考察2:ラストの本当の意味:梅の木
晴明は陰陽頭を梅の木で縛る。なぜ梅の木なのか?これは中盤で徽子が言っていた飛梅伝説(とびうめでんせつ)からきている。
飛梅伝説とは、福岡の太宰府に左遷された藤原道真を慕って家の梅の木が飛んできた逸話のこと。
藤原道真は太宰府へ発つ前に庭の梅の木に向かって「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花あるじなしとて春を忘るな」(拾遺和歌集)とよんだ。
意味は「梅の花よ。東風が吹いたら大宰府まで匂いを届けてくれ。主人がいなくなっても春を忘れないで」となる。
藤原道真と梅の木はそれぞれ、博雅と徽子にあたる。
つまり最後に晴明が梅の木を召喚したのは、徽子を利用して博雅への思いを踏みにじった罰という意味。
さらに、徽子が(帝の妃)になったとしても博雅を想い続けるという、和歌のような儚さを暗示する役割も持つ。
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