映画『ミラクルシティコザ』ネタバレ感想レビュー:ロックの街の過去と現在!評価

  • 2022年5月31日

映画『ミラクルシティコザ』を見てきました。ロックの街で1970年代と現在が交錯する桐谷健太主演のSFロックンロールコメディ。

CineMag
名作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の沖縄・コザ版とも呼べる作品です。

記事では、これから『ミラクルシティコザ』を劇場に観に行こうか迷っている人のためにネタバレなしの感想オススメポイント、すでに視聴した人のためにぶっちゃけ感想・個人的な評価を綴っています。

映画『ミラクルシティコザ』は楽しかった!?(投票どうぞ)

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映画『ミラクルシティコザ』キャスト・作品情報

公開・制作国・上映時間:2022/01/21・日本
監督平一紘
脚本:平一紘
プロデュース:神康幸
撮影:砂川達則
劇中歌:Chris
主題歌:ORANGE RANGE「エバーグリーン」
主演桐谷健太|ハル役(1970)
出演:⼩池美津弘|ハル役(現在)
出演:津波⻯⽃|翔太役
出演:津波信一|比嘉役
出演:アカバナー青年会|平良役
出演:神崎英敏|辺土名役
出演:山城智二|たつる役
出演:玉代㔟圭司|平良(過去)役
出演:渡久地雅斗|比嘉(過去)役
出演:山内和将|辺土名(過去)役
出演:ニッキー|ビリー役
出演:ベンビー|マサ役
出演:大城優紀|マーミー役
出演:南里美希|レイナ役
公式サイト

映画『ミラクルシティコザ』出演俳優・小池美津弘さんのインタービュー記事はこちら。

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映画『ミラクルシティ・コザ』出演俳優・小池美津弘

あらすじ(ネタバレなし)

50年前にロックの街として栄えたコザで名を馳せた元バンドマンたちが、今はただのジジイ。当時は良かったと振り返りながら街の再開発計画に反対しますが、影響力はまるでありません。

アル中老人になっていた伝説のバンド・インパクトのボーカリスト・ハルは、不動産屋を一蹴します。ハルの孫・翔太は一発逆転の夢を見ながら、毎日ダラダラと過ごしていましたが、祖父・ハルを思わぬ事故が襲い…。

映画『ミラクルシティコザ』感想(ネタバレなし)

CineMag
しょっぱなからうちなーぐち(方言)で、テンポの良いギャグの連続。沖縄色全開で、沖縄っぽい陽気なテンションを全身に浴びることができます。

1970年代にタイムスリップするストーリーですが、SFタイムトラベル色がそこまで強いわけではなく、全体的に笑って、泣けるバンド青春物語です(下ネタも多少あり笑)。

50年前のコザでジジイたちにどんな物語があったのか?

笑や感動だけでなく、米兵との関係など社会的な問題も取り扱っており、当時の雰囲気を体感できる側面もあります。

CineMag
過去と現在を交錯させながら、それぞれのストーリーが次第に明らかになっていき、大きな感動へと繋がっていきますよ。

(以下、感想に映画『ミラクルシティコザ』のネタバレが含まれているので注意してください。)

映画『ミラクルシティコザ』感想(ネタバレあり)

終盤で過去と現在のライブが交錯するシーンなど、祖父・ハルと孫・翔太が青春を共有し、さらに当時の人と現在の人間がお互いを尊重し合っているようでグッときました。

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世代を、さらには日本とアメリカの国境すら音楽で超えたような一体感がありますね。

過去の出来事が明らかになるタイムトラベルモノの醍醐味を、音楽で昇華したような印象です。

主演の桐谷健太さんは終始テンションの高い演技をしつつ、沖縄方言・イントネーションを取り入れて違和感のないのがさすがでした。1970年代で孫と本人の魂がコロコロ入れ替わり1人2役でしたが、全く違うキャラクターで演じ分けていたと思います。

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孫の翔太の魂が入った時はオドオドしてコミカルに。ハル本人の時は威圧感を増したカリスマボーカリストと、演技の切り替えが素晴らしかったです。

他のキャストでは現在のハル役の小池美津弘さんの見た目のインパクトや笑える動き、漂ってくる哀愁も良かったと思います。

その他には細かい点でいえば、コンディション・グリーン(沖縄の伝説的なバンド)をコンディション・レッドという名前に変更し、沖縄の人気パフォーマー・粒マスタード安次嶺さんが、ヒゲのかっちゃんならぬ、“たっちゃん”としてライブしているシーンは、ロック好きとしてはニヤリ。パフォーマーとしてちょいキャラがかぶっている点を踏まえた、巧みなキャスティングでした。

またライブシーンの撮影場所が紫の息子でミュージシャン(8-Ball)というバンドで活躍中のレイさんが経営する有名ライブハウス・7th heavenであったりと、沖縄のロック好きには馴染みの場所が多かったですね。

ほかには1970年代コザの闇深き部分をしっかり描いていたのもよかったです。大城優紀さん演じるヒロイン・マーミーが、ヤクザの売春婦だった設定がサラッと出てきたり、ドラマー・比嘉が妹を米兵に殺された過去があったりと、バック・トゥ・ザ・フューチャー的にいうとかなり“ヘヴィー”な問題を取り入れることで、物語に奥行きが増していました。

