ひどい駄作?『アリースター誕生』ネタバレ酷評!ラスト感想:アリーに共感できねえ!あらすじ考察・レディーガガ演技解説

  • 2024年4月11日

映画『アリー/ スター誕生』(A Star Is Born)は、日本のみならず、本国 アメリカでも好評価が多い作品だが、個人的には満足度が低く、映画としてかなり微妙だと感じた。小綺麗にまとまり、人を感動させる大事な要素が抜け落ちていた印象だ。

僕がそう思った理由を書いていく。

映画『アリースター誕生』ネタバレ酷評/アリーに感情移入できない

アリー/ スター誕生では、アリー( レディー・ガガ)が、ロックの大スターであるジャック( ブラッドリー・クーパー)に歌声を認められ、恋人となりツアーで共演しながら、プロデューサーの目にとまり、デビューして人気者になるというのが、序盤から中盤にかけてのストーリーなのだが・・・

なんと!アリーが挫折を味わうシーンがまったくない。絵に描いたようなトントン拍子である。

それどころか、彼女が少し悩んでいるシーンすら、高校生がデートに何着て行こうか?みたいな非常に軽い感ノリで描かれている。

アリーという女性についてまとめてみると、

  1. 歌も作曲も最高
  2. 大スターでイケメンの恋人までゲット
  3. そしてデビューし、一躍人気者に

ということになり、彼女は大きな苦悩を経ることなく、なんとなくスターになっているように見えてしまうのだ。家族間の問題なども特にない。

アリー/ スター誕生 レディーガガ

「才能も境遇も全て揃っていた人物の、失敗のないサクセスストーリーに、感情移入しろという方が難しくないだろうか!?」

アリーの心情がもう少し細かく深く描かれていれば、映画全体の印象がまったく変わってきただろうと思う。非常に残念な点だ。

一方、もう一人の主役、ジャック( ブラッドリー・クーパー)も、割と淡白な演技をするのだが、ジャックの場合は、余計な言葉は省いて、行動の中で視聴者が彼の内面を自分で考えるようにみせようという意図が感じられたので、こちらには不満はない。

アリーもジャックのキャラクターに寄せて、エモーショナルな描写を少なくしたのだろうか?

映画を観る側からすると、アリーまで距離感が遠いと、いろいろな出来事に共感できない。

ちなみにレディー・ガガはリドリー・スコット監督によるグッチ一族の没落を描いた映画『ハウス・オブ・グッチ』でも主演を務め、高い評価を得ている。

アリーが何をしたいのかわからない

アリー(レディーガガ)

アリーが歌が大好きで、歌でスターになることを夢見ている!それはわかる。しかし、彼女のそれ以上の理想や理念は映画でもう出てこない。

どんな歌手になりたいか?どんなジャンルの音楽をやりたいか?有名になってから何をしたいかが全く見えてこないし、語っているシーンもない。

ただ、歌が好きでスターになりたい人物がアリーなのか?だとすると本当に薄っぺらい。女子高生か?

彼女ならではの理由や、信念が少しでもあれば、この映画に対する評価はもっと高くなっただろう。

ジャックのアーティストとしての精神がアリーに受け継がれていない

ダンスで派手に売り出されようとするアリーに、ジャックは本当に大事なものは何か考えろと苦言を呈す。しかし、それがアリーに響いている様子はない。そして何やかんやしているうちにジャックは死んでしまう。

アリーはジャックのアーティストとしての精神を受け継ぐことができたのか!?彼からなんらかの芸術的影響を受けたのか?

アリーとジャックアリー/ スター誕生

受け継いでいないし、影響受けたようなシーンもない。

(ラストでアリーが死んでしまったジャックが作曲した歌を歌うのだが、それと精神を受け継げたか?というのは別問題だろう。)

アリーはジャックに見出されたわけだから、彼のスピリットを受け継いでいるか?というのはとても大事なポイントだと思うのだが。

受け継いでいるでも、受け継がずに自分なりのスピリットに昇華するでも、どちらでもいいのだ。

しかし、その答えをしっかり提示してくれないのは少し酷いと思った。

映画『アリースター誕生』主役は音楽でなく、スター

アリー/ スター誕生は主役を音楽でなく、スター自体に置いている。

アリー/ スター誕生 ステージ

アリーがスターダムを駆け上がっていくこともそうだし、対照的にジャックはスターの階段を転げ落ちていく。スターになるとはどういうことか?というのは、まあ描かれていると思う。

そして、音楽についてはどうか?もちろん魅力的な楽曲や歌唱シーンなどが見どころでよかったのだが、音楽自体に重点が置かれてなかったように感じる。

理由は、楽曲制作で苦しむ描写がなかったからだ。アリーもジャックも天才なので良い曲がスラスラ書けますということだろうか?

アリー/ スター誕生という映画にとっての音楽の扱いが、どこか道具的なのである。

スターがいるから→良い楽曲があるという順番に見えてしまうのだ。この順番だと芸術的な印象がなく、非常に薄っぺらく感じてしまう。

普通は、最高の曲があって→スターになっていくという順番ではないのか?

この辺が、音楽が全てを包み込むような映画だった ボヘミアン・ラプソディとの一番の違いだろう。

映画『アリースター誕生』なぜヒットした!?

なぜ アリー/ スター誕生がヒットしたのか?

前半のアリーとジャックのイチャイチャ、ダラダラしたシーンが長かったが、物語終盤でジャックが失墜し、失態をおかし、自殺し、アリーが追悼歌を歌うというまるでジェットコースターのような急降下がドラマティックで効果的だったからだと僕は考える。実際後半は楽しめた。

補足的になるが、 アリー/ スター誕生について アメリカでの評価が高いのは少しだけうなづける。 ブラッドリー・クーパー演じるジャックが、 アメリカで大人気の国民的ロックバンド= パール・ジャムのボーカル、 エディ・ヴェダーに似ていたからだ。

親近感が湧きやすい側面はあっただろう。

最後の感想・結論まとめ

綺麗にまとまった映画に見えても、登場人物に感情移入できなければ、映画として楽しむことはできない。 アリー/ スター誕生はその典型的なパターンだろう。

映画としての完成度に力を入れ過ぎて、アリーのパーソナリティーという根本的な部分が薄くなってしまった。

アリー/ スター誕生は今回4度目のリメイクなのだが、5回目のリメイクの時は、しっかり共感できる物語になることを祈る。

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