ひどい…映画『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』ネタバレ感想・ラスト考察!つまらん駄作酷評,原作小説比較や伏線解説

  • 2024年3月25日

映画『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』少なくてもミステリーとしての面白さはゼロ…。中だるみとツッコミどころ満載の残念な作品でした(好きだった人には申し訳ないです)。

考察系ネコ
シャーロック・ホームズの名作のタイトルを借りて派手にスベった(笑)魔犬に呪われたのか、ミステリーとしての完成度は劇低です

作品情報・キャスト・あらすじ・見どころ、ぶっちゃけ感想・酷評ミステリーとして失敗作と感じた理由ラスト考察を知りたい人向けに徹底レビューしていきます!

感想を語る犬
あまり悪口にならないよう、冗談も交えながら解説します!

(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目からどうぞ)

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映画『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』あらすじ

映画『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』のディーン・フジオカ

©︎映画「バスカヴィル家の犬」製作委員会

瀬戸内海の離島の名家・蓮壁家の長女・紅(新木優子)が何者かに誘拐された。

当主の千鶴男(西村まさ彦)は犯人の要求通り、1千万円を黒犬の銅像がある蓮壁家の代々の墓に運ぶ。

しかし犯人は金を引き取りに現れず、なぜか娘・紅はボロボロの状態で家に帰ってきた。

千鶴男は事件について若宮(岩田剛典)に相談。

誉獅子雄(ディーン・フジオカ)と若宮は事件解決のために離島へ向かうが…。

ネタバレなし感想・海外評価

シャーロック劇場版の岩田剛典

©︎映画「バスカヴィル家の犬」製作委員会

『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』は原作小説とは全くの別物。

日本版なので舞台が違うのはもちろん、ストーリーの類似点のほうが少ないです。

疑問符が湧くシーンが非常に多く、真剣に考えてると疲れます(笑)。考え損です。

原作を知らない人のほうが楽しめるかもしれません。

コナン・ドイルの原作好きな人は「なぜこのタイトル使った?」となること請け合い。

感想を語る犬
全体的にシリアスさがなく、軽いノリのミステリーが好きな人以外にはまったくおすすめできません。
おすすめ度 45%
ミステリー・サスペンス度 48%
ストーリー 50%

※以下、映画『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』のストーリーネタバレありなので注意してください!

映画『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』ネタバレ感想・評価

緊張感ゼロのミステリー

映画『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』の評価は48点。原作の影を跡形もなく消し去った駄作です。

コナン・ドイル原作というのは名前を借りただけでしたね。

考察系ネコ
ほぼオリジナルストーリーなこともあり、ミステリーの傑作である原作の良さは完全消滅しています。

蓮壁家当主の千鶴男(西村まさ彦)がPCリモート会議中に殺される最初の殺人からして緊張感がなく、その後の長男・千里が殺される中盤までスリルゼロの展開。

感想を語る犬
殺人事件が起きるミステリーで緊張感がない時点で狂犬病よりも致命傷ですね。

スリルがないのは、行動原理が微妙だったり、細かい設定がフワフワだったりわかりにくいせいでしょう。

臨場感がないうえに、どうでもいい疑問が山のように浮かんできて映画に没入できませんでした。

肝心の魔犬がドローンだったというショボすぎなオチも問題。

ディーン・フジオカが犬の格好をしていた必然性も微妙だし、ギャグにしか見えません。

考察系ネコ
クオリティの低さこそが魔犬の呪い!?

121年前に出版された原作小説の方がミステリーとして数段上ですね。

100年経とうが名著は名著。

いっぽうで本作は現代風に作り変えて思いっきりスベってます(笑)

感想を語る犬
なかなか良いと思ったのは紅が本当の親・朗子たちとベッドで寝ながら地震で山崩れが起きて全員死亡するラストくらいでしょうか。
全体的に、少なくともミステリーとしては残念と言わざるをえません。

犯人の行動原理がボロボロ

ミステリー・サスペンスとして1番残念に感じたポイントは犯人たちの行動原理がボロボロなところ。

真犯人だった紅は、自分が1歳の頃に蓮壁家に誘拐されたと知って怒り狂うのはわかります。

ただ、だからって家族3人殺したろ!とはならない気が…。

実の親だった朗子たちもせっかく家族3人一緒になれたんだから、連続殺人を計画する娘を止めるのが普通では?とも思いました。

感想を語る犬
紅たちはお金と復讐が目的なら、ゆすってお金を取るか、警察に暴露すれば済む話なんですよね。

なぜそれらを検討せず、家族3人で暮らす幸せな未来よりもリスクの高い狂言誘拐+連続殺人に踏み切ったのか。

行動原理に説得力がありませんでした。

実の子でない紅が蓮壁家でしいたげられてきたのもわかりますが、それが3人を殺す理由になるでしょうか?

