すべてのファクターが奇跡的なレベルで崩壊した伝説の駄作『デビルマン 実写版』(2004)。
Filmarksの評価は5点中1.6…。
なぜそんなに世間から酷評されているのか?何がそんなにダメだったのか?
映画『デビルマン 実写』感想と酷評ネタバレ
劇中では世界が崩壊していくが、鑑賞者の心も同時に崩壊していく唯一無二の作品だと感じた。
冗談抜きに学芸会よりもひどくて、制作費10億円もかけてこのクオリティの映画が出来上がったこと自体がある意味で奇跡だ。
冒頭から演技・セリフ・アクション・CGなどすべての要素が崩壊している。
そのためデーモンがはびこり人々が殺し合う破滅的な世界になった際にも一切おどろきが生まれない…もとから映画自体の世界観が崩壊しているからだ。
どこがダメなのか?ではなく、とにかく全ての要素がダメっダメ。
「デビルマンにしては世界観がしょぼい」とかそういう事ではなく、そもそも映画として成立しているかも危ういレベル。
撮影したテイクのどれを使うかをサイコロを振って決めたらこんな作品が出来上がるのかもしれない。
次の項目からは、特にひどかった点を具体的に解説していく!
『デビルマン 実写』ひどい点を解説!
主役の演技が棒読み「あー、ああー」
主人公・不動明を演じた伊崎央登さんの演技がとにかくヤバすぎる(当時は演技未経験だったらしい)。
ヒロインで恋人の美樹(酒井彩名)が殺されて生首になっているのを発見した際も、口から出てくるのは「あー、ああー」という、うめき声。
感情を置き去りにした名シーンが生まれた。
イントネーションが崩壊している。
演じてる本人がどんな感情なのかまったくわかっていないようだ。それで観客に伝わるわけねーだろ。
序盤の「あー、俺、デーモンになっちゃったよ…」も笑った笑った↓。
ほぼ全員が大根役者
主人公だけではない。主要キャストがもれなく大根役者だ!
みんな棒読みで、どんな気持ちかよくわからないまま演技をしているのがバレバレ。
飛鳥了が「新しい世界に一緒に来い」と明に言うシーンも、感情がこもってなさすぎてリクルートのCMに見える。
イントネーションっていう言葉知ってる?
実写デビルマンには、大根役者だけで映画を作らなきゃいけない縛りでもあったのだろうか?
「大根役者だけで映画を作らなければ殺す!」と、ヤクザに脅されでもしていたのだろうか!?
そうとしか思えない。
あとは大根役者とはいうものの、演技については本人だけでなく監督など演出の影響も非常に大きい。
もしかすると監督は割と早い段階で本作の失敗を確信し、撮影現場でヤケ酒を飲みながら適当にOKを出していたのかもしれない。
そんな想像をしないとやってられないレベルで登場人物全員がひどかった。
1番マシだったのはニュースキャスター役で出演していたボブ・サップかもしれない。
まあ、頭が3つに分裂するシーンはひどかったけど。
さらに兵士に撃ち殺される瞬間に「デーモン万歳!」と叫ぶ小錦には笑った。
あとジンメン役に船木誠勝が出てたけど「食いてえ〜」っていうセリフが下手すぎ。
演技シロウトの格闘家を映画に出さないでください!と思ったら脇役だけじゃなく主役級もみんなシロウトだった…。
ススム役の染谷将太については、実写『デビルマン』の失敗で幼い頃に挫折を味わったからこそ役者として大成したのだろう。
染谷将太は令和のデビルマンと謳われている『大怪獣のあとしまつ』にも出演。呪われてるのかコイツ?
とにかく、キャスティングまで救えないぜ。デビルマン!
アクションがゴミ
実写『デビルマン』はもちろんアクションもゴミクズだった。
飛鳥了がぴょんと飛んでマシンガンを撃つガンアクションシーンはもはや伝説級のヤバさ。
#どんなに酷評されても擁護してきた映画
デビルマン(実写)
ガンアクションは笑えるくらい好き pic.twitter.com/WSkjQKfsyi— ヒューム (@xtenpest_lx) November 21, 2023
アクション映画を見たことがない上流階級の貴婦人が演出を務めたレベル…。
人が作った作品にゴミとか言いたくないけど、正直ゴミと言われても仕方のないクオリティだった。
あとは、ミーコ(渋谷飛鳥)がピンク色の蝶のデーモンになって、日本刀とマシンガンで兵士たちを殺しまくるシーンもひどすぎ。
説明セリフ&脚本がボロボロ
いくつかセリフを紹介しよう。
「あー、俺、デーモンになっちゃったよ」(明が初めてデビルマンになったシーン)
「生きていたのか?」「サタンだからな」(明と了のやり取り)
「キレイっていいね」(デーモンになったミーコが美樹に口紅を塗ってもらったときのセリフ)
棒読みのおかげもあるが、セリフのコレジャナイ感も相当なものだ。
棒読みと変なセリフの相乗効果がすごい。セリフと棒読みが非常に低い次元でシンクロしていると感じた。
脚本もマジメにツッコミ出すとキリがない。
冨永愛が演じたシレーヌが突然現れて明をボコボコにし、その後シレーヌがどうなったのかがわからないのが残念すぎる。
ただの冨永愛のファッションショーじゃん。
また、全体的に「なぜこの人物が今この場所にいるのか」意味不明な展開のオンパレードだった。
脚本が良くなかったのか?そもそも脚本を無視して映画を撮影していったのか?
気になるところだ。
実写『デビルマン』の裏側のドキュメンタリーでもあれば、相当な数の人間が視聴するだろう。(Netflixとかで公開されないかな?)
デビルマンが仮装したヤンキーにしか見えない
半人半妖のデビルマンが仮装したヤンキーにしか見えない。
ヒョロガリ体型で眉を剃ったヤンキーにロウソクを垂らしたようなビジュアルは流石にキツい。
ボブ・サップや小林幸子にギャラ払わないでこういうところに金をかけなさいよ。
ディティールもボロボロ
実写『デビルマン』は、もちろんディティールもボロボロだった。
不動明がパパにお弁当を届けにいくんだけど、なんと三段重ねの重箱。ママが正月か運動会の勢いでお弁当に気合いを入れている。
この演出はギャグや悪ノリでやっているとしか思えない。もしくはヤク中が演出したのか?
あとは、飛鳥了が教室で牛久(仁科克基)の指を切る回想シーンも意味不明。
切断された指を明がくっつけていたように見えた。
ひどい駄作『デビルマン 実写』まとめ
以上、説明したような理由から、実写『デビルマン』は日本が世界に誇る超一級品の駄作となった。
令和でも駄作が登場するたびに『デビルマン』と比較される。
そういう意味では駄作の到達点であり、金字塔であり、試金石となるような作品だ。
この記事を読んだあなたも、1度『デビルマン』を見てみてほしい。世の中にあふれる普通の駄作とのレベルの差を体感できるはずだ。
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