映画『ルパンVS複製人間』ネタバレ感想と考察:シュールレアリスムが盛りだくさん

  • 2024年5月15日

ルパン三世劇場映画の第1作として1978年に公開された、『ルパンVS複製人間』

5億円の製作費がかけられたこの映画は一体どんなできになっているか?

もちろん、この作品にはファンが多く、原点回帰したダンディズムさもあり、面白いことは間違いない(プロットに多少無理はあるものの・・)。

そして何より、製作陣の遊び心が溢れている。製作陣は5億円使って結構やりたい放題やっているのだ(いい意味で)。

具体的には、映画の中で、シュールレアリスム(超現実主義)の絵画がそのまま登場したり、あの超有名映画のパロディをやっていたりするのである。

今回はその辺について重点的に解説していく。

『ルパンVS複製人間』ネタバレ考察/アート意識のシーンが多い

実際にある芸術作品が出てくる出てこない以前に、ルパンVS複製人間は、アートを意識したシーンがとても多い。

オープニングは、ルパンのクローンが首吊り台の梯子(ハシゴ)を登っていくシーンから始まるが、梯子の枠のひとつひとつがゆっくり上に動いていく様は、映画のフィルムのようにも見えるし、抽象表現主義画家のマーク・ロスコっぽい印象もある。

砂漠に、突如テーブルと冷えた水が現れ爆発するシーンは、シュールレアリスムっぽい。

マモーの部下であるフリンチ(この名前にしても、完全に製作者が遊んでると思うw)が、五右衛門に顔を横三文字に切られたとき、世界が3つに別れていくという、切られたフリンチの視点で映像をみせていたのも、実に現代アート的な発想だ。

『ルパンVS複製人間』ネタバレ解説/シュールレアリスム絵画

ルパンがマモーの島で追ったり追われたりするシーンがあるが、そこではシュールレアリスムの絵画がそのまま登場する。

  • ジョルジオ・デ・キリコ『通りの神秘と憂愁』
  • ポール・デルヴォー『アクロポリス』
  • サルバドール・ダリ『ナルシスの変貌』
  • サルバドール・ダリ『記憶の固執』

みんなシュールレアリスムを代表する画家たちの作品である。

この他にもマウリッツ・エッシャー1953年発表の『相対性』という絵や。ミケランジャロの『アダムの想像』、そして、代理石像なども含めれば作品数だけで30弱(引用元)登場する。

なぜ、ルパンVS複製人間には、こんなにもアート作品が登場しているのか?

推測も含むが、ルパンVS複製人間は、もともと大人向けに作られた映画なので、大人の知的好奇心を満たすために、芸術的なシーンを盛り込んだり、実際の芸術作品をそのまま使ったりしたのだろう。

要は、作る側と、観る側の遊び心である。今のアニメーションで美術品の引用が果たして受けいれられるか?

もちろん今も美術品の引用は珍しいことではないし、肯定的な人が多いとは思うが、ここまで露骨に遊べるのは、1970年代という時代背景もあるのではないかと思う。

『ルパンVS複製人間』と2001年宇宙の旅

ルパンVS複製人間では、なんとかの有名なスタンリー・キューブリックによる、2001年宇宙の旅のパロディシーンもある。思いついたことを全部やってしまうおう!という精神がすごい!

最後のマモーが宇宙空間へ行くシーンで、惑星直列のようになるシーンがあるが、これが2001年宇宙の旅のパロディである。2001年宇宙の旅を観たことがある人ならすぐにわかるように作っている。

2001年宇宙の旅の星の直列

こちらは2001年宇宙の旅のほう。

ルパンVS複製人間のまとめ

美術作品、とりわけシュールレアリスム絵画からの引用が多いというルパンVS複製人間の特徴をご理解いただけたと思う。

知らなくても楽しめるが、知っているとさらに面白い。ルパンVS複製人間はそんな作品なのだ!ぜひ、もう一度、動画を見返してみてはどうだろうか!?