考察系ネコ
少なくとも弟・千里は嫌なやつだっただけで、殺されるほど悪くはない気がします。かわいそうな奴です(笑)

子供の頃の紅が母親に閉じ込められるなど、若干虐待っぽい描写はありました。

しかし紅が見た目は普通の大人で全然トラウマを隠しているように感じられません。よって誘拐した蓮壁家をどれだけ恨んでいたのかがイマイチ伝わってこなかった

ここが演出として問題だと思いました。

心象風景といって自分が落下する絵を描くなど影があるキャラではあったのですが、演技からはその影が伝わってこなかったんですよね…。

結果、そこまでする必要があったか微妙という、大きな違和感が生まれてしまいました。

リアリティのない島

離島にある屋敷で勃発した奇怪な殺人事件!

私のようなサスペンス好きが大好物のお決まりシュチュエーションで、パターン通りやってくれたらある程度は満足できたはずなのですが、『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』には致命的な弱点がありました。

そう、島の設定がブレブレに見えてリアリティがないのです。

最初は廃鉱山しかない寂れた島かと思わせておいて、中盤で警察署もキャバクラもあることが判明。

そこまではまだ良いのですが、後半の回想シーンでは人が所狭しと行き交うショッピング街まで登場。

この街の雰囲気だと人口数万人規模です。

考察系ネコ
日本にこんな離島ある!?

島での撮影と普通に都会で撮影したシーンが混ざっている感じがして、見ていて冷めました。

条件的には淡路島とかでしょうか。ただ離島ではないです。

仮にこんな島があったとしても、殺人事件が起こったおどろおどろしい田舎の島という感じが一切ありません。

何より自分が殺人事件に巻き込まれても街に逃げれば誰か助けてくれそうなので、ドキドキしないんですよね…。

フワっとしてる部分多すぎ

睡眠不足で朝一の鑑賞に臨んだことを差し引いても、『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』は疑問が山ほど浮かぶ作品でした。

まず紅については、キャバクラやるなら離島より本土のほうが絶対稼げるでしょう(地元でやるのは両親への当てつけの意味もあるでしょうが、知り合い多くてやりずらいでしょ)。

あと長男・千里が隠し金庫がある廃鉱山に夜に向かうのですが、夜じゃなければならない必然性ってありましたっけ?

そもそもなぜ当主は金庫を廃鉱山に置いたのでしょう。崩れたらそこで全財産が「はい終了」です。

千里は廃鉱山で罠にかかりましたが、罠って仕組み知ってればはずせそうですけど。

あと、雪も積もっていない冬の瀬戸内海の離島で一晩では凍死しない気がします

山は地上より寒いですが、島にある山なら標高そんなに高くないはずです。

また、依羅が幼い紅を誘拐したのは人通りがかなり多い場所です。周囲に目撃者はいなかったのでしょうか。

小泉孝太郎演じる捨井准教授については、難関大学に勤めているらしいですが、地震が来る確率が高いからと館に脅迫文を送り、地震がきた後で「俺がみんなを救おうとして脅迫文を書いたんだ」とほのめかして紅の気を引こうという作戦が意味不明でした。

いつくるか予測不可能な地震頼みの恋愛アプローチより、もっといい方法があったでしょうに。

仮に成功したとしても、脅迫状をせっせと作っていた男は「キモい」と思われて終わりでしょう。

感想を語る犬
原作小説のステイプルトンより数段アホですw。

あと、捨井准教授と紅はいつから仲が悪くなったのでしょう?

捨井が地震が来るよおじさんになったから?

ただ紅からしてみれば嫌いな親・依羅に嫌がらせしてくれているので、そこまで嫌いになる道理はないのでは?

殺人を計画しているので、蓮壁家で親と仲良くしているふりをして周囲に犯行を気づかれないためなのかもしれませんが、捨井が『出て行け』と新聞の切り抜き脅迫文を送っていたのは自分が誘拐されたと知る前でしたよね?

こんな感じで本筋のストーリーとそこまで関係ないパートでよくわからない点が多かったので、物語に全然没頭できませんでした。

ラスト考察:八つ墓村じゃん!

