Netflixアニメ『アポロ10号1/2』は宇宙船・アポロ10号が設計ミスで小さくなったので、NASAが子供を訓練させて乗り込ませるというストーリーです!
『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』や『6才のボクが大人になるまで』で有名なリチャード・リンクレーター監督作品。
アポロ計画を中心に回っていた1960年代のテキサス・ヒューストンを舞台に監督自身の少年時代を、当時のカルチャーと共に振り返るような自伝的な内容です。
1960年代当時のアメリカ文化に興味がある人以外は楽しめないと思います。
キャスト・作品情報、ぶっちゃけ感想・評価、考察、ネタバレあらすじ解説を知りたい人向けに記事をわかりやすくまとめました。
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目からどうぞ)
Netflix映画『アポロ10号1/2』作品情報・キャスト
原題:『Apollo 10 1/2: A Space Age Adventure』
監督:リチャード・リンクレーター
脚本:リチャード・リンクレーター
制作:Netflixアニメーションズ/ミノーマウンテン
ジャンル:アニメ・ヒューマンドラマ
配給:Netflix
リチャード・リンクレーター監督
『ビフォア』シリーズなど現在と過去を対比させるヒューマンドラマで高く評価されている監督です。
俳優イーサン・ホークとタッグを組むことも多いですね。本作で延々独白する主人公スタンを演じたのはジャック・ブラックで、『スクール・オブ・ロック』繋がりでしょう。
リチャード・リンクレーター監督 代表作:『ビフォア・サンライズ』『ビフォア・サンセット』『ビフォア・ミッドナイト』『スクール・オブ・ロック』
登場キャラ・キャストCV
スタン|ジャック・ブラック(『スクール・オブ・ロック』)
パパ|ビル・ワイズ
ママ|リー・エディ
ヴィッキー|ナタリー・ラモロー
クランツ|ザカリー・リーヴァイ
ボスティック|グレン・パウウェル
『アポロ10号1/2』ネタバレなし感想・あらすじ・見どころ・海外評価
少年・スタンがアポロ計画に携わることになったこと。そしてスタンが過ごした華々しい1960年代テキサス・ヒューストン当時のシーンが差し込まれつつ、それをジャック・ブラックのナレーションで延々と語る映画。
海外大手レビューサイトの評価も高いですが、当時のアメリカを知る人なら楽しいのでしょうか?ちょっと意外です。
2D風の3Dアニメとなっており、その点は斬新ですね。
おすすめ度 | 40% |
アニメの映像表現 | 85% |
ストーリー | 55% |
IMDb(海外レビューサイト) | 7.4(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家92% 一般% |
※以下、ネットフリックスアニメ映画『アポロ10 1/2』のストーリーネタバレありなので注意してください!
Netflix映画『アポロ10号1/2』ネタバレ感想・酷評
過去の思い出を大人になったスタンが独白する内容で、当時と現在を比較するリンクレーターお得意のパターンではあるのですが、ずっと過去の回想シーンって映画としてどうなの?という疑問が鑑賞中ずっと拭えませんでした。
アポロ10号に少年が乗り込むというアイデアは素晴らしいものの、そこはストーリーとしてフォーカスされていなかったのも勿体なかったです。なぜそこをメインにしなかったのか…。
アニメーションは、モーション・キャプチャーで撮影したあとに輪郭線が太い2Dっぽい絵を上書きしたようでとても個性的。制作過程がどんな感じか興味を惹かれるというのはあります。
あと細い点だと、『アポロ10号 1/2』のタイトルはフェデリコ・フェリーニの『8 1/2』のオマージュっぽいのでシュールなアニメなのかと期待していましたが、タイトルだけ真似ただけっぽいですね。
カルチャー解説ならアニメより実写のほうがよくない?
©︎Netflix
アニメ映画『アポロ10号1/2』では、1960年代の当時のショッピングモール、ボーリング場、映画館、ドライブインシアターなど当時の街並みもたくさん
当時の文化を解説してもらえるなら実写のほうがわかりやすいし、雑学としても頭に吸収されると思いました。1960年代当時の風景をリアルで見たことがないのにアニメにされてもピンときません。
ストーリー的にも、実写のほうがスタンの少年時代の思い出に感情移入できたと思います。
ただ考えてみると、当時の文化をNASA含めて盛り沢山で説明したい場合に、実写だとセットなどの用意に金がかかりすぎるので、アニメにしたのかもしれませんね。
考察:ストーリーの意味/少年たちは月へ
©︎Netflix
『アポロ10号 1/2』でスタンが月に行ったというパートについては、妄想・想像だったと考えたほうがしっくりくると思いました。
本当にスタンが極秘任務でNASA入りし、宇宙船で月へ行ったなら、映画のストーリーとしてそのパートをフォーカスしないのは不自然です。
月面旅行は、宇宙に憧れる少年スタンの強い願望だったのでしょう。
スタンの空想だと捉えると、平凡な過程で育ち宇宙飛行士になれないと少年ながらに悟っているような、ほろ苦さも感じられて味わい深いです。
ひょっとすると1960年当時の少年たちはみんな宇宙飛行士への憧れが強く、スタンのように“急にNASAに呼ばれて宇宙へ行く”という想像をしていたのではないでしょうか。
また、映画では大人になったスタンが物語の説明をする構造でした。
大人のスタンが「あれは夢だった」と一切言わないところを考慮すると、それだけ月面着陸への思い出の強さというか、宇宙開発への熱意がリアルに人生の一部だったと伝わってきますね。
映画『アポロ10号1/2』ネタバレあらすじ解説
©︎Netflix
1960年代、少年スタンはテキサス州ヒューストンで暮らしていました。
当時アメリカとソ連は宇宙開発競争でしのぎを削っており、NASAがあるヒューストンの街はアポロ計画の話題でもちりきりです。
街に住む人もNASA関連の仕事に就いている人が多く、父はNASAで物流を担当していました。スタンはいつも父が秘密のミッションを行なっているとホラを吹いていました。
ある日、NASAの職員が学校にやってきて、「アポロ10号が設計ミスで予定より小さくなってしまったから訓練を受けて乗ってくれないか?」と言われます。スタンはOKしました。
家族にも極秘とされた厳しい訓練以外、末っ子のスタンは兄や姉、近所の人たちと何不自由無い楽しい少年時代を送っていました。
テレビを取り合ったり、遊園地へ行ったり、当時流行っていたスタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』をみたり、ボーリングに行ったり、ジャニス・ジョップリンのインタビューをブラウン管越しに見たり。
しばらくしてスタンはアポロ10号に乗って月面着陸をし、無事戻ってきますが、シークレットミッションで家族も知らないため、誰も祝福してくれません。
今度はアポロ11号です。ニール・アームストロング船長が月面着陸する瞬間。一家はテレビに釘付けでしたが、スタンは寝ていました。自分が着陸する夢を見ながら。
Netflixアニメ映画『アポロ10号1/2』終わり。
最後のまとめ
アニメ映画『アポロ10号1/2』は、宇宙開発に加熱した当時のアメリカを鮮やかに映し出した意義深い作品ではありますが、個人的には非常に退屈でした。
テーマ性・メッセージ性に優れているので、リチャード・リンクレーター監督自ら実写化したらきっとすごい作品になると思います。
ここまで読んでいただきありがとうございます。Netflix『アポロ10号1/2』レビュー終わり!
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