映画『トップガン マーヴェリック』の公開前に1986年の前作『トップ・ガン』を見直すと、名作だと言われている理由が明確にわかりました。
本作の何がすごいのか?解説・考察をネタバレありで力説してます!
作品情報・キャスト・あらすじぶっちゃけ感想・評価、意外と深いストーリー徹底考察を知りたい人向けにレビューしています!
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映画『トップガン』作品情報・キャストと演技の印象
原題:『Top Gun』
ジャンル:アクション・青春ドラマ
監督:トニー・スコット
脚本:ジム・キャッシュ/ジャック・エップス・ジュニア
撮影:ジェフリー・L・キンボール
音楽:ハロルド・フォルターメイヤー/ジョルジオ・モロダー
主題歌:ケニー・ロギンス『デンジャー・ゾーンTOP GUN THEME』
全世界興行収入:452億円
ピート・マーヴェリック・ミッチェル|cast トム・クルーズ
©︎IMDb
勘と才能はピカイチだが無茶をするパイロット・マーヴェリック。
すべての場面がポスターにできるくらいかっこいいです。 目力も間違いなく世界トップレベル!
『ロック・オブ・エイジズ』(2012)では伝説のボーカリストを演じ、抜群の歌唱を披露したトムですが、この頃はまだ歌が下手。それも味わい深い(笑)。
シャーロット・“チャーリー”・ブラックウッド|cast ケリー・マクギリス
©︎IMDb
チャーリーは訓練校・トップガンの教官。パイロットを理論面でサポートします。
余談ですが50代のトム・クルーズがまだ若々しいのに対して、ケリー・マクギリスは順調に歳を取り、海外メディアでは一時期「恋人同士だったのに今は親子のようだ」と揶揄されていました。
そんなケリー・マクギリスに続編への出演オファーが来なかった…。街でケリーを見かけてもそっとしておいてあげましょう。
トム・“アイスマン”・カザンスキー|cast ヴァル・キルマー
©︎IMDb
アイスマンはガムを噛んでいるだけでカッコいい訓練学校のエースパイロット。マーヴェリックのライバル。
俳優ヴァル・キルマーは個人的には『バットマン・フォーエヴァー』のブルース・ウェイン役が印象深いですが、やっぱりアイスマンも最高っすね。
もちろんヴァル・キルマーは続編『マーヴェリック』に再登場!
あらすじ
天才的な能力を持つアメリカ海軍のパイロット・マーヴェリック(トム・クルーズ)は領空内で敵国の戦闘機・MiG-28と対峙。緊張が走りますがMiG-28は去っていきました。
マーヴェリックは航空戦訓練学校(トップ・ガン)へ入ります。夜にバーでチャーリー(ケリー・マクギリス)という女性をナンパしますが、翌日彼女が学校の教官だと発覚。
マーヴェリックは親友でパートナーのグース(アンソニー・エドワーズ)と戦闘機F-14トムキャットでの空中戦の訓練を繰り返しますが…。
戦闘機アクション | 95% |
青春の葛藤 | 88% |
ストーリー | 85% |
IMDb(海外レビューサイト) | 6.9(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家55% 一般83% |
※以下、映画『トップガン』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『トップガン』ネタバレ感想・評価
1980年代はどんな時代だったか?
タイムマシンがなくても体感できる方法が『トップ・ガン』の視聴でしょう。
当時まだ生まれてすらいない私から見ても「これが80年代で間違いねえ!」と確信できる。
『トップ・ガン』はそれくらい強烈な空気感をまとった作品です。
10年以上前に初めて見たときは古臭い映画と感じましたが、改めて見直すと1周回ってなんか斬新です。
戦闘機、ハードロック、青春。食べ物にたとえるならフカヒレ、ステーキ、イチゴケーキ?
