映画『ザ・ウォッチャーズ』行方不明者多数の謎の森にはガラス張りの部屋が…そして毎晩監視される…。主人公たちは謎を解明して生きて外へ出ることができるのか…。
ストーリー考察
物語ネタバレあらすじ・ラスト結末解説
徹底考察!ラストの本当の意味:主人公の正体と謎、その後の推測
これらの情報を知りたい人向けにレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
これから視聴する方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
映画『ザ・ウォッチャーズ』作品情報・予告
制作国:アメリカ
上映時間:102分
原題:『The Watchers』
ジャンル:サスペンス・ホラー
年齢制限:G制限なし
監督・脚本:イシャナ・ナイト・シャマラン
原作:イシャナ・ナイト・シャマラン「ザ・ウォッチャーズ」
撮影:イーライ・アレンソン
『シックスセンス』や『OLD/オールド』のM・ナイト・シャマラン監督が製作を務めています。シャマラン父娘の映画です。
映画『ザ・ウォッチャーズ』キャスト
ミナ|cast ダコタ・ファニング
キアラ|cast ジョージナ・キャンベル
マデリン|cast オルウェン・フエレ
ジョン|cast アリスター・ブラマー
ダニエル|cast オリバー・フィネガン
ダコタ・ファニングは『宇宙戦争』『イコライザー THE FINAL』で有名ですね。
ジョージナ・キャンベルも最近は『バーバリアン』やNetflix『バード・ボックス バルセロナ』など、話題のサスペンスホラーに出演する注目俳優です。
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※以下、映画『ザ・ウォッチャーズ』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『ザ・ウォッチャーズ』ネタバレあらすじ解説
森へ迷い込んだヒロイン
行方不明者多数の森に迷い込んでしまったミナ(ダコタ・ファニング)。車のラジオやスマホが使えなくなる。ペットショップの店長から運んでくれと命じられたニョウオインコと鳥籠を持って森を歩くミナ。車が消える。
怪物のような何かが叫ぶような音。森の中に建物と扉が現れる。老女マデリン(オルウェン・フエレ)が死にたくなければ入れ!とミナを招き入れた。
ミナはガラス張りの部屋に入った。
-
毎晩くる謎の監視者に背を向けたら死
-
夜にドアを開けたら死
-
光が当たる場所にいないと死
というルールがあると聞かされる。マジックミラーになっていて、謎の化け物ウォッチャーズ(監視者)からはこちらが見えるが、ミナたちからは外が見えない…。
一体、誰が何の目的でこんなことをしているのか?
マデリンはこの建物は鳥籠(とりかご)のような場所だと説明した。ミナは、キアラやダニエルと会う。みんな数ヶ月間ずっと閉じ込められているらしい。
朝日が昇ると外へ出られる。しかし森は広大で、いくつもある回帰不能点(Point Of No Return)の場所を越えると、日没までに鳥籠まで戻れなくなる。マデリンやダニエルは日中狩りをしながら、森を出る手がかりを探していた。
ミナは森で死亡した母の姿を見る。母は自分が車でふざけたせいで事故死してしまったのだ。それ以来、姉のルーシーとも疎遠だった。森は幻想を見せて狂わせようとしてくるらしい。
森には穴があった。ウォッチャーズは日中は穴の中に潜んでいるらしい。穴の中へ行くことは禁じられていたが、ミナは穴の中へ入ってみた。自転車を回収する。アリンリクタンという囁き声と共に白い手が見えた。
ミナは驚いたが、なんとか鳥籠へ戻る。
その夜、ミナは穴で拾った監視カメラをセットした。キアラの夫で数日前に森の脱出を試みたジョンがカメラに映る。
キアラは扉を開けようとしたが、マデリンはジョンしか知らない質問をしてみろと言う。キアラが私が読んでいる本は何?と質問すると、ジョンは答えられなかった。ジョンは怪物に引きずられていく。
ダニエルの精神が不安定になり、夕暮れにマデリンとミナがまだ外にいる状態で扉をロックした。
ミナたちは動物を解体した場所に隠れる。地面を這いずって、二足歩行になると身長がかなり高くなるウォッチャーズたちを見る。ウォッチャーズたちが一旦いなくなると、ミナたちはダニエルを説得して鍵を開けさせて中へ入った。
外にいるウォッチャーズたちは鳥籠の中に入ろうとしてくる。ミナたちが中央のテーブルを動かすと、地下へ続くハッチが現れた。みんなで下へ降りる。そこは居住空間兼研究施設だった。PCを起動するとローリー・キルマーティン教授のビデオログが残されている。
