『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』ネタバレ感想評価:カオス過ぎ/ラストの意味やあらすじ

  • 2023年4月28日

映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(エブエブ)。マルチバースに接続した主婦が、最大のヴィランである娘とカンフーで対決する画期的な大作!

IMAXで視聴いてきました!2時間超えですがあっという間で大満足のハイパークオリティ!

2023年度のアカデミー賞で作品賞や主要部門を含む最多11部門にノミネートされています。

シネマグ
予想以上にカオス。予想以上に泣けた。歴史的なカオス丼!

作品情報・キャスト

ネタバレなしの感想

視聴してのぶっちゃけ感想・評価(ネタバレあり)

ストーリー考察

物語ネタバレあらすじ・ラスト結末解説

これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!

(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)

これから観る方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』おもしろかった?(投票どうぞ)

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映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』作品情報・予告

日本公開:2023/03/03
制作国アメリカ
上映時間2時間19分
原題:『Everything Everywhere All at Once』
ジャンル:SF・カンフーアクション・ヒューマンドラマ・コメディ
年齢制限:G(全年齢対象)
監督・脚本:ダニエルズ(ダニエル・クワン,ダニエル・シャイナート)
撮影ラーキン・サイプル
音楽:サン・ラックス
製作:アンソニー・ルッソ/ジョー・ルッソ
配給:A24

Everything Everywhere All at onceは、「すべてが、いろんな場所で、一斉に」という意味です。ストーリーと連動しています。

監督は『スイス・アーミー・マン』で知られるダニエル・クワン&シャイナート。製作には『アベンジャーズ:エンドゲーム』のルッソ兄弟が参加しています。彼らの存在もあって、歴史的ともいえるマルチバース最適解が生み出せたのでしょう。

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』キャスト

ミシェル・ヨー

主演のミシェル・ヨーは、ジャッキー・チェン主演の『ポリスストーリー3』(1992)、『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』のボンドガール、中国の武術家の悲哀を描いた映画『グリーン・デスティニー』(2000)などで有名なマレーシア出身の女優。

コインランドリーを経営するエヴリン・ワン・クワンを演じます。

エヴリンのダメ夫・ウェイモンド役はキー・ホイ・クァン。『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』や『グーニーズ』の子役で有名な人物で、長く制作の現場にいましたが本作でゴールデングローブ賞助演男優賞を獲得しています。

2人の娘ジョイ役にはステファニー・スー。MARVEL『シャン・チー/テン・リングスの伝説』に端役で登場していました。

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』あらすじ

コインランドリーで働くエヴリンは毎日 経営の問題に忙殺されていた。レズビアンの娘・ジョイが相手を連れてくるが受け入れられない。

今日は中国からきた父ゴン・ゴンのお祝いもかねて新年パーティーを開く予定だった。しかし国税庁で納税の手続きをしなければならない。

エヴリンの頭はパンクしそうだった。

そんなとき、国税庁のエレベーターで夫のウェイモンドにマルチバース(アルファバース)から来た別のウェイモンドが乗り移った

そのウェイモンドは「おまえは娘のジョイに命を狙われている。守るすべを教える!」と言うのだった。

ウェイモンドは、マルチバース(並行世界)にいる別のエヴリンに接続してさまざまなスキルを使える方法をエヴリンに教える。

国税庁で説明を受け、書類を本日中に再提出するように言われたエヴリンは混乱して担当官のディアドラをぶん殴ってしまった。

ウェイモンドはウエストポーチをヌンチャクにして警備員を全員倒したのだが…。

(続きは、ネタバレあらすじ解説の項目へ)

ネタバレなし感想・海外評価

シネマグ
2時間以上ありましたが、超高密度な展開であっという間。何度も見たいと思える傑作でした。

マルチバースカンフーアクションがこんなに泣けるとは思いませんでした。

家族の関係をマルチバースで解消する壮大かつミニマムなコンセプトがすばらしい!

マルチバース映画に対して1つの正解を提示できた点がすごいです。

ウエストポーチヌンチャクなど、笑えるシーンやアクションも盛りだくさん。

感想を語る犬
私は年間数百本映画を見てますが、多分2023年のベストワンはこの作品になると思います。絶対に劇場で見るべき作品です。

ただいっぽうで世界観はけっこうむつかしく、マルチバース(並行世界,パラレルワールド)の概念は知っておかないと置いてけぼりになると思います。

海外評価も一般の視聴者より批評家のほうが高い傾向がありますが、ある面での難解さゆえでしょう。

おすすめ度 90%
世界観・アイデア 95%
ストーリー 85%
IMDb(海外レビューサイト) 8.0(10点中)
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) 批評家 95%
一般の視聴者 88%
メタスコア(Metacritic) 81(100点中)

※以下、映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のストーリーネタバレありなので注意してください!