とにかく胃もたれ必至の組み合わせですね(笑)。
『トップガン』は、スタローンの『ロッキー3』(1982)、プリンスの『パープルレイン』(1984)、同じくトム・クルーズ主演の『カクテル』(1988)の系列で、カッコイイ男の挫折と復活がテーマ。
パターン化されたストーリーかと思いきや、意外とコクがあるのも素敵です(考察の項目で詳しく)。
ジェット戦闘機アクションが凄すぎる
ストーリーは王道青春系の『トップ・ガン』ですが、当時のアメリカ海軍が協力した戦闘機のアクションは今見ても色褪せません。
本物でしか出せない緊張感と迫力、空を切り裂く強烈なサウンドが体感できます。
たとえ見どころが戦闘機アクションだけだとしても本作を見る価値は十分でしょう。
そこに80sハードロックが組み合わされます。
歪んだギター、たたみかけるシンセベース、切り裂くドラムビート。尖りまくりです。
海外の批評家からの評価は低い
映画好きなら誰もが知る『トップ・ガン』ですが、意外と海外の批評家からの評価は低いです。
理由の多くで見られたのが「ストーリーが単調すぎる」というもの。
確かにストーリーが王道すぎるというのはあるでしょう。
あとはもしかすると本国アメリカの人が見た場合、日本以上に80年代の古臭さ、価値観・ファッションの痛々しさを感じてしまうのかもしれません。
80年代という時代を象徴しすぎた代償でしょう。
IMDb(海外レビューサイト) | 6.9(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家55% 一般83% |
トップ・ガン1986 徹底考察(ネタバレ)
父の亡霊を追い続けるマーヴェリック
『トップ・ガン』のストーリーは、めちゃくちゃ深いとまではいかないまでも、決して浅くはない。個人的にはそう思っています。
シンプルかつディープな物語だといえるでしょう。
1番の理由が、マーヴェリックの父デュークがミッション中に行方不明になったという設定。
「ミッション中に撃墜された」ではなく「行方不明」なので、父親がどうなったかの謎に惹かれるのです。
(実際は撃墜されていたと発覚しますが)
マーヴェリックが自暴自棄な性格なのも、父を誇らしく思う気持ちと、英雄でなくミスしたり逃げたりしたかもしれないという考えの狭間で揺れているからだと思います。
マーヴェリックが飛ぶのは、父と同じように生と死がせめぎ合ったギリギリの世界を見たいから。
父を失った青年は、父を知るためにわざと危険な操縦をしているわけです。
マーヴェリックは幼い頃から行方不明の父についてあれこれ考え、葛藤していたのでしょう。
葛藤は狂気に変わり、彼の仮面の下に潜んでいます。
イケイケのマーヴェリックが狂気にさいなまれている。
物語はそう単純でないといえるでしょう。
アイスマンは「君は敵より危険だ」と言います。彼はマーヴェリックがずっと亡霊を追っていることに気づいていたのかもしれません。
アメリカが追いかけた亡霊
さらに深読みすると、マーヴェリックが父の亡霊を追いかけている関係は、アメリカが追いかけた理想は亡霊だと突きつけているようで興味深いです。
海軍の天才パイロット・マーヴェリックはいわばアメリカ人男性の理想であり、強いアメリカの象徴です。
しかし実際のアメリカ社会はベトナム戦争による敗北などで、社会が何を目指せばよいのかわからなくなっていました。
哲学者ジャン=フランソワ・リオタールが提唱した大きな物語の死(みんなで目指すべき理想)が現実になりつつあり、追いかけていたものが幻想だと気づきはじめていたのです。
本作のラストはマーヴェリックが敵国の戦闘機を撃墜して英雄になるハッピーエンドでしたが、現実のアメリカは国際秩序を守るという名目のもとイラクなどでやらかしています。
『トップ・ガン』のような、みんなが同じ理想を語る大きな物語は死んだのです。
最後のまとめ
映画『トップ・ガン』は、本物の戦闘機を使った臨場感満点の航空アクションと、青春ドラマの裏に葛藤が見えてくる名作です。
ここまで読んでいただきありがとうございます。『トップ・ガン』レビュー終わり!
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