教授はこの施設を作ってウォッチャーズを研究していたらしい(建設を手伝ってくれた人たちはウォッチャーズの犠牲になった)。
教授はウォッチャーズのうち1体を捕まえたようだが、その後、自殺したようだ。
衝撃のラスト結末
教授によると回帰不能点134を超えた場所で鳥についていくと川があり、そこに脱出のためのボートがあると言う。
翌日、ミナたちはポイント134まで急いでやってきて、ミナはインコを外へ羽ばたかせ、ついていく。
大きな円形の石の蓋がある。ウォッチャーズたちは昔は羽がある妖精だったが、人間との戦争に敗れて地下に閉じ込められて怪物化した種族であることがわかる。彼らは人間を観察してその人物になり代わり、人間界へ進出したかったのだ。だから鳥籠を必死に観察していた。
夕暮れ寸前で川についた。しかしダニエルはジョンの幻に騙されて殺されてしまう。
ミナ、マデリン、キアラの3人はボートで脱出に成功。
翌朝、日が上り、ミナたちはバスでそれぞれの自宅へ帰還。
ミナは大学にあるローリー教授の研究室へ行ってみた。彼の研究によると、人間とウォッチャーズのハーフは変身能力が高いらしい。ミナはローリー教授の妻がマデリンで、彼女はかなり昔に病気で死亡していると知る。マデリンこそがローリーが捕まえた怪物が変身した姿だったのだ。
ミナは急いでキアラの家へ。そしてマデリンのことを説明する。しかしそれはキアラに変身したマデリンだった。本物のキアラが帰ってくる。マデリンがジョンに変身してキアラに襲いかかり、気絶させた。
ミナも襲われるが、あなたはハーフで半分は人間だ!あなたと同じような存在が世の中には存在する。仲間を探せるはずだ!とマデリンを説得する。マデリンは背中に羽を生やし、飛んでいった。キアラが目を覚ます。
その後、ルーシーが子供を連れてミナの家に遊びにくる。外で少女に変身したマデリンがミナたちを監視していた。
映画『ザ・ウォッチャーズ』考察
ミナはウォッチャーズのハーフ
(※便宜上、ハーフのウォッチャーズ・アインリクタンをマデリンと呼びます。)
色々考えましたが結論からいうと、ミナはウォッチャーズのハーフであり、かつチェンジリング(取り替えられた子ども)でもある。これが1番しっくりきます。
劇中でチェンジリング(幼い頃に子供が取り替えられること)が何度も言及されていましたし、ウォッチャーズと人間のハーフのジレンマについての記載も教授の研究室にありました。
おそらく自分では気づいていないけどミナはウォッチャーズとのハーフなのでしょう。
ミナがルールを破って穴の中に入った際に、怪物の手が出て「アインリクタン…」と言ってました。これはウォッチャーズの仲間が「ハーフのアインリクタンが帰ってきた」と勘違いしての発言だったのでしょう。ミナを見てハーフだと勘違いしたわけです。これもミナがハーフである事の1つの理由になります。
また、ミナのパーソナリティもハーフ説を後押しします。ミナは変装して夜の街に繰り出していましたが、これはウォッチャーズの血による変身願望を満たしていたと考えられます。孤独なアーティストとして人間世界にうまく馴染めていないのもハーフだからに見えます。
北欧の伝承によると、チェンジリングで取り替えられた妖精の子は、言うことを聞かない子が多いそう。
回想のミナは母親の言うことを聞かずに車の窓に手を挟み、結果事故が起きます。幼い頃に聞き分けの悪かったミナが実はその時点ですり替わっていた…というのはありそうなことです。
確か、回想シーン(幼い頃の事故の前)でミナは母親の言うことに文句を言わず従っている良い子だったので、そのあとでウォッチャーズによって取り替えられたのだと思います。
ミナは事故の際に車の窓に両手の指を挟んでおり、その状態で車が横転して指がちぎれないのは不自然です。これもハーフの力で治癒したのだと思います(回想では事故後にほぼ怪我をしていなかった)。
整理し直すと、もともとウォッチャーズのところで生まれたハーフが、幼い頃に本物のミナとすり替えられた説が1番納得いくパターン。(補足するとウォッチャーズはアメリカや世界各国に生存しているのだと思います。)
ミナが生まれたときからハーフというのも考えられます。ただその場合、双子の姉のルーシーもハーフとなり、ルーシーがハーフなら事故の傷くらいすぐに治るはずでは?という疑問が。よって生まれながらのハーフではないと思います。
マデリンは、「アインリクタン(自分の名前)、醜い子…」的なことを言っていました。ウォッチャーズの中でハーフは差別されるのでしょう。
ミナの生みの親(ウォッチャーズ)は「醜い子だから」という理由で、彼女を人間に育てさせようとしたのではないでしょうか?とすると本物のミナは幼い頃にすでに死んでいるのかもしれません。怖いですね。
