影山と母・節子は共謀していたか?
「マッチングアプリのプログラマー・影山剛は母・節子が共謀して芳樹と輪花に復讐しようとしていたのか?」
ここも疑問に思った人が多いことでしょう。
芳樹と輪花が住んでいるのは25年前と同じ家です。節子はその家に来たことがあります。
影山剛が節子と復讐を共謀しているのであれば、節子から輪花たちの情報をいつでも聞けたはずです。自分が37歳になるまで復讐を待つ必要はありません。
影山は母・節子から輪花の情報を聞いたのではなく、アプリで輪花のプロフィール写真を見て背後にあるクローバーの絵(輪花が幼い頃に節子と出会ったときの絵を描いたもの)に気づき、彼女の存在を認知したようでした。
以上から共謀の可能性は低いと思います。
復讐、四つ葉のクローバーとクラゲ
映画全体としては、節子は復讐を完璧に成し遂げたと見ることも可能です。
節子は生まれたばかりの吐夢をコインロッカーに捨てます。その際に、ペンダントの中に四つ葉のクローバーを入れていました。
四つ葉のクローバーには「私のものになって」や「復讐」という花言葉があります。
つまり吐夢の存在意義それ自体が復讐なのです。(吐夢がアプリ婚夫婦を殺害していった理由の根幹もここにあります。)
節子が自分を捨てた芳樹とその家族への復讐を望んでいたとすれば、その情念は四つ葉のクローバーに乗せられて吐夢に伝わり、吐夢は輪花を手中におさめたことで復讐は完全なものとなりました。
節子は25年前に幼稚園生の輪花に四つ葉のクローバーを渡していましたがそれも復讐のメッセージであり、25年後に達成されてしまったわけです。
映画『マッチング』は、とことんバッドエンドですね。
手紙を見た輪花の母・美知子が笑った理由
序盤で車椅子の女性が節子から手紙を渡されます(実際は影山剛が節子に送った手紙)。
手紙に「やっとこの女を見つけた。復讐する」的な内容が書かれており、輪花の写真が添えられていました。
それを見た車椅子の女性は笑います。しかし終盤にこの女性が輪花の母・美知子であるとわかると、なぜ手紙を見て笑ったのか疑問に感じる人も多かったのでは?
理由はシンプルです。
美知子が娘・輪花の写真を見て、なんとなく微笑んだだけ。
25年間も拉致監禁されて正気を失っていた美知子は手紙の文字など読んでいない。と考えられるでしょう。
美知子は成長した輪花の姿を見て、なんとなく娘だと気づき笑顔になった。しかしすでに理性は働いていないので、娘が復讐される内容は頭に入っていないのです。
影山は吐夢の正体に気づいていた?
結論からいうと、影山剛は吐夢がアプリ婚夫婦殺害の犯人だと確信してはいなかったと思います。
ただ、異父兄弟なのでなんとなく勘づいていた線は否定できません。
影山剛は芳樹に捨てられた母・節子のために輪花に復讐を誓い、輪花の大事な人(片岡と尚美)を次々に殺害しました。
片岡の夫婦の殺害に関しては、アプリ婚殺人事件を模倣(もほう)。
自分が疑われないように連続殺人犯の犯行に見せかけたのです。吐夢と共謀していたわけではありません。
ちなみに、吐夢は影山剛が義理の兄だと気づいています。
吐夢は母・節子に捨てられた。影山は愛された。
吐夢は影山の計画を邪魔したのは輪花を想っていたこともありますが、兄弟ながら自分よりは恵まれた境遇の影山を恨んでいたのかもしれません。
マッチングアプリの意味
映画『マッチング』には、マッチングアプリの危険性が表層的なテーマとしてあります。
深読みすると、
- 本来で出会うはずがなかった不運を引き寄せる
- 繋がりたくない人と繋がってしまう
- 知りたくなかった過去が掘り起こされる!
など、より具体的なデメリットが悲劇として描かれていました。
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