Netflixホラー映画『ブラックサン』(Sister Death)。1940年代の修道院で起こった惨劇を描くスパニッシュホラー!
作品情報・キャスト
ネタバレなしの感想
物語ネタバレあらすじ・ラスト結末解説
視聴してのぶっちゃけ感想・評価(ネタバレあり)
ストーリーの意味を深掘り考察
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
これから視聴する方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
Netflixホラー映画『ブラックサン』作品情報・予告
制作国:スペイン
上映時間:1時間30分
スペイン語タイトル:『Hermana muerte』、英題『Sister Death』
ジャンル:ホラー、グロテスク
年齢制限:16歳以上推奨
監督:パコ・プラサ
脚本:パコ・プラサ、ホルヘ・ゲリカエチェバリア
キャスト:アリア・ベドマル、アルムデナ・アモル、マル・バルディビエルソ、コンスエロ・トゥルヒーヨ
2017年の『エクリプス』の前日譚となるシリーズ第2弾で、盲目のシスター・デスの誕生秘話が描かれます。話の関連性はそこまでないので、『エクリプス』を見ていなくても楽しめます。
パコ・プラサ監督は『REC/レック』シリーズで有名な人物。
ホラー映画『ブラックサン』あらすじ,Netflix
1949年スペイン。10年前に奇跡の聖少女として注目を浴びたナルシサは、ある修道院に教師として赴任してくる。
もはやナルシサには聖母マリアの声や導きは感じられなかったが、世間の目を避けるために修道女としての道を選んだのだった。
ナルシサの部屋の棚の上には箱があり、戦時中に若くして死亡したシスター・ソコロの写真があった。
修道院で暮らす孤児の少女・ロサはナルシサに、「あの子がこっちにくる。女の子の霊がいる」と話した。
子供たちは夜にいつも怯えていた。
部屋の椅子が一人でに倒れる。やがてナルシサも悪夢のような幻覚に悩まされるようになる。
ナルシサは原因を探るため、シスター・ソコロの秘密を調べはじめるが…。修道院を最悪の惨劇が襲うことになった。
ネタバレなし感想・海外評価
スペインのホラー映画だけあって雰囲気は抜群です。修道院の映像もめちゃくちゃキレイでうっとり眺めてしまいます。
ストーリーはわりと淡々と進んでいきますが、静かな間が怖すぎてスリリング。演出も上手いですね。
おすすめ度 | 80% |
世界観 | 90% |
ストーリー | 70% |
IMDb(海外レビューサイト) | 5.8(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 78% 一般の視聴者 93% |
※以下、ホラー映画『ブラックサン』のストーリーネタバレありなので注意してください!
ホラー映画『ブラックサン』ネタバレラスト結末解説
黒い太陽を見つめるナルシス
ナルシサは激しい幻覚や、気色の悪い夢に苛まれる。
孤児のロサが「女の子の霊がいる」と言う。ナルシサの部屋にある首吊りの落書き(ハングドマン)に線を描き足すと霊が現れるという。
ナルシサはロサと一緒に線を描き足した。
するとロサに異変が起こる。ロサがいなくなったと思ったら、彼女は懺悔室で首を吊られて死んでいた。
ロサの葬式は日食の日だった。ナルシサは大地にひざまずいて黒い太陽を見つめ続ける。目は焼けただれ、気を失った。
ラスト結末:修道女の復讐!
ナルシサは目を覚ます。
視力はほとんどなかったが、シスター・ソコロの過去が見えた。
シスター・ソコロは戦時中に修道院にやってきた兵士に強姦されて妊娠。女児を出産するも、修道院はその事実を隠したかったのでソコロから離して育てた。ソコロは正気を失ったとして隔離された。
ある日、病気だったソコロの娘は病院に連れていってもらえずに風呂の中で死亡。
部屋に閉じ込められていたソコロは絶望して首吊り自殺をした。
ナルシサはソコロと同調し、過去の時間軸へ。過去にソコロが閉じ込められた部屋の扉を開け放つ。
解き放たれたソコロの亡霊は、過去の世界線で娘の死に関わったシスターたちを殺害。現在のシスターたちは過去とシンクロして死亡した。
そして数十年後の1991年。ナルシサは老婆になり、