映画『きみの色』。山田尚子監督の最新アニメ映画!
物語ネタバレあらすじ・ラスト結末解説
ストーリー考察:トツ子の色は補色?
視聴してのぶっちゃけ感想・評価(ネタバレあり)
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
これから視聴する方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
※以下、『きみの色』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『きみの色』ネタバレあらすじ・ラスト解説
バンドを組む3人
ミッションスクールに通う日暮トツ子(声-鈴川紗由)は教会でニーバーの祈りを唱える「神よ、変えることのできないものを静穏に受け入れる力を与えてください」。
シスター日吉子(声 – 新垣結衣)が「ニーバーの祈りには、“変えるべきものを変える勇気を そして変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えてください”」という言葉が続くとトツ子をさとす。
トツ子は毎日寝る前に寮のベッドに掘られたGod Almighty(ゴッド・オールマイティ/全能の神)の文字に十字を切って祈っていた。
トツ子には作永きみ(声-髙石あかり)が美しい青色に見えた。しかしクラスも違うし、話したこともない。体育の授業できみにボールを顔面に当てられても、エヘヘへと笑って気絶するトツ子。
しかしある日、きみの姿が見えなくなる。きみの友達に聞くと自主退学したらしい。
トツ子は、「きみが本屋で店員をやっているらしい」という話を聞いて街の本屋をひたすらめぐるが見つからない。トツ子は可愛らしい白猫を見つけてついていくと、しろねこ堂という本屋を発見。そこで店番をしているきみを見つけた。
きみはギターを弾いていた。トツ子はピアノの本を買いに来たと嘘をつく。本屋にきた影平ルイも「いつも店でギター弾いてるよね?」と、きみたちに話しかけてきた。
トツ子はその場の思いつきで「3人でバンドを組もう!」と提案。きみもルイもやってみたいと言う。
ルイは離島に住んでおり、そこにトツ子たちを呼ぶ。フェリーで酔いながら離島へ行くトツ子ときみ。
ルイは使われていない教会に2人を案内した。ルイは自分で音楽制作などをしており、キーボードやテルミン、DTM用のノートPCなどがそろっていた。3人はオリジナルを作ることにする。
トツ子はもともとピアノはほとんど弾けないがルイから小さなキーボードを借りて練習する。バンド名は「しろねこ堂」に決まった。
トツ子は「水金地火木土天アーメン」と言う曲を思いつき、録音して2人に聞かせた。きみが作った曲も含め、だんだんと形になっていく。
ラスト結末
ある日トツ子は、きみから「おばあちゃんと二人暮らしだけど高校辞めたこと言ってない」と悩みを打ち明けられる。
ルイも、離島で代々医者をやっている家系だから、あとを継がなければならないと悩んでいた。
修学旅行の日、きみは高校辞めたことが祖母にバレないように外泊しなければならなくなる。生徒たちが旅立ったあと、トツ子は寮の自分の部屋にきみを泊めることにした。2人は女子らしくはしゃぐが、トイレに行こうとして見つかり、後日校長に怒られる。1カ月奉仕活動をしなければならなくなり、ルイと練習できなくなった。
シスター日吉子はトツ子からバンドをしていると聞かされ、「今度の学園祭で演奏してみて」と言う。
ある日、雪が降り、トツ子ときみはフェリーで帰れなくなる。ルイも一緒に教会に泊まった。事情を知ったシスター日吉子は合宿ということにしますと言ってくれた。トツ子は2人の演奏にあわせて小さい頃に習っていたバレエを披露する。
学園祭当日、シスター日吉子は自分も学生のときにGod Almightyというバンドを組んでいたと話す。トツ子のベッドにの文字はシスター日吉子が彫ったものだったのだ。
トツ子、きみ、ルイのしろねこ堂はステージで素晴らしいパフォーマンスを繰り広げた。きみの祖母と校長が踊っている。ルイの母も楽しそうだ。シスター日吉子は外の廊下でこらえきれず踊る。
ある日、トツ子が外で踊っていると、腕に自分の色が見えてきた。橙色のような朱色のような色だ。
その後、ルイは大学に進学するためにフェリーで旅立つ。トツ子とルイは走って見送る。ルイは涙を流した。
エンドロール後、トツ子はルイを抱き寄せた。
映画『きみの色』考察
トツ子の色はきみとルイの補色
トツ子は最後、自分の腕に橙色のような朱色のような赤っぽい色が宿るのを見た。自分の色が見えたのは初めてだ。
トツ子の色は、きみの色と、ルイの色の補色になっている。
きみが青色、ルイが緑色と表現されていた。青色の補色は橙色。緑色の補色は赤色だ。
(※補色は 色相環の反対側に位置する2色のことで、色みの差が最も大きいためお互いの色を目立たせる効果がある。)
©︎wiki
つまり、トツ子はきみやルイの個性を最大限生かせる色になったわけだ。
3人はお互いにつぶし合う色ではなく、お互いを引き立て合う存在なのだ。
Web漫画版ではルイ=空の青、ルイ=木漏れ日の緑だったので、トツ子は太陽の色なのかも。
もともとその色だったのかもしれないし、きみやルイと関係を深めることで自分の色ができたのかもしれない。
個人的には、きみとルイの葛藤や悩みの色を受けて、トツ子は相手のために自分の色を作り上げたように感じた。
自分本来の性質は変わらないかもしれないが、自分が受ける光の反射をどう見るか?その見方は変えられるものなのかもしれない。トツ子は2人のために赤色の自分を発見したのだと感じた。
映画『きみの色』ネタバレ感想・評価
映像やメッセージ性は本当に素晴らしい。ラストも感動的だったが、登場人物の背景がほとんど描かれていないので感情移入がむつかしく、正直 乗れない部分もあった。
誰でも経験しうる思春期の家族との不和を、青春のレンズを通して切り取った作品。映画としては、きみはなぜ祖母と住んでいるのか?ルイの写真に3人写ってたから、兄が故人なのかな?ルイの父は?など疑問が多すぎたので、もう少し背景を説明したほうが良かったような気もするが、それはやりたくなかったのだろう。
映画『きみの色』作品情報
上映時間:1時間40分
ジャンル:青春ヒューマンドラマ
年齢制限:G 制限なし
監督:山田尚子
脚本:吉田玲子
制作:STORY inc. |サイエンスSARU
音楽:牛尾憲輔
ここまで読んでいただきありがとうございます。『きみの色』レビュー終わり!
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