映画『ラーゲリより愛を込めて』。二宮和也、松坂桃李、中島健人、桐谷健太らがソ連・シベリアの強制収容所での苦闘と希望をつなぐ感動の戦争ドラマ!
作品情報・キャスト・あらすじ、ぶっちゃけ感想・評価、ストーリーネタバレ・ラスト結末解説、を知りたい人向けに徹底レビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
作品についての視聴者・口コミアンケートも投票お願いします↓
映画『ラーゲリより愛を込めて』作品情報・キャストと演技の印象
英題:『From Siberia with Love』
ジャンル:戦争・ヒューマンドラマ
年齢制限:G(年齢制限なし)
監督:瀬々敬久(『糸』『護られなかった者たちへ』)
脚本:林民夫
原作:辺見じゅん 『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』
主題歌:Mrs. GREEN APPLE「Soranji」
登場人物・キャスト
山本幡男|二宮和也
山本モジミ|北川景子
松田研三|松坂桃李
相沢光男|桐谷健太
原幸彦|安田顕
新谷健雄|中島健人
山本顕一|寺尾聰
あらすじ
沖縄は陥落し、広島には原爆が落とされ、第二次世界大戦は終戦間近。
中国の満州にいた日本軍の山本幡男(二宮和也)と妻・モジミ(北川景子)は幼い4人の子供たちを連れてソ連の襲撃の中、逃げようとしていた。
山本は爆風で飛ばされた息子・顕一(けんいち)を助けるが、瓦礫(がれき)が落ちてきて背中を痛め、動けなくなる。
山本は妻に「先に行け、日本で落ち合おう。必ず帰る」と言う。
モジミは涙を流しながら子供たちを連れてその場を逃れた。
山本はソ連軍に捕まり、シベリアのラーゲリ(強制収容所)に連行される。極寒の環境できびしい労働が待っていた。
上官の相沢(桐谷健太)、松田(松坂桃李)など他の人間は生きる目的を失いつつあるなか、山本だけが希望を捨てていなかった…。
ネタバレなし感想・海外評価
ロシアがウクライナ侵攻している2022年の世界情勢もあり、人の尊厳、人生、家族を奪う戦争を許してはいけないという気持ちになりました。
俳優陣の演技も素晴らしく、二宮和也さんは丸メガネをかけて文学が好きで妻思いの一途(いちず)な男性を熱演。
とことんクールな桐谷健太さんや、卑怯者のレッテルを自らにはって苦しむ松坂桃李さんとの登場人物同士の対比がすばらしかったです。
顔に生気がなかった安田顕さんが徐々に希望を取り戻していくシーンもすごく感動しました。
個人的にはちょっと説明しすぎなシーンが多いと感じましたが、人によっては気にならないでしょう。
映画館で見て損はない作品だと思います。
おすすめ度 | 70% |
世界観 | 90% |
ストーリー | 68% |
IMDb(海外レビューサイト) | 7.8(10点中) |
※以下、映画『ラーゲリより愛を込めて』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『ラーゲリより愛を込めて』ネタバレ感想・評価
戦争の悲惨さを正面から描く
終戦後に11年もラーゲリ(収容所)にいた男たちが、過酷な状況でも希望を捨てずに生きることができると教えてくれるすばらしい作品でした。
二宮和也さん演じる山本という希望を捨てない男性。
彼のもつ希望が仲間たちに波及し、みんなの生き方が変化していく過程は非常に意義深かったです。
戦争の悲惨さだけでなく、人が生きることについての普遍的なメッセージを映像で提示してくれた作品だといえるでしょう。
相沢(桐谷健太)が末期がんの山本に「それでも生きろ!」というシーン。すごい感動的でした。
人間にとって「生きる」は理屈じゃないんですね。
相沢も妻が死んでいるとわかってても希望を持てましたし、山本も希望を胸に抱きながら散っていきました。
捕虜として身体的な自由は奪えても、希望は奪えません。
山本が言ったように、頭のなかの想いや考えについても同じです。
新谷(中島健人)が山本から読み書きを教わって彼の遺書を暗記し、家族に暗記していた遺書を書き起こしたものを渡して「僕の手紙が読めますか?」と聞く流れも感動でした。
山本の想いは新谷のなかでたしかに生きており、一緒に日本に帰ってきたのだと伝わってきました。
ストーリーから人の想いは死なないという強い想いが感じられます。
また、ソ連のラーゲリのシーンのリアリティもものすごかったですね。
新潟県湯沢町 苗場スキー場で撮影されたそうです。
キャストは雪焼け(雪が太陽光を反射することによる日焼け)までしっかり再現されており、「なぜかみんな顔や体はきれい」という邦画にありがちな失敗もありません。
ソ連兵に反抗したら狭い場所に入れられて南京虫(トコジラミ)にかまれまくる刑罰も悲惨すぎました。
演出について
本作で個人的に少し残念だと思ったのが演出のくどさです。
けっこう口で説明しちゃうところが多く、視聴者が映像から読み解く余白が少ないため、没入感がそがれてしまったと感じました。
わかりやすさを優先したのかもしれません。
あとは演技自体はみなさん素晴らしかったのですが、ケレン味というか、ちょっとオーバーリアクションすぎるシーンも多かったです。
戦後の日本ってそんなに強い感情表現しなさそうという印象もあります。
二宮和也さんや松坂桃李さんは抑え目の演技なのに対して、北川景子さんの強い感情吐露のシーンが多かったのが若干気になりました。
シベリアの悲惨さと日本で待つ家族の対比を描きたかったのでしょうけど、もう少しおごそかな演出で良かったと思います。
また、本作は実話をもとにしたストーリーであり、伝えているのは感動だけではありません。
山本さんのいう希望はありますが、現実としては山本さんはシベリアで病死してしまいます。
松田も相沢も戦争で連絡がつかないうちに家族を失っていたという絶望があります。
感動を込めるのはもちろん良いのですが絶望やシリアスさにもう少し重点を置いたほうが、感動も戦争反対の意義も深まったのでは。
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