Netflixオリジナルドラマ『オハイオの悪魔』 (Devil in Ohio)。トウモロコシ畑の前で発見された10代の少女。背中には五芒星の形にナイフで傷が掘られていた…。カルト宗教や親の虐待問題を描いたドロドロサスペンスです!
アメリカでの実話がもとになったリミテッドシリーズで全8話。
キャスト・作品情報・見どころ、ぶっちゃけ感想・評価、考察、ネタバレあらすじ解説を知りたい人向けに内容をわかりやすくまとめました。
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。好きな項目から読んでください。)
作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
Netflix『オハイオの悪魔』作品情報・キャストと演技の印象
原題:『Devil in Ohio』
ジャンル:サスペンス・宗教・社会問題
制作:ダリア・ポラティン
原作:ダリア・ポラティン小説「Broken Fall」
配給:Netflix
登場キャラ・キャスト
登場キャラ | キャスト・出演作 |
スザンヌ・マティス(精神科医) | エミリー・デシャネル (ドラマ『BONES』) |
メイ・ドッド(発見された謎の少女) | マデリン・アーサー (映画『カラー・アウト・オブ・スペース -遭遇-』) |
ピーター(スザンヌの夫) | サム・ジェーガー (『タミー・フェイの瞳』) |
ジュールス(スザンヌの次女) | ザリア・ドットソン (『The Birch』) |
ダニ(スザンヌの三女/養子) | ナオミ・タン |
ヘレン(スザンヌの長女) | アリーシャ・ニュートン (『レッド・ハンター』) |
アレックス・ロペス(刑事) | ジェラルド・セラスコ (『NEXT -脅威のAI-』) |
ネタバレなし感想・あらすじ・海外評価
©︎Netflix
あらすじ:病院在中の精神科医・スザンヌは、過去に継父からの虐待経験のトラウマを抱えていた。ある日、隣のエーモン郡のトウモロコシ畑で夜中に倒れていたメイ・ドッドという少女が運び込まれる。彼女の背中は刃物で逆五芒星の形に傷つけられている。手首には拘束の跡があり、どこかから逃げてきたようだ。メイの両親はなぜか引き取りに来ない。両親による虐待だと確信したスザンヌは、自分の家にしばらくメイを置くことにする。そこに忍び寄るのは悪魔ルシファーを崇拝するカルト宗教の影だった。
カルト宗教2世の問題や、虐待の問題を扱った社会派の側面が強いドラマです。
丁寧な作りでカルトや虐待について内側から問題提起しているので、興味がある人にはうってつけ!
ただ、エンタメ性が高いドラマが好きな人にとってはやや退屈かもしれません(海外評価も普通くらいですね。)。
おすすめ度 | 65% |
宗教や虐待などの社会問題 | 90% |
ストーリー | 58% |
IMDb(海外レビューサイト) | 6.0(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 60% 一般の視聴者 50% |
メタスコア(Metacritic) | 56(100点中) |
※以下、Netflix『オハイオの悪魔』のストーリーネタバレありなので注意してください!
『オハイオの悪魔』ネタバレ感想・評価
©︎Netflix
日本でも旧統一教会問題が連日お茶の間を賑わせており二世問題が議論されています。
カルトが問題なのは日本だけではなく、アメリカも同じなのです。
(米国ではチャールズ・マンソン・ファミリーによる女優シャロン・テートら殺害事件など、カルトと数多くの悲惨な事件がありましたし、本作も実話が基になっているようです)
本作ではカルトの何が問題なのかを映像で丁寧に表現しており、信者の内面描写・行動原理などが非常に勉強になりました。
エリザベス・オルセンが洗脳された女性を演じた映画『マーサ、あるいはマーシー・メイ』(2011)に近いコンセプトですね。
雰囲気的には『エスター』のカルト版ともいえます。
一方でエンタメ性はそこまで高くなく、物語は不気味な雰囲気をまといつつも、わりと淡々と進んでいきます。
背中に五芒星の傷をつけられた少女がトウモロコシ畑を走る冒頭のインパクト抜群の場面は良かったですが、それ以外は人間関係を丁寧に描いていた印象。
映像やアートワークは美しかったです。カラスの羽を用いたカルト宗教の服装・祭壇、オープニングで曲が転調する瞬間に映像がモノクロになり、それがストーリーに抽象的な意味を持たせるなどなど。
美しいシーンがたくさんありました。
まとめるとエンタメドラマというより、カルト宗教の内部と外部のリアルな攻防を描いた意義深い作品でしたね。
本作はリミテッドシリーズなのでシーズン2はないですが、同じ制作陣でまたカルト宗教関連のドラマを作って欲しいと思いました。
ラストの怖い意味/考察(ネタバレ)
全てを仕組んだのは…
©︎Netflix
最終回では、スザンヌがカルト集団のアジトで火あぶりにされそうなメイを救います。代わりにメイの母親が自ら火あぶりの犠牲になり、カルト集団は再び団結を取り戻して警察のアレックスの追跡を逃れ、他の土地へ逃亡。
メイはスザンヌと暮らすことに。しかし父・ピーターはジュールスやヘレン、ダニを連れて別居していました。
ピーターはメイを信用できなかったのです。それだけでなく、スザンヌに「メイでなく君の問題だ」とも言います。
感謝祭の夜にアレックス警部補から電話があり、「監視カメラの映像で、メイはダンスパーティーで自分で白いバラを用意し、自分でカルト集団へ帰った」という驚愕の事実が発覚。
ラストでメイが庭に作った祭壇に自分とスザンヌの写真を飾っていたことから、彼女の願いはピーターたちを追い出してスザンヌと一緒に生活することだったのでしょう。
メイの自作自演と、願いの中身がわかったことで、ピーターがリフォームした家の火事もメイの仕業だと推測できます。
大きな流れを仕組んでいたのはメイだったんですね。
スザンヌとメイのその後が怖い
スザンヌは虐待されていた自身の少女時代とメイの姿を重ねているので、メイの不信な行動も擁護してしまいます。
セラピーでは過去のトラウマを克服し、メイと自分を区別できるようになった的なことを言ってましたが、深層心理ではまったく解決していないようです。
スザンヌからすれば、メイを救ったことで母親に助けてもらえなかった過去の自分自身の記憶も救えたので、離れられない存在になったのでしょう。
メイはドラマ中盤で、同年代のジュールスと依存し合う関係になると言っていましたが、最後はスザンヌと依存し合う関係になったのです。
ラストシーンではスザンヌのカラー写真とメイの白黒写真がコラージュされていました。まるで過去の自分と現在の自分を表現しているかのようですね。
同一性が強くなりすぎてしまいました。
メイのように子供の頃からカルト教育されてしまうと、完全に取り除くのはむつかしく、受け入れた人など周囲にも影響を与えてしまうというリアルな問題提起だと思いました。
また、たとえカルト宗教を抜けられたとしても、社会に溶け込むのは難しい、行き場はないという点でも現実的です。
カルトを抜けただけでは問題は解決しないというメッセージでしょう。
「伝統を拒絶してはならぬ」というカルト宗教のフレーズが余韻になります。
最後のまとめ
Netflix『オハイオの悪魔』は身元不明の不思議な少女と暮らす一家が異変に気づき、カルト宗教団体と対決するという社会派サスペンスでした。
個人的にはもう少し劇的な展開があればベターだと思いましたが、洗脳された側と巻き込まれる側のリアルな葛藤・苦悩が垣間見えた興味深い作品でした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。『オハイオの悪魔』レビュー終わり!
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