個人的に1番好きだったのは、コザ暴動の一連のシーン。マーミーがヤクザ親分・火元を撲殺してしまうのですが、周りにいる娼婦たちは微動だにしないのです。そして、暴動で火の海の中、どこかのおばあがカチャーシーを踊っています。ここだけシュール・前衛芸術っぽいテイストになっていて、ちょっと興奮しました。

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コザ暴動をバックにカチャーシーを踊るおばあのシーンをずっと観ていたかったですね。

沖縄と米軍基地の問題は、戦後から2022年現在まで続いている解決の難しい問題。沖縄ではアメリカの影響を受けて独自の文化が花ひらいた一方、多くの土地が米軍基地となり、地元民は立ち入ることができません。

戦後から1970年代当時を経て、沖縄・米国関係は現在どう変わったかなど、個人個人で考えるキッカケになる意味でも、本作には価値があるといえるでしょう。

(ただ、社会問題をしっかり扱っているのはよかったのですが、前半のコメディテイストから急にシリアスな方向に舵を切った印象はあります。)

イマイチだった点

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全体的には楽しめた映画『ミラクルシティコザ』ですが、個人的にちょっと微妙だった点もあります。

まず、登場キャラのアップショットが多用されていたこと。意図していたのかもしれませんが、キャラの顔のアップがかなり多いので俯瞰的なショットとのバランスが取れてない単調な印象でした。

また尺的にですが、翔太の魂が過去に行き、てんやわんやする時間を少し短くしたほうが良かった気がします(普通の映画の構成だと30〜40分ほどの展開に1時間使っていた印象です)。

ストーリーのシリアスパートのメインである過去のコザや米軍との関係をもっと深掘りしたほうが、ラストの感動がより大きかったのでは?と個人的には思いました。

あと本作は1970年代のロックが一つの大きなテーマなのですが、ロックの狂気的な部分が映像としてあまり伝わってきませんでした

1970年代当時のコザは、1晩で一斗缶に札束が詰まるほどの熱狂の街。沖縄から戦地ベトナムへ飛び立つ兵士たちが「最後の夜だ!」と、明日のことなど考えずに飲みまくります。

その夜を盛り上げるのがロックバンドです。張り詰めるようなスリリングなステージが毎夜繰り広げられたと聞いています。客の米軍とロックバンドの、ある意味バトルみたいな異常な雰囲気だったそうです。

コメディなので仕方ない面もありますが、当時のライブハウスの狂気に満ちた雰囲気・ロックの破壊的なグルーヴは、映画では影を潜めた印象です。

ビール瓶をを投げつけられたり、頭を殴られたりと暴力的なシーンもあったのですが、コメディの範囲内でしたね。

当時を知らない世代でなおかつロックが好きの僕からすると、予想を超えるコザを体験したいという想いがありましたが、映画自体がそういうコンセプトではなかったのでしょう。

また、ラストでは50年前に作った曲を現代のジジイバンドが演奏するシーンがあります。しかしその楽曲ORANGE RANGE「エバーグリーン」はロックっぽさはなく、これではロック・イズ・デッド…見ていて少し疑問が湧きました。

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50年経てロックがこう変わった、主人公・翔太と50年前のメンバーの感性が融合したというのはわかりますが、歌詞の内容や曲調などにロック要素がほぼないんですよね。

とはいっても、最後には主人公のハルとマーミーが紫のライブに吸い込まれていったので、現在もロックは生き続けているメッセージがあるのでしょう。

タイムスリップ考察:ハルは全てを知っていた?

現代で死んだ老人・ハルの魂は孫の翔太に入ります。翔太の魂は70年代のコザへ。では、70年代のハルの魂はどこへいったのでしょうか?

気絶すると元のハルの性格に戻る設定だったので、近くで浮遊していたのかもしれません。

劇中だと翔太が魂の状態になると黒い部屋にいて、テレビで現在の状況を知ることができました。

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もしかすると、70年代のハルも翔太に体を乗っ取られている間は黒い部屋にいたのかもしれません。

とすると現代のハルも、未来からきた孫の魂が自分の体を乗っ取ったことを知っているわけです。

彼は70年代から現在まで、自分が交通事故に会うことや孫・翔太など家族のことだけでなくさびれていくコザの未来を知りながら生きてきたのかもしれませんね。

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そう考えると哀愁が湧いてきます。

最近のマーベル作品などでよくある「過去を変えると世界が分岐してパラレルワールドができる」設定でなければ、ハルは若い頃から自分の未来を知っていた可能性があるでしょう。

最後のまとめ

映画『ミラクルシティコザ』は、現在の沖縄市がロックに熱狂した時代を鮮明に切り取った意欲作でした。現在と過去のコントラストから浮かび上がるものは何なのか?視聴者1人1人に訴えかけるものが確かにあったと思います。

個人的には前半を圧縮して過去の悲劇や社会問題パートをもう少し掘り下げたほうが良かったと感じましたが、平一紘監督の次回作にも期待しましょう。

CineMag
ここまで読んでいただきありがとうございます。映画『ミラクルシティコザ』レビュー終わり!

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