2024年3月1日公開の映画『コットンテール』(cottontail)。妻に先立たれたリリー・フランキーが息子の錦戸亮とイギリスへ旅に出る感動のヒューマンドラマ!
作品情報・キャスト
あらすじ・ネタバレなしの感想
物語ネタバレあらすじ・ラスト結末解説
視聴後の正直な感想・評価(ネタバレあり)
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
これから視聴する方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
映画『コットンテール』作品情報・キャスト
制作国:日本・イギリス
上映時間:1時間34分
英題:『Cottontail』
ジャンル:ヒューマンドラマ
年齢制限:G 年齢制限なし
監督・脚本:パトリック・ディキンソン
原作:原作なし、映画オリジナル
撮影:マーク・ウルフ
本作は2023年の第18回ローマ国際映画祭で最優秀初長編作品賞を受賞しています。
キャスト
兼三郎(主人公。妻に先立たれた男)|cast リリー・フランキー(『アナログ』『ちひろさん』『舞妓さんちのまかないさん』)
慧(トシ/兼三郎の息子)|cast 錦戸亮(『離婚しようよ』)
明子(兼三郎の妻)|cast 木村多江(Netflix『忍びの家』)
明子の若い頃|cast 恒松祐里(『全裸監督シーズン2』『今際の国のアリスシーズン2』『きさらぎ駅』)
さつき(慧の妻)|cast 高梨臨(『夏への扉 -キミのいる未来へ-』『VIVANT』)
ジョン(イギリスの農場主)|cast キアラン・ハインズ(『ジャスティス・リーグ』『沈黙 -サイレンス-』『ゲーム・オブ・スローンズ』のマンス・レイダー役)
メアリー(ジョンの娘)|cast イーファ・ハインズ
映画『コットンテール』あらすじ
兼三郎(リリー・フランキー)は、若年の認知症と病気で長年連れ添った最愛の妻・明子(木村多江)に先立たれた。
葬儀の際、兼三郎は寺の住職から手紙を渡される。手紙は明子が認知症になる前に書いた遺言で、「いつか夫婦で行きたいと思っていたイギリスのウィンダミア湖に散骨してほしい」と書かれていた。
兼三郎は若い頃を回想する。明子は幼少期に父の仕事の関係でイギリスに行ったことがあるらしく、「ウィンダミア湖で父とコットンテール(ピーターラビットの妹のうさぎ)を追いかけた思い出がある」と話していた。
明子が幼い頃にウィンダミア湖で撮った写真も同封されている。
兼三郎は息子の慧(トシ/錦戸亮)とその妻・さつき(高梨臨)、孫の4人でイギリスへ旅立った。
しかし妻・明子との思い出に浸る兼三郎は、息子の慧と向き合うことができない。
慧と喧嘩した兼三郎は1人でウィンダミア湖に向かうことにした。しかし乗る列車を間違える。
兼三郎は駅で自転車を盗み、ウィンダミア湖へ向かった。しかし大雨にあって道に迷い、ある農家をたずねた。
農家ではジョン(キアラン・ハインズ)と娘のメアリーが出迎えてくれた。
兼三郎は2人と交流するうちに、明子の願いの本当の意味や、慧との関係を見つめ直すのだった。
映画『コットンテール』ネタバレなし感想・海外評価
リリー・フランキー演じる兼三郎の回想と現在の美しいイギリスの風景で構成されるロードムービー風の作りです。
Netflixでリリー・フランキー出演の『パレード』も公開されましたが、『コットンテール』のほうが断然好みでした。
Netflix映画『パレード』(The Parades 2024)。藤井道人監督が長澤まさみや横浜流星、リリー・フランキーら豪華キャストで死後の世界と生きている人の絆を描いた心温まるヒューマンドラマ。 シネマグ 視聴後の感想[…]
おすすめ度 | 90% |
世界観 | 87% |
ストーリー | 86% |
IMDb(海外レビューサイト) | 7.8(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト)※随時更新 | 批評家 % 一般の視聴者 % |
