考察3：佐野は完全悪なのか？
吉井を攻撃してくる悪意＝滝本や村岡に対して、佐野はさらにそれを上回る完全悪や純粋悪という解釈もできる。
ただ、悪だとしても佐野自身に悪意はなく吉井の命を救ってくれてもいるため、悪という概念の範疇におさまるかは微妙なところだろう。
先程の、佐野＝理由のない成功の恐怖という解釈と、佐野「世界を破滅させるものも手に入る」とのセリフを合わせると、ネット（クラウド）上の成功には理由ない、そのために破滅する危険がある…という示唆にも見える。
クラウド上の仕事には有機的な実体がない。人類はそんな未知数であるクラウドの中に突っ込んでいる。それを表現したのがラストシーンではないか。
しかし、いろいろ考察したところで所詮言語化できない雲のような作品…それこそが黒沢清節な気もする。この映画も雲のように実体を捉えられないものとするのが正しいのかもしれない。
ここまで読んでいただきありがとうございます。『Cloud クラウド』レビュー終わり！
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