映画『グリーン・デスティニー』ネタバレ感想・ラストシーン考察,伝説剣の意味を解説,評価レビュー

  • 2023年3月3日

映画『グリーン・デスティニー』むかしむかしの中国で剣士と美しい女性が運命にほんろうされる!ワイヤーアクションの金字塔です。

シネマグ
チャン・ツィイーやミシェル・ヨーが美しい中国の街をバックに華麗なカンフーと人間ドラマを繰り広げます

作品情報・キャスト

あらすじ・ネタバレなしの感想

視聴した感想・評価(ネタバレあり)

ストーリーやラストの意味を考察

これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!

(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)

映画『グリーン・デスティニー』予告・キャスト

伝説の剣士・ムーバイ役は『男たちの挽歌』などで有名なチョウ・ユンファ

ムーバイのパートナー・シューリン役には『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が超話題になっているマレーシア出身の女優ミシェル・ヨー。今作ではまだ若いですね。

名家の娘イェン役にチャン・ツィイー。ミステリアスな役が似合いすぎます。

ロー役のチャン・チェンは『レッドクリフ』シリーズや、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『DUNE 砂の惑星』(2020)のドクター・ユエ役などで有名。

大スターがそろって中国史上にのこる大作が完成しました。

映画『グリーン・デスティニー』あらすじ

映画『グリーン・デスティニー』登場人物

剣士・ムーバイは修行中の瞑想でひどい悲しみに襲われ、剣士からの引退を考える。

ムーバイは、妹弟子であり相思相愛の関係でもある戦士・シューリンに、自分が使ってきた碧名剣(グリーン・デスティニー)を北京に住む恩人のティエに献上してほしいと頼んだ。

シューリンは北京でティエに剣を渡した。そこでイェンという名家の少女と仲良くなる。

イェンは「望まない結婚が決まっているが、本当は剣士になりたい」と言った。

その夜、碧名剣は謎の女戦士によって盗まれた。

シューリンは、ムーバイの師匠を殺した碧眼狐(ジェイド・フォックス)の仕業だと考えるが…。

ネタバレなし感想・海外評価

ワイヤーアクションを本格的に取り入れた先駆けの作品ということもあって、世界的な評価は非常に高いです。

ロッテントマトズの批評家支持率はなんと98%!もはや名作という位置付けですね。

ただ2023年現在見返すと、ワイヤーアクションはちょっと古っぽく見えてしまいます。

カンフーの動きは美しいですが、闘いというよりは舞いに近いです。

感想を語る犬
個人的には登場人物が織りなす悲しい人間ドラマこそが大きな魅力の作品だと思いました。
おすすめ度 80%
世界観 90%
ストーリー 86%
IMDb(海外レビューサイト) 7.9(10点中)
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) 批評家 98%
一般の視聴者 86%
メタスコア(Metacritic) 94(100点中)

※以下、『グリーン・デスティニー』のストーリーネタバレありなので注意してください!

映画『グリーン・デスティニー』ネタバレ感想・評価

『グリーン・デスティニー』の評価は85点。

カンフーと剣技の華麗なアクションもすごいですが、人間ドラマとして非常に優れていたと思いました。

中国の当時の街並み、趣のある建物、美しい自然も存分に味わえるのも魅力。

主人公は完全にチャン・ツィイーですね。

彼女が奏でる深い悲哀の物語があり、それを軸にカンフー剣技アクションで彩られた作品といったほうが近いと思います。

とにかくチャン・ツィイー演じる名家の娘・イェンが、抑圧されて儚く散ってしまうラストまでが非常にうまく描かれています。

アン・リー監督は『ブローク・バックマウンテン』もそうですが、人の心が運命によって引き裂かれていく過程を表現するのがすごく上手いですね。

自分の死以外は何も選ぶことのできない儚さ、師匠と弟子の命より重い絆、女を選ぶか剣士として生き続けるかなどなど、濃厚なテーマがバランスよく絡みあっていました。

映画『グリーン・デスティニー』は革命的なアクション+普遍的な人間ドラマとまとめられるでしょう。

ただ、今見返すとワイヤーアクションはこってこてな気もします(技術的な革命作品に失礼ですね。すいません)。

映画『グリーン・デスティニー』考察(ネタバレ)

ラスト解説・引き裂かれたイェン

終盤では剣士・ムーバイがジェイド・フォックスを倒すものの、毒針をくらってしまいます。

イェンは解毒剤を作って持ってくるものの、ムーバイは結婚の約束をしたシューリンの腕の中で死亡

イェンは恋人のローのところへ行き、彼に抱かた翌日に山の崖から飛び降りるというラストです。

なんとなく見てしまうと何で飛び降りるのか意味不明…となりかねませんが、個人的には最高のラストだと感じました。

シネマグ
運命に引き裂かれた女性・イェンを完璧に表現できていたからです。

まず、イェンが何故ムーバイやシューリンの歩みよりにもかかわらず、彼らと戦い突き放すような態度を取ったのか考えなければなりません。

大きな理由は、イェンの師匠ジェイド・フォックスと、ムーバイが敵対関係にあるからです。

イェンは師匠ジェイド・フォックスを見限った発言をしていましたが、心の奥底では師匠を捨てることができなかったのでしょう。

本心ではローと結婚して、ムーバイの弟子になり剣術を極めたいと思っていたはずです。

しかし師匠への思いからそれができず、抑圧された感情が敵対心としてムーバイとシューリンへ向かうことになりました。

さらにイェンには裕福な家柄と立場のある両親という足枷もあります。

イェンは、ローを選ぶことも、師匠を選ぶことも、ムーバイを選ぶことも、両親を選ぶことも、どれもできませんでした

その葛藤に引き裂かれての飛び降りラスト。この結末は必然だったように思えました。

碧名剣の意味

碧名剣(グリーン・デスティニー)は何を表していたのか?

私は、剣は孤独のメタファーだと感じました。

剣の形をした、孤独の意味を持つ記号です。

孤独な剣士ムーバイは碧名剣を捨て、シューリンと一緒になろうとします。

そして碧名剣に次に触れたのはイェンでした。

イェンはそれぞれへの忠義から孤独を選択し、死んでいきます。

碧名剣(グリーン・デスティニー)を手にした者はみんな孤独に死んでいくという解釈もできると思いました。

映画『グリーン・デスティニー』作品情報

公開:2000年7月
制作国:中国・台湾・香港・アメリカ
上映時間:2時間00分
原題:『臥虎蔵龍』英題『Crouching Tiger, Hidden Dragon』
ジャンル:カンフーアクション、歴史、ヒューマンドラマ
監督アン・リー
脚本: ジェームズ・シェイマス/ツァイ・クォジュン/ワン・ホエリン
原作:王度廬「臥虎蔵龍」(1942)
撮影:ピーター・パウ
音楽:ヨーヨー・マ/タン・ドゥン
全世界興行収入:約292億円

世界でワイヤーアクションが使われることになった画期的な作品です。アクションだけでなく人間ドラマも素晴らしく、アカデミー賞外国語映画賞を獲得しました。

監督のアン・リーは『ブロークバック・マウンテン』『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』などで世界的に評価されるアジアの巨匠。

武術監督のユエン・ウーピンは、ジャッキー・チェンの『酔拳』の監督や、『マトリックス』のアクション監督で有名な人物。

2016年にNetflixで続編『Crouching Tiger Hidden Dragon: ソード・オブ・デスティニー』が配信されました。