ラストは大地震が起こり、紅と実の両親・朗子とその夫は逃げることを拒否して一緒に死ぬことを選びます。

こんなことなら最初から連続殺人なんか計画するなよ!というツッコミをわきにおけば、ドラマティックで感動的な結末だったと思います。

感想を語る犬
『容疑者Xの献身』の西谷弘監督が最後の最後でちゃんと仕事したイメージ。

20年ぶりにやっと再会して、そして心中するという日本風の儚い悲劇が心に残りました。

同時にどこかで見たことある感が湧いてきました。

最後の地震は魔犬の祟りなのか?あやふやな感じで建物が崩れて紅たち首謀者が死ぬラストは名作ジャパンホラー・サスペンス『八つ墓村』のラストとそっくりですね。

まあ、紅たちが最後は家族一緒にいられたということを考えると、八つ墓村のほっこりバージョンともいえるでしょう。

伏線やミスリード・原作小説と比較

捨井准教授が頭良さげで誉獅子雄のライバルみたいな感じで登場しますが、これは原作の犯人が学者のステイプルトンなので、「原作通りなら捨井が犯人か!?」と思わせるミスリードです。

朗子たちが狂犬病ウィルスを購入した闇サイトはダートムーアという名前でしたが、ダートムーアは1901年の原作の舞台です。

原作と本作では同じ設定のほうがむしろ少なく、全く違う内容になっています。

同じ設定は犬の呪いくらいでしょうか。

狂犬病の設定も原作にはないですし、何より原作小説にはちゃんと魔犬が出てきます

ドローンに犬のお面を被せて怖がらせていたという子供騙しではありません(笑)。

考察系ネコ
『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』は原作をミスリードに使いつつも原作より数段つまらないという皮肉な映画でした。

映画『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』作品情報・キャストと演技の印象

公開・制作国・上映時間2022/06/17・日本・119分
原題:『The Hound of the Baskervilles』
ジャンル:ミステリー・サスペンス
監督:西谷弘
脚本:東山狭
原作:コナン・ドイル「バスカヴィル家の犬」(1901年著)
制作・配給:角川大映スタジオ・東宝
製作:映画「バスカヴィル家の犬」製作委員会

西谷弘は傑作映画『容疑者Xの献身』を監督した人物。しかし本作のクオリティは…。

原作(というかモチーフ)は121年前に刊行されたコナン・ドイルによるミステリーの傑作!

シャーロック・ホームズ小説の中でも人気の1冊です。

ただ、原作と同じなのは魔犬の呪いくらい。ストーリーはほぼオリジナルです。

登場キャラ・キャスト

誉獅子雄(ほまれ ししお)|cast ディーン・フジオカ→いつものディーン。イケメンすぎて浮いちゃってる気がします。

若宮潤一(わかみやじゅんいち)|cast 岩田剛典→岩ちゃんが悪いわけではないと思いますが、なんかディーンとのコンビとしてのやりとりがぎこちない気が…。岩ちゃんは2022年はNetflix『金魚妻』にも出演して濡れ場を演じて話題に。

蓮壁紅(はすかべ べに/資産家の娘)|cast 新木優子→美しいですが、ありふれる透明感がアダとなっているような…。新木優子は『六本木クラス』(2022)でヒロインを演じてます。

 蓮壁千里(はすかべ せんり)|cast 村上虹郎(『今際の国のアリス』)→何がしたいのかよくわからんキャラでした。鉱山は昼間に行けよ…。

冨楽朗子(ふらく ろうこ/蓮壁家を担当するリフォーム会社)|cast 広末涼子

冨楽雷太(ふらく らいた/朗子の夫)|cast 渋川清彦(『夜明けのすべて』)

蓮壁千鶴男(はすかべ ちづお/蓮壁家の当主)|cast 西村まさ彦→2022年は落語コメディ『大河への道』にも出演していましたね。

小暮クミコ(巡査部長)|cast 山田真歩

江藤 礼二(えとうれいじ/警視庁捜査一課長)|cast 佐々木蔵之介

捨井遥人(すてい はると/地震研究者・准教授)|cast 小泉孝太郎→挙動不審な研究者の役がはまってました。本作で良かったキャラは彼くらいな気が…。

蓮壁依羅(はすかべ いら/千鶴男の妻)|cast 稲森いずみ

馬場杜夫(ばばもりお、蓮壁家の執事)|cast 椎名桔平

最後のまとめ

映画『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』は、傑作小説の名前を借りたコケおどし的な残念ミステリーでした。

ストーリーのいらない要素を削ぎ落として『容疑者Xの献身』のように報われなかった家族のヒューマンドラマに仕立て上げれば良作になっていたでしょう。

ミステリーを頑張ろうとしていろんな設定を詰め込んだ結果、いろんな要素が破綻して見応えがまったくない映画が出来上がってしまいました。

感想を語る犬
黒犬の呪いが作品のクオリティにもかかっちゃってますよ。

ここまで読んでいただきありがとうございます。『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』レビュー終わり!

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