Netflix映画『ハリガン氏の電話』(Mr. Harrigan’s Phone)。高校生が死んだ老人とスマホでつながる不思議な物語!ホラー小説界の巨匠スティーブン・キングの同名小説が原作です!
作品情報・キャスト・あらすじ・見どころ、ぶっちゃけ感想・評価、考察:ラストやテキストメッセージの意味を知りたい人向けに徹底レビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
作品についての視聴者・口コミアンケートも投票お願いします↓
Netflix映画『ハリガン氏の電話』作品情報・キャスト解説
原題:『Mr. Harrigan’s Phone』
ジャンル:ヒューマンドラマ・ホラー
監督・脚本:ジョン・リー・ハンコック
原作:スティーブン・キングの同名中編小説
出演者:ジェイデン・マーテル、ドナルド・サザーランド
登場人物・キャスト
主人公・クレイグを演じる俳優ジェイデン・マーテルはNetflixの青春音楽映画『目指せメタルロード』(2022)でも主演を務めています。
同じくスティーブン・キング原作を実写化して大ヒットした『IT/イット“それ”が見えたら、終わり。』(2017)、『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(2019)にも出演しており、若手の注目株です!
本作『ハリガン氏の電話』でも葛藤に揺れる表情が素晴らしいです。ぶっちゃけジェイデン・マーテルが主人公だったからまだ見れた気もします。
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あらすじ
実業家のジョン・ハリガンに週3回読み聞かせのバイトをしているクレイグ。高校生になってアップルのiPhoneを手に入れ、ハリガン氏にもプレゼント。使い方を教えます。
それからまもなくハリガン氏が心臓病で他界。クレイグは葬式で棺の中にスマホを入れました。
クレイグはハリガンのスマホに電話をすると、テキストメッセージが返ってくるようになります。
さらに周囲で不審な事故が起こるようになり…。
ネタバレなし感想・海外評価
スティーブン・キング原作ですが怖さはまったくなく、海外サイトではホラーと紹介されてますがそもそもホラーかどうか微妙。
人間ドラマに見応えがあるというよりか、視聴者側が頑張って抽象的なメッセージを汲み取ることではじめて面白くなる作品で、好みがはっきり分かれるでしょう。
海外サイトの評価も低めです。
刺さらない人にとってはまったく刺さらないと思います。刺激が強い作品を求めている人には向きません。
おすすめ度 | 55% |
世界観 | 70% |
ストーリー | 58% |
IMDb(海外レビューサイト) | 7.3(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 33% 一般の視聴者 43% |
メタスコア(Metacritic) | 52(100点中) |
※以下、『ハリガン氏の電話』のストーリーネタバレありなので注意してください!
Netflix『ハリガン氏の電話』ネタバレ感想・評価
老人に読み聞かせをしていた少年・クレイグが、老人の死後に彼とスマホで連絡を取り合う→誰かの死を願うとそれが実現する→やっぱり闇の力に頼るのは止めよう! これだけ。
もっと尺を伸ばしてクレイグの内面描写だけでなく他の登場人物の心理まで丁寧に描いたほうが、より見応えがある作品になったと思います。
展開が奇抜なわけでもないのにクレイグとハリガンの2人にしかスポットが当たっておらず、人間ドラマとして物足りない中途半端な作品になってしまいました。
スマホで世界がつながることの悪影響を巨大な闇の力に喩えたコンセプトや、さまざまな解釈ができるラストのメッセージは面白いです。
スマホなどの強大な力に接することで、個人の悪意が増幅されると伝えているのだと感じました。
スティーブン・キングが原作ですが、彼の著作の中で設定が似ているのは『ゴールデンボーイ』(apt pupil/1982)ですね。
『ゴールデンボーイ』も本作も怪しい老人と少年の関係と心理的影響を描いています。本作は『ゴールデンボーイ』のある種ハッピーエンド版といえるでしょう。
考察(ネタバレ)
ラスト解説
クレイグが死んだはずのハリガンに電話すると、クレイグを殴ったヤンコという上級生が謎の転落死。
さらにクレイグの恩師・ハート先生の車に飲酒運転で突っ込んで殺害したディーンも、ハート先生が愛用していたブース・ベイという石鹸を喉に詰まらせて窒息死。
ディーンの死亡現場にはハリガンが好きだった「スタンド・バイ・ユア・マン」という曲の一節がメモで残されており、死んだハリガンが何らかの超常的な力を働かせていることがわかります。
クレイグは恐ろしい力に飲み込まれそうになっていると考え、スマホを湖(キャッスルレイク)に投げ捨てました。
テキストメッセージの意味
(※スティーブン・キングの小説「ゴールデンボーイ」のネタバレを若干含みます。)
クレイグは死んだはずのハリガンからスマホに送られてきた“CCC .st”というメッセージを“ストップ、クレイグ”という意味だと解釈します。
他にもハリガンから彼の死後に“CCC aa”や“aa CCCx”というテキストが送られてきました。
海外サイトなどでは“なんでも質問してくれ”など死後もクレイグを心配する意味の可能性があると書かれていますが、決定的な答えは劇中で示されておらず謎のまま。
スティーブン・キングへのインタビューなどでも答えは謎のままのようです。
私的には冒頭で出てきたオスカー・ワイルドの文章「神は罰したいとき、祈りに答える」にヒントがあると思います。
結論をいうと、CCC aaなどの具体的な意味は不明ですが、抽象的には“死後の世界に連絡を取るのを止めないと死ぬ”的な、怖い忠告の文章だと思いました。
つまりクレイグは祈りに答えてもい、罰せられる寸前だったという解釈です。
『ペット・セメタリー』や『悪霊』などスティーブン・キングの作品に共通しているのは踏み込んではいけない闇との境界線があるということ。
クレイグはスマホでその境界線を超えてしまったので、ハリガンから忠告のメッセージを受け取ったのでしょう。
別の解釈もできます。
推測も含みますが、そもそもハリガンは悪の一面も持っており、幸せに死んだわけではないということです。
「ゴールデンボーイ」の元ナチスの老人のような人物だったと考えることもできます。
ハリガンは生前は庭師のビロドーを自殺に見せかけて殺した可能性があります。
レッド・デビル(Red Devil)というクジもハリガンの悪の一面を象徴していたのかもしれません。
クレイグにも「敵はすぐに消せ!」と真面目にアドバイスしています。
相当に黒い人物だったのでしょう。
クレイグはハリガンに友情を感じていますが、天国へ行けずに悪霊となったハリガンはクレイグの悪い願いを叶え、クレイグをダークサイドに引きずり込もうとしていたのかもしれません。
クレイグはハリガンの良い面だけを見て、メッセージを勝手に肯定的に捉えて助かったのかも。
純粋な心を持つクレイグ視点で描かれていたため、ハリガンが良きメンターとして映っていた可能性があります。
クレイグは、もう一歩進めば裏の世界から抜け出せなくなるところをギリギリ回避できたのです。
普通に考えるとこれ以上スマホの力を使うと死ぬ!という親心的な忠告メッセージの解釈になりますが、悪趣味なスティーブン・キングが原作だと考えると、ハリガン自身が悪に囚われていたという裏設定までちらつきます。
一見、ホラーに見えない作品ですが、さまざまな解釈を考えると湖の水面下に恐ろしい世界が広がっていたと捉えられて味わい深いです。
最後のまとめ
Netflixオリジナル映画『ハリガン氏の電話』は、内容的には面白いとはいえない薄っぺらな印象の作品でしたが、よく考えると深いメッセージが込められている珍しいタイプでした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。『ハリガン氏の電話』レビュー終わり!
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