映画『関心領域』を鑑賞してきました。ユダヤ人を大量虐殺したアウシュヴィッツ強制収容所のすぐ隣に住む所長一家の日常を描きます。
ネタバレなしの感想
感想・考察「効率化の闇」(ネタバレあり)
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
映画『関心領域』作品情報・キャスト
制作国:アメリカ・イギリス・ポーランド合作
上映時間:1時間45分
原題:『The Zone of Interest』
ジャンル:戦争・歴史
年齢制限:G(制限なし)
監督・脚本:ジョナサン・グレイザー(『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』)
原作:マーティン・エイミス 『The Zone of Interest』
撮影:ウカシュ・ジャル
音楽:ミカ・レヴィ
キャスト↓
クリスティアン・フリーデル
ザンドラ・ヒュラー(落下の解剖学)
2024年度のアカデミー賞では作品賞・監督賞・脚色賞・国際長編映画賞・音響賞の5つでノミネートされ、国際長編映画賞と音響賞を受賞しました。
映画『関心領域』あらすじ
ルドルフ中佐が家長の所長一家はユダヤ人を虐殺するアウシュヴィッツ強制収容所のすぐ横に住居を構える。
家族は幸せそうに暮らしていた。いっぽう、壁の向こうのアウシュヴィッツからは死体を燃やした煙が上がっている。
所長一家の日常を描くことでホロコーストの闇を暴いた衝撃作。
※以下、映画『関心領域』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『関心領域』ネタバレ感想・考察
ホロコーストやジェノサイド反対のメッセージから、人間はいつでも虐殺を成しうるかもしれないと警鐘の範囲を拡大した鋭い切り口の作品!
監督のジョナサン・グレイザーはユダヤ系イギリス人でありながら、ガザでは双方に犠牲があるとアカデミー賞の授賞式でスピーチしたため、反イスラエルとみなされて批判されています。
このことからも、監督が単にナチスドイツだけを批判しているわけでないことがわかります。権力と搾取の構造そのものを批判しているわけです。
最大の悪は効率ではないか?
本作では何度も「効率」というワードが登場します。「効率」とナチズムの優生思想が結びついたとき、最悪の結果が生まれたのだと思いました。
国家が成長するうえで最も効率が良いのは搾取することです。
効率良く搾取するためには、効率の良い殺害が必須です。そこで所長は効率の良い死体焼却炉の計画を実行しようとします。
所長がなぜそんなことをするかというと、ナチスドイツに貢献して自分の家族を効率良く幸せにしたいからです。
効率という魔法の言葉によって、生身の人間性がはぎ取られているような気がしました。効率化と人間性はトレードオフだと改めて感じました。
→関心領域のさらに詳しい考察はコチラの記事へ←
最後のまとめ
映画『関心領域』は、ナチスの所長一家の幸せな暮らしとすぐ隣にあるアウシュヴィッツの対比構造が光るコンセプトに優れた作品でした。
『シンドラーのリスト』的な切ないつくりより、搾取の構造を突きつけた本作のほうが問題提起の力は大きいかもしれません。
映画『関心領域』レビュー終わり!
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