メタスコア(Metacritic)※随時更新 | (100点中) |
※以下、映画『コットンテール』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『コットンテール』ネタバレあらすじ解説:ラスト結末
兼三郎はジョンから「昨年妻を亡くした」と聞かされる。
ジョンは「そのときに助けになったのが娘・メアリーだった」と話した。
兼三郎は2人と話すうちに、自分が息子・慧を頼れなかったことを考えた。
翌日、ジョンとメアリーは車で兼三郎をウィンダミア湖まで送ってくれた。
兼三郎は慧に電話する。慧とさつき、孫娘が車でかけつけてくれた。兼三郎は慧に「ありがとう」と言った。
一行は車で明子が幼い頃にウィンダミア湖で撮った写真の場所を探す。しかし湖は広く見つからない。雨がふり始めた。
それでも兼三郎は探そうとする。慧が怒って止めた。
一行はホテルへ帰る。
兼三郎は過去を回想する。認知症の明子を自宅で看病し、ご飯やトイレの世話まで全部面倒を見ていた。しかし明子はたまにくる息子・慧を見て嬉しそうにする。なぜか悔しかった。
慧は兼三郎が心を開いてくれないことに悩み、たくさんワインを飲んだ。
翌日、兼三郎たちは写真の場所を見つける。
兼三郎は慧に、「明子が正気を失う前に、ひどい状態になったら助けてほしい(殺してほしい)と言っていた。明子は全身の痛みで病院で苦しんだが、自分は助けられなかった。そのとき、病気が彼女を連れていった」と話す。
慧は、今はみんながいると言った。
兼三郎と慧は湖に散骨をした。さつきとその孫娘がコットンテール(うさぎ)を見つける。みんなでそのうさぎを追いかけた。
映画『コットンテール』終わり
映画『コットンテール』ネタバレ感想・評価
叙情的な風景の良作
妻に先立たれた男の心の空隙を、イギリスの湖水地方の風景が埋めていきます。
コンセプトはシンプルですが美しく、相変わらず渋すぎるリリー・フランキーの演技をずっと見ていられました。
兼三郎のセリフは多くありませんが、表情や風景が彼の心情を物語ってくれます。これぞ映画的な表現ですね。
「なぜイギリスのウィンダミア湖に散骨するのか?」という問いが、旅それ自体が目的となるように収斂(しゅうれん)されていく過程も見事というほかありません。
こういったストレートな物語は演出によっては満足度が大きく下がってしまいますが、本作はメッセージ性と風景を溶け合わせることに成功していた点が素晴らしいと思いました。
パトリック・ディキンソン監督の手腕は流石ですね。
昨年に公開されたヴィム・ヴェンダース監督×役所広司の『PERFECT DAYS パーフェクトデイズ』も傑作でした。
海外の監督が日本人キャストで撮影するブーム到来でしょうか!? 海外の監督にとって日本は格好の素材なのかもしれません(良い意味で)。
願わくば、日本にもっと映像に語らせるタイプの作品が増えればいいと思います。
妻が死んでから家族になる
最愛の妻に死なれて初めて兼三郎と錦戸亮演じる息子・慧との関係性が開かれていくストーリーが非常に感慨深いです。
だれかが欠けてしまったことを悲しみや喪失で片付けるのではなく、一緒にコットンテール(うさぎ)を探すことで家族のカタチが変わっていくかのような秀逸な表現。
認知症で悲劇的な死を迎えた明子ですが、彼女の存在と遺言が兼三郎と慧、そしてその妻・さつきとの絆を本物にしました。
人生の深さと不思議さが感じられました。
最後のまとめ
映画『コットンテール』は、妻を失った男が息子の家族と旅をするハートフルな作品でした。
人間に関しての深い洞察がありました。
リリー・フランキーや錦戸亮の演技も素晴らしかったです。
パトリック・ディキンソン監督とこの2人で他の作品も撮ってほしいと思いました。
ここまで読んでいただきありがとうございます。映画『コットンテール』レビュー終わり!
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