映画スラムダンク『THE FIRST SLAM DUNK』(ザ・ファーストスラムダンク)。熱すぎるスラダンがスクリーンに帰ってきた。大画面で湘北メンバーの躍動感ある動き、真剣勝負の感動を味わうことができて大満足です!
作品情報・キャスト・見どころ、あらすじ、ぶっちゃけ感想・評価、なぜ主人公が宮城リョータなのか考察、ストーリーネタバレ・ラスト結末・エンドロール解説を知りたい人向けに徹底レビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
作品についての視聴者・口コミアンケートも投票お願いします↓
映画『THE FIRST SLAM DUNK』作品情報・キャスト
ジャンル:スポーツ・青春
年齢制限:G(年齢制限なし)
監督・脚本:井上雄彦
原作:井上雄彦「スラムダンク」漫画
オープニング:The Birthday
エンディング:10-FEET「第ゼロ感」
なんと脚本だけでなく監督も原作者の井上雄彦さんが務めています。
アニメ映画の監督ってそんな急にできるもんなの?と不安でしたが、鑑賞してその不安は消し飛びました。
登場人物・声優CV
宮城リョータ/仲村宗悟
桜木花道/木村昴
流川楓/神尾晋一郎
赤木剛憲/三宅健太
三井寿/笠間淳
過去のTVシリーズと声優が交代していることで批判があるようですが、個人的にはアニメを見たのはもう20年以上前なので違和感なかったです。新しい声優さんたちもすばらしかったと思います。
映画スラムダンク あらすじ
リョータの回想
沖縄県にて。
小学生の宮城リョータは3歳上の兄・ソータ相手に1on1の練習をしていた。
ソータは地元で有名な選手で、リョータは兄に憧れながら必死に彼に追いつこうとしていた。
ソータのガードは固かったが、リョータはなんとか1点を奪う。
しばらくして父親が他界。
ソータはリョータにこれからは俺たちが母さんを支えなきゃと言った。
兄の姿は頼もしく映ったが、リョータは兄が海辺の洞窟で1人で泣いているのを見た。
ある日、リョータはソータと1on1の練習をしていた。しかしソータは友達と船で釣りに行ってしまう。
ソータは海で事故に遭い帰らぬ人となった。
リョータは小学校でバスケットを続けるが、兄よりいい選手になれそうになく、くじけそうになる。
ソータの死に悲しむ母は、リョータが止めるのを振り払ってソータの写真やトロフィーをダンボールにしまった。
中学になりリョータは母と妹と神奈川県へ引っ越した。
現在
宮城、桜木、流川、三井、赤井はインターハイの山王戦の舞台に立っている。
リョータは、兄が憧れていた強豪・山王工業に勝つために力強く一歩を踏み出す。
ネタバレなし感想・海外評価
公開前の評判が悪かったので不安でしたが、期待をかるがると超えてきました。
山王工業との伝説の試合と宮城リョータの回想という、映画としてはかなりトリッキーな構成です。
しかし原作者の井上雄彦さんが監督をつとめたこともあって、ものすごく熱い作品に仕上がっています。
3DCGも思ったよりは滑らかで、バスケの試合に視聴者である自分が参加しているかのような没入感がすごいです。
試合シーンは動きにスピードがあるので、CGのヌルヌル感も特に気になりませんでした。
ぜひ映画館に足を運びましょう!!
ただ個人的には、スラムダンクの原作やアニメを知らないとキャラクターや背景の説明がないぶんおもしろさが半減してしまう可能性があると思いました。
おすすめ度 | 90% |
世界観 | 95% |
ストーリー | 80% |
IMDb(海外レビューサイト) | 8.5(10点中) |
※以下、『THE FIRST SLAM DUNK』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『スラムダンク THE FIRST SLAM DUNK』ネタバレ感想・評価
挑戦的な傑作
©︎ 東映アニメーション ダンデライオンアニメーションスタジオ
なんで試合と回想だけの映画でこんなに感動するのか不思議でした。
『ロッキー』や『ピンポン』などたくさんのスポコン映画がありますが、1つの試合をまるまる映画にした作品は見たことありません。
普通は練習風景やチームの葛藤など試合前の過程をたっぷり描きます。
『THE FIRST SLAM DUNK』は山王戦こそ1つの濃密なストーリーだという挑戦的なコンセプトがすごい。
確かに両チームそれぞれの青春をかけた決戦にはドラマが詰まっています。
しかし、試合だけで濃密なストーリーに仕立てあげる手腕は並大抵のものではないでしょう。
これは原作者の井上雄彦さんだからこそ成功したと思います。
スラムダンクがなぜ青春コンテンツのトップに君臨しているのか?
その特殊さを完全に理解している原作者本人が監督を務めたからこそ、選手の試合中の言動や動きのひとつひとつがストーリーとして成り立ったと感じました。
井上雄彦先生のなかにものすごく深い勝負論、勝負哲学があり、それが一本の芯となって作品を貫いていたからこその熱さと感動なのでしょう。
『バガボンド』と『リアル』は休載中ですが、もう描かないというウワサもあるので、井上雄彦先生にはぜひ新作漫画を描いてほしいと思います!
また、3DCGによるアニメーションも期待以上のクオリティでした。
選手のふくらはぎの筋肉まで描き、躍動感がダイレクトに伝わってくるのです。
モーションキャプチャーで選手の動きを取り入れているのでしょう。もはや本物のバスケの試合です。
ドリブルの音も本物そのまま。(というか実際にドリブルした音を入れていると思います)。
ローアングルも多く、バスケをしたことある人なら実際に自分がプレイしている感覚を味わえたのではないでしょうか。
選手目線でのリアルな映像もあるため、実際のバスケの試合を観戦するより迫力があるかもしれません。
また、リョータが母のまえで手の震えを隠すためにポケットに手を入れる演出の細やかさも見事。
ストーリーでは宮城と沢北のアメリカ挑戦のラストも夢があっていいなあ。
この2人を主人公に井上雄彦のオリジナル脚本で映画『SLAM DUNK2』も作ってほしいなあ!!
個人的には2022年に最高のスラムダンクを堪能できたという思いでいっぱいです。
今回はFIRST(第1弾)ということで、第2弾でミッチー主人公、第3弾で流川主人公などがあっても面白いかもしれません。
だれにでも刺さる内容ではない
今作で唯一の懸念点として、漫画やアニメの『スラムダンク』のストーリーを知らない人が楽しめるのか?という点は疑問でした。
キャラ知らない人はリアルなバスケの試合観戦をしてる感じになっちゃったのでは?
- 桜木花道でなく宮城リョータを主人公に据えたこと
- 試合途中の回想が多いこと
- 過程の多くをすっ飛ばして2時間で山王戦のみを描いたこと
- 山王戦でカットされているシーンがあること
- 試合で魅了するコンセプト
などなどの理由により批判や酷評はあると思います。
宮城リョータを主人公にした理由考察
なぜ最新のスラムダンク映画の主人公が宮城リョータだったのか?
井上雄彦先生のみぞ知ることですが、私はその理由はコンセプトの1つが“距離”だったからだと思いました。
バスケをはじめた遠い記憶=初期衝動と、現在の山王戦の対比=バスケについての1番遠い記憶と1番近い記憶を対比させるアイデアがあり、そこに物理的な距離をかけあわせたかったのではないでしょうか。
原作では宮城リョータが沖縄出身だったという設定はありませんが、宮城は沖縄にかなり多い名字です。
そんな理由もあって地方出身の適任者として宮城リョータが主人公にすえられたのでは?
リョータが兄と過ごした遠い記憶、遠い距離をたどって山王戦へ辿り着いたこと。その年月と東京・沖縄の距離をスパイスとしてストーリーに加えたわけです。
宮城リョータが沖縄という島から神奈川に渡って山王を倒し、そして世界へ羽ばたくという原作にはない大きなメッセージが感じられました。
映画『スラムダンク THE FIRST SLAM DUNK』がなぜ成功したのか?主人公チェンジの理由、賛否両論の3DCG、原作者で監督・脚本をつとめた井上雄彦の挑戦的コンセプトなどの観点から独自解説をしています。 ↓映画『スラムダンク』の[…]
感想動画
映画『スラムダンク THE FIRST SLAM DUNK』の感想・解説動画もアップしました。短いのでぜひ↓
映画『スラムダンク THE FIRST SLAM DUNK』ネタバレあらすじ解説
後半勝負の山王
前半は湘北メンバーの全員の動きがよく、数点リードして後半へ突入。
しかし後半、山王工業は一気に勝負をかけてくる。
リョータのパスも通らない。
前半からぴったりガードされていた三井は、スタミナ切れを起こしていた。
ゴリは河田の圧力に圧倒されている。
流川は沢北を抜けない。逆に沢北は流川を翻弄(ほんろう)しシュートを決めていった。
一気に点差がひらき、山王工業が20点もリード。
山王の堂本監督は湘北メンバーの心を折りにきていた。
マネージャの彩子がマジックでリョータの手のひらに何かを書き込む。
リョータの回想
高校に入ったリョータは先輩のゴリに厳しく指導されては反発していた。
リョータは不良の三井に呼び出され、殴り合いをする。
フラストレーションがたまったリョータはバイクを飛ばして交通事故を起こしてしまった。
事故から回復後、リョータは1人で故郷の沖縄へ。兄・ソータと一緒に暮らした家をながめる。
兄が荷物置き場にしていた海辺のほら穴で昔使っていたバスケットボールや山王工業が特集された雑誌を見つけたリョータは、バスケへ青春をかけることを決意。
三井は体育館で頭を下げ、選手として復帰。
リョータは彩子とランニングし、彼女の天真らんまんな笑顔に勇気をもらった。
ラスト結末
リョータは手のひらのメッセージを見る。“No.1ポイントガード”と書かれていた。
安西先生はいったん桜木を下げて木暮(メガネくん)を投入。
あきらめたらそこで試合終了だと言い、桜木に君がリバウンドを取れば4点分の働きができると伝えた。
桜木はコートに戻り、高いリバウンド能力を発揮。湘北に勢いが戻ってくる。
流川は沢北と張り合うことをやめ、パスを出すようになった。
ゴリも河田をあざむくようなシュートを決めた。
しかし湘北が流れにのりかけていたそのとき、沢北に5人抜きのシュートを決められてしまう。
点差はまだ10点以上ひらいており、場内は山王の勝ちが確定したような空気になっていた。
それでも湘北は諦めない。桜木はボールを拾うために突っ込み、背中を痛める。
立っているのもやっとな桜木はいったん木暮と交代。しかし安西先生に今が俺の1番だいじなときだと伝え、コートに戻る。
バガボンドのような勝負哲学が反映されている力強いシーンでした。
そんな桜木に感化され、湘北は再び力を取り戻した。
リョータは相手をあざむくテクニカルなパスを回す。
三井はすきをついてスリーポイントを決めていった。
残り数十秒でなんと湘北が逆転。
しかし沢北に再度シュートを決められて絶体絶命に。
まだ諦めていない桜木がダッシュし、リョータたちも体制を整える。
切り込んだ流川は、横で“左手はそえるだけ”の体制の桜木にパスを出す。
桜木は残り0秒でシュートを打った。
白いゴールネットが揺れる。桜木と流川は激しいタッチを交わした。
湘北チーム勝利にメンバーと会場は歓喜した。
山王の堂本監督は、負けたことがいつかきっと力になるとメンバーをはげました。
沢北は神社で、自分に足りないものがほしいとお願いしたことを思い出していた。それこそが敗北だったのだ。
沢北は泣き崩れた。
リョータはインターハイを終え、家族のもとへ。母におかえりといわれた。リョータは母に兄のリストバンドを渡す。
リョータのアパートに、兄ソータの写真が飾られるようになった。
エンドロール
沢北はアメリカへ挑戦。現地にやってきた日本人記者の取材を受けている。
対戦チームのポイントガードは、なんと宮城リョータだ。
2人の視線が交差し、リョータが躍動する。
映画『スラムダンク THE FIRST SLAM DUNK』(ザ・ファーストスラムダンク)終わり。
最後のまとめ
映画『スラムダンク THE FIRST SLAM DUNK』は山王戦の再現に宮城リョータの回想を絡めた挑戦的な作品でしたが、期待以上のクオリティに大満足でした。
井上雄彦さんのセンスに脱帽です。賛否ある構成でしたがやりたかったことは伝わってきました。
新作を書いて欲しいですが、漫画はもう描くかわからないので、これからはアニメ映画に携わっていくのもありかも!次回作にも期待してしまいます。
ここまで読んでいただきありがとうございます。『THE FIRST SLAM DUNK』(ザ・ファーストスラムダンク)レビュー終わり!
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