安次が同級生の兎内夏芽の面倒を一時期見ており、航祐と夏芽は実の姉弟のように育った。
しばらくして祖父が亡くなり、夏芽は母親が引き連れて行く。
古くなった団地は取り壊しが決まり、幽霊が出ると噂が立っていた。
小学校6年生になった航祐と夏芽は、お互いに意識しすぎて口も効かなくなってしまう。
航祐は友達の大志と譲(ゆずる)に連れられて、団地にオバケ探しにやってきた。祖父の安次が住んでいた部屋へ行くと、押し入れで寝ている夏芽を見つけてびっくりした。
夏芽は航祐たちを屋上へ案内した。テントがはってある。この団地にはのっぽくんという小学生がおり、夏芽が彼のためにテントを作ってあげたようだ。
“のっぽくん”とは何者なのだろうか?
航祐のことを好きな令依菜と、その親友の珠理も屋上にやってきた。
そんな中、団地がある大きな異変に飲み込まれる…。
ネタバレなし感想・海外評価
団地が海を漂流するという子供が大好きであろうファンタジー冒険譚である一方、どんな大人にも突き刺さる感動的なメッセージをはらんだ、コンセプトに優れた作品です。
ただのジュブナイル作品ではありません。
思い出と建物そのものを上手にリンクさせ、過去のトラウマを解消していく流れは見事。
比較すると怒られそうですが、同じく2022年のNetflixオリジナルで酷評されまくってしまった映画『バブル』のような中身が薄い感じの物語では決してなく、深いメッセージが感じられます。
ファンタジーでは『地球外少年少女』よりも好みでした。
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おすすめ度 | 80% |
世界観 | 90% |
ストーリー | 82% |
IMDb(海外レビューサイト) | 6.8(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 56% 一般の視聴者 64% |
メタスコア(Metacritic) | 53(100点中) |
※以下、映画『雨を告げる漂流団地』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『雨を告げる漂流団地』ネタバレ感想・評価
航祐と夏芽を主軸にしたワクワクの冒険譚でありつつ、建物や施設を少年・少女としてメタファーで登場させ、切ない別れを表現した奥行きのある作品でした。
誰もが子供時代の思い出の場所があるはず。しかし、建物にはろくな挨拶もせずその場所から離れて暮らしていたり、その建物がとり壊されてもうなかったり。
思えば、建物との別れも人間との別れのようなものなんだと思います。
団地の化身・メタファーとしてのっぽくんを擬人化。
そして団地や施設などへの感謝の気持ちを形にした素晴らしいコンセプトに心をうたれました。
さらに、親が仲が悪くて自分に構ってくれなかったという夏芽の心の傷が冒険の中で癒えていったのも感動的。
自分が必要のない人間なんだと感じて感情を表に出さない夏芽の心理描写は非常にリアルで刺さるものがありました。
夏芽は親代わりになってくれた航祐の祖父・安次が死んでしまい、さらに航祐とも疎遠になって、別れがトラウマになっていました。
だからこそ中盤で、のっぽくんと一緒に団地に留まることを決意したのです。
それが最後には、のっぽくんに前向きな気持ちでお別れを告げます。
団地だけでなく観覧車のある施設も登場し、フロリダの遊園地を自慢していた令依菜が過去を思い出す流れも感動的でした。
規模では海外の超大型施設にはかなわないかもしれませんが、幼少期に過ごした思い出の場所は唯一無二で、代えがたいものです。それがしっかり伝わってきました。
『雨を告げる漂流団地』は、海の上で団地が漂流する冒険の中で、人生において大切なものは何かを教えてくれる良作でした。
考察(ネタバレ)
プール施設で食べ物を渡したのは誰?
航祐たちはプール施設で誰かが置いてくれた食料を手にします。一体誰が置いていったのでしょうか?
まずのっぽくんや観覧車の少女の正体は、団地や施設の化身です。それと同じような存在のプール施設の化身が食料を置いてくれたのでしょう。
プール施設の化身は姿を見せませんでしたが、夏芽との思い出を覚えていてくれて食料をくれたのだと思います。
黒い物体の正体
終盤で航祐と夏芽とのっぽくんは、団地ごと黒い物体・エネルギーの渦の中に吸い込まれていきます。
しかし、のっぽくんの2人を守りたい決意で、闇から抜け出すことができました。
推測になりますが、のっぽくんのような建物の化身たちにとっての天国と地獄のようなところがあるのでしょう。
のっぽくんが最後にたどり着いた島が天国的な場所で、黒い物体に飲み込まれたら地獄行きなのだと思います。
のっぽくんは航祐と夏芽を思う気持ちが強かったことに加え、2人を仲直りさせることができたので闇から脱出できたのでしょう。
↓『雨を告げる漂流団地』のラスト結末解説は2ページ目へ↓
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