ちなみに逆にルーシーの方がハーフでミナは人間の可能性もあります。ただその場合、なぜミナが穴で殺されなかったのか?変装癖はなんだったのか?なぜ事故で指を怪我しなかったのか?などの謎が残ります。
2人ともハーフの可能性もありますが、それだとルーシーが傷を残したままにするのかが謎です。ハーフなら治癒できるはずですから。
ただ、これらの可能性も否定できるものではなく、鑑賞者がそれぞれのパターンを考察できるように計算づくでつくられているようでもあります。
マデリンのその後
ラストでは、ミナの双子の姉・ルーシーが子供を連れてミナの自宅にやってきました。そして外から少女に変身したマデリンが見ているという意味深なもの。
マデリンがルーシーの子供に成り代わるその後も考えられますね。
マデリンは少女に変身していましたし、ルーシーの子供に成り代わることも可能でしょう。
ミナはマデリンに、あなたと同じような存在がいると語りました。
マデリンはその会話でミナもウォッチャーズの血を受け継いでいることに気づき、それならお前の家族に変身して生活してやるよ…というイメージ。バッドエンドですね。
キリストやその他の聖人もウォッチャーズ
教授の部屋で、ハーフは人間に変身する能力が高いという資料を見つけたミナ。そして聖人復活の場面が描かれたタペストリーを発見します。
これを深読みするとイエス・キリストなど聖人の復活劇は、実はウォッチャーズがその人物に成り代わっていたという意味になります。
タペストリーに描かれていたのは、ウォッチャーズのハーフが誰かが死んだ後にその人の姿で復活する光景。人間たちが聖人だ!と騒いで歴史上の人物になったという意味でしょう。
人間社会の奥深くまでウォッチャーズの混血・血統がひそんでいる示唆です。
ハーフと純粋種の対立
マデリン(アインリクタン)がなぜ鳥籠に仲間を招きいれなかったのか?
そもそも、なぜマデリンが他のウォッチャーズに協力しなかったのか?他のウォッチャーズを森から出さずに自分だけ逃げたのか?
それは彼女がハーフで、仲間から差別されていたからです。1人で森から出て人間に潜んで暮らしたい願望があったからでしょう。
物語を理解するにはハーフのマデリンと、純粋種の対立の構図をつかむ必要があります。
マデリンはミナたちを間近で観察し、自分だけが人間界へ行きたかったわけです。
彼女は仲間たちからは「醜い子」と呼ばれて差別されており、他のウォッチャーズのことや、種族全体が人間へ復讐することなどを考えていたわけではありません。
マデリンはミナに完全な敵対感情を持っているわけではなく、むしろ同じ孤独な者同士なのです。
映画『ザ・ウォッチャーズ』ネタバレ感想・評価
途中は中弛みもありましたが、二転三転するラストが楽しめました。
個人的には、序盤でミナが穴に入ったときにウォッチャーズに成り代わっている→ウォッチャーズだったのはマデリンでなくてミナ!というラストを予想していたのですが、表向きはマデリンがウォッチャーズだったオチでしたね。(最後はミナがハーフっぽい匂わせもありましたが)。
監視カメラにジョンが移りましたが、本物のジョンはオープニングで木から落ちて足を骨折していたので、偽物だとわかります。全体的にディティールもしっかりしていた印象です。
難点をいうと、ちょっと詰め込みすぎだったような気がします。ウォッチャーズがもともと妖精で、人間によって日中は地底から出られなくなり、森からも脱出不能→怪物になったというのはわかりやすいです。
ただ、マデリン(アインリクタン)のようなウォッチャーズと人間のハーフが、ウォッチャーズから差別されているというのまで考慮しないと終盤のマデリンの行動原理がよくわからなくなります。(ネットのレビューを読んでいると、ハーフ差別を考慮せずにマデリンの行動の意図がわからんみたいなものが結構ありました)。
もうちょいわかりやすい方が良かったかもしれません。
あとは、ガラスの鳥籠で監視されているシーンが、もうちょっと怖かったなら中弛みせずにすんだかもしれませんね。全体的にスリルがもうちょっと欲しかった気もします。
海外でも退屈だったと低評価の声が多いです。オチ以外の部分で鑑賞者をもっと引き込む必要があったかもしれません。
最後はミナの姉・ルーシーが登場して、いろんなパターンが予想できる余韻に富んだオチになりました。
M・ナイト・シャマランはもっとシンプルなオチが多いですが、娘のイシャナは結構複雑にしてくる印象。キラいじゃないです。イシャナ監督の次回作もぜひ劇場で見たいと思いました。
ここまで読んでいただきありがとうございます。映画『ザ・ウォッチャーズ』レビュー終わり!
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