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』ネタバレ感想・評価

カオス過ぎて心地良い

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のカオスな世界観

映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の評価は93点。
シネマグ
カオス過ぎて頭がパンクしそうなのと同時に、なんで自分が泣いているのかわからないほどに圧倒されました

原理的には「あのときこんな選択をしてたらこんな自分もあった…」という『バック・トゥ・ザ・フューチャー』的な感動なのです。

しかし本作では、基本の世界やエヴリンが映画スターになっているありそうな世界(現実のミシェル・ヨーですね)だけでなく、指がソーセージの世界やみんな石ころの世界まであるので、感動という言葉より、圧倒されたといったほうが近いでしょう。

マトリックス』シリーズの世界観を、「すべて現実である」と拡張した感じです。

見ているこちら側の頭もカオス状態になりながら、それでも泣ける唯一無二の傑作でした。

また、マルチバースでいくつもの自分に接続できるのと同時に、別世界のエヴリンまで同時に描いたことにも驚き。

他の映画のパロディ的なマルチバースの意識に接続してさまざまな自分を垣間見るだけでなく、その世界のエヴリン視点でも物語が同時進行します。

もはやカオスを全部のっけたカオス丼の状態、これが最先端のカオスなんですね。

根幹には家族の絆とマルチバースを対比させる素晴らしいアイデアがありつつ、めちゃくちゃ多視点でそれぞれの物語を味わえる作りになっています。何回も見たくなるし、実際に何回見ても新しい発見があるでしょう。

「違う世界の自分はこんなに輝いている!だから頑張れる」というだけの底の浅い感じはありません。

すべての可能性を知るよりも、この世界で生きることを選択する本質的な美学があります。

ありえないくらい変なことをするとバース・ジャンプ(別のユニバースに接続)できるというアイデアも素晴らしい。

笑えるようでいて、的を得ていると思いました。

家族こそマルチバース!

エブエブの興味深いところは、「家族こそマルチバースだ!」と高らかに宣言した点。

エヴリンと娘・ジョイは、1世代も違えばもう違う人種です。エヴリンは最初はジョイがLGBTQだと受け入れられません。

夫のウェイモンドについても、エヴリンは能無しで能天気なヤツだと決めつけていますが、実際は非常に思慮深い人物だとのちに判明します。

一番身近なはずの家族は、実際はマルチバースにいる人間と接するくらい価値観の違う人間なのです。

エヴリンはマルチバースで価値観の違いを学び、並行世界にいるジョイやウェイモンドのさまざまな人格に触れて、彼らのうちに普遍性を見いだしました。

この物語は実際にマルチバースが存在しても、すべてがパニクったエヴリンの妄想でも関係なく成立する、家族の本質をファンタジーで表現した作品なのです。

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』考察(ネタバレ)

ラストの意味

ラストはエヴリンがベーグルに吸い込まれて死のうとするジョブを抱きしめます。

別のバース(世界)では、エヴリンは店の前でジョイを抱きしめました。

さらに別のバースでは、石のエヴリンはジョイを追いかけて一緒に落ちます。

エヴリンは親として娘がどんな生き方をしても絶対に見放さないという決意だと思いました。

シネマグ
マルチバースに無数にいる娘の全存在を認め、無限に許したということです。

ジョイの側から見れば、彼女が「意味のある時間はほとんどない」と言っていたことが逆転して、母に生き方を認められた今このときからが意味のある時間になったのでしょう。

ジョブは宇宙を滅ぼしたかったわけではなく、自分を認めてくれる母の存在を探してマルチバースを渡り歩いているわけです。

ちなみにラストシーンでディアドラが、「書類の明細はまだ書き換えないとだめ」と言っていましたが、これは他のマルチバースではまだ完全に解決していないことがあるという示唆だと思います。

マルチバースで浮き彫りになるメッセージ

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で一番画期的だった点は、マルチバースによる無限の可能性を家族の絆に転換した点です。

さまざまな並行世界のエヴリンが、すべての並行世界に接続されて悪の権化となった娘のジョブ・トゥパキ(ジョイ)と対決します。

いわば無数に存在する世界で描かれているテーマは母と娘の対話です。

どんな場所にいても母と娘の精神的な対決があり、その根底にある絆は揺るぎません。

さらに夫・ウェイモンドとの愛も描かれます。エヴリンが映画スターの世界でもウェイモンドは彼女を求めてやってきます。エヴリンもまたウェイモンドとコインランドリーを経営する世界が幸せでないかと想像します。

マルチバースで浮かび上がってくるのは、他ならぬ家族への想いです。

その想いが、この世界に居たいと教えてくれます。完璧なメッセージだと思いました。

↓ブラックホールベーグルやマルチバースの詳しい考察についてはコチラ↓の記事へ

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『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』ネタバレあらすじ解説

マルチバースのエヴリン

ウェイモンドは、「アルファバースにいたエヴリンが他の世界に接続してスキルを発揮する方法を開発した(バース・ジャンプ)。しかしエヴリンは娘のジョブを使ってその能力を拡張しようとし、結果ジョブの精神はバラバラになってすべてのユニバースにつながった」と説明。アルファバースにいるエヴリンは死んだらしい。

ウェイモンドはジョブに対抗できるエヴリンを探し求めて、ようやくこの世界にやってきたと言う。

エヴリンとウェイモンドが国税庁で暴力を働いたということで警察がビルに突入。エヴリンたちは囲まれた。

しかしそこへ、すべてのユニバースに接続するジョブ(ジョイ)が登場。ジョブは見たこともない能力で警察たちを倒した。

そこへアルファバースのゴン・ゴン(この世界のゴン・ゴンを乗っ取った)が現れて、車椅子でジョブを吹っ飛ばす。

父ゴン・ゴンはアルファバースでは司令官だった。ジョブはジョイに戻る。

ゴン・ゴンは「エヴリンにジョイを殺さないと全宇宙が危険にさらされる」と言った。

しかしエヴリンにはジョイを殺せない。

エヴリンはジョブのようにマルチバースに精神を接続する方法を習得し、それぞれの世界を経験する。

ウェイモンドと一緒にならなかったエヴリンはカンフーマスターとなり、映画スターとなる道を選んでいた。

また別の世界では、指がソーセージで、ディアドラと恋愛関係になっていた。

また別の世界では、鉄板焼きステーキの店で働いていた。頭にアライグマ・ラカクーニを乗せて働く同僚・チャドがいる。

また別の世界では、看板を回すバイトをしていた。

ゴン・ゴンはアルフバースの戦闘員をこの世界に呼び出し、ジョブのような危険な存在になるエヴリンを排除しようとする。

エヴリンはゴン・ゴンの手下と化したディアドラたちとカンフーで戦う。

しかしエヴリンの頭はオーバーヒートして死んでしまった。

しかし別の世界では、大スターのエヴリンは一部始終をスクリーンで見ていた。

エヴリンは動揺して外に飛び出し、数十年ぶりに再会したウェイモンドと抱きしめ合う。

隣の世界

隣の世界(国税庁でディアドラを殴らなかった)のエヴリンは、ウェイモンドが離婚申請の書類を持っていたことに動揺。

夜はコインランドリーで旧正月のパーティーを開いたが、国税庁に行かなかったので、ディアドラが差し押さえ上を持って現れる。

エヴリンは怒り狂って窓を棒で割った。

ウェイモンドがディアドラを説得し、なんとか差し押さえはまぬがれる。

エヴリンはベンチに座っているディアドラと打ち解けた。

さらに隣の世界のエヴリンは、父ゴン・ゴンにジョイのガールフレンド・ベッキーを紹介。

しかし動揺したジョイは走って外へ出てしまう。エヴリンはジョイを追いかけた。

ラスト結末

死んでいたと思われた元の世界のエヴリンが目を覚ました。

エヴリンはウェイモンドを見習い、さまざまなゴン・ゴンの手下たちに幸せを感じさせて倒していく。

同時に別世界ではアライグマ・ラカクーニを連れ去られたチャドと協力し、ラカクーニを取り戻した。

ジョブはすべての存在をのせたブラックホールのようなベーグルに吸い込まれて死ぬ道を選ぶ。

エヴリンは彼女を放っておくのがいいかと考えつつも、ジョブの手を取って彼女を抱きしめた。

ある世界には生物がなく、エヴリンとジョイは石ころだった。エヴリンは転がっていくジョイを追いかけて自分も崖から落ちる。

隣の世界では、エヴリンは車のまえでジョイを抱きしめた。ウェイモンドも駆け寄ってくる。

すべてが終わり、エヴリンは国税庁の審査をパスした。

最後のまとめ

ミシェル・ヨー主演の映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は、家族の不仲をマルチバースで表現し、マルチバースで絆を復活させた画期的な大作でした。

シネマグ
これはアカデミー作品賞も取るのではないでしょうか?

この製作スタッフで、他のマルチバース映画も作ってほしいです。

ここまで読んでいただきありがとうございます。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』レビュー終わり!

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