ネタバレ考察『ナイブズ・アウト2 グラスオニオン』モナリザの真の意味!ストーリーの構造

  • 2022年12月26日

映画『ナイブズ・アウト2 グラスオニオン』の考察記事です。モナリザの本当の意味グラスオニオンをイメージしたストーリー構造木箱によるラストの暗示などを徹底解説しています!

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映画『ナイブズ・アウト: グラスオニオン』
※ネタバレありなので注意してください。

映画『ナイブズ・アウト2 グラスオニオン』考察(ネタバレ)

ラストシーンの意味:モナリザ

『ナイブズ・アウト2 グラスオニオン』のモナリザの絵画

©︎Netflix

ラストシーンでジャネール・モネイ演じるヘレンのポーズと表情に不思議な雰囲気を感じませんでしたか?

左手のうえに右手を重ね、なんとも感情が読みづらい表情とポーズ。

シネマグ
なんと名画モナリザと同じポーズです。

エドワード・ノートン演じるマイルズは、何世紀も語り継がれる真実と革命の象徴としてモナリザを崇拝していました。

そのモナリザをヘレンが真似るシーンは殺された双子の姉妹・アンディこそ真実そのものだ!と突きつけているようです。

犯人アンディに名画モナリザを使って突きつけた冷徹な皮肉。

モナリザの絵の表情については常に議論がありますが、復讐を果たしたあとの表情なのかもしれないぜ!と提示しているようで興味深いです。

最後までうまいと思いました。

殺人事件の被害者が、それ以前に死んでいる

ナイブズ・アウト2のアンディ=ヘレン

©︎Netflix

  1. ダニエル・クレイグ演じるブランのまえでアンディが撃たれる
  2. 撃たれたのは実はアンディでなく双子の姉妹ヘレン
  3. 回想が入り、本物のアンディはすでに殺されていると発覚

頭で情報が整理されるまでは孤島で殺されたアンディがそれ以前に自宅で殺されていた!?という錯覚がありました。

双子設定を絶妙に活かしたうえに、見せる順番まで上手い。

新鮮な驚きに頭を殴られたようで、ストーリーの完成度は半端じゃないと思いました。

グラスオニオンの意味

前半ではマイルズとウィスキーのベッドインを見ているデューク←そのデュークを見ている探偵ブラン、という2層構造です。

後半ではその場面でブランの後ろにヘレンがいたと判明。

展開がすすむにつれて、物語が玉ねぎのような多層構造だとわかります。

あとから追加されるヘレンは、玉ねぎでいうと外側の皮というわけです。

そしてヘレンは最後にクリスタルの像を割りまくり、グラスオニオン(建物)を焼き玉ねぎにします。

クリスタルの像の破壊は、グラスオニオンの皮をはぐ意味があるのかもしれません。

メタファーの視点で観ても存分に楽しめる稀有なミステリーだと思いました。

また、玉ねぎのような事件→核となる中心がない!と言いかえることも可能です。

これは前作『ナイブズ・アウト1/名探偵と刃の館の秘密』のブノワの言葉「ドーナツのような事件」と重なりますね。

ナイブズ・アウト1と2には事件の中心に従来のミステリーのような核はない!という共通のコンセプトがあるのでしょう。

パイナップルアレルギーの伏線

デイヴ・バウティスタ演じるデュークがイーサン・ホークにのどの消毒をされる際に「パイナップルの成分入ってない?」と質問しており、彼がパイナップルアレルギーで死ぬ伏線でした。

伏線というだけでなく、ネタとして笑えるのが本作の大きな特徴です。

殺人トリックを提供する探偵

マイルズは他人のアイデアをパクるのが得意です。

ブランの「銃をテーブルに置いて電気を消すようなものだ」という忠告をパクって、停電→デュークの銃でヘレンを撃ちました

殺人のトリックを提供する探偵というのは斬新な構図ですね。

木箱によるラストの暗示

事件の中心はどうでもいいもの(マイルズがしょぼいトリックでデュークを殺害)でしたが、それをおおうようにたくさんのピースがあります。

冒頭で登場した招待状が入った謎解きの木箱も映画の本質を表していたのではないでしょうか。

みんながいくつものパズルに苦戦して招待状を取り出したいっぽう、ヘレンは木箱をハンマーでぶっ壊して中身を取り出していました

これはラストでグラスオニオンをめちゃくちゃに破壊してマイルズへの復讐を果たすことを示唆していたようです。

玉ねぎの皮を何層も重ねたようなくだらない推理なら、いっそ破壊したほうが効率がいい。

シネマグ
『ナイブズ・アウト2』はミステリーの根幹を破壊しにかかってます。

まとめ

映画『ナイブズ・アウト2』にはたくさんの考察要素が詰まっていました。

エドワード・ノートンが演じた真犯人マイルズは自分たちを“破壊者”と言っていましたが、『ナイブズ・アウト2』という映画自体がミステリーの破壊者でもあります。

グラスオニオンのタイトルのとおり、トリックや動機などの表層だけでなくメタファーの層でもいろいろな解釈ができるよう完璧に設計されており、神業としか思えませんでした。

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の失敗でボロボロに責められたライアン・ジョンソン監督ですが、評判を盛り返したのではないでしょうか。

次回作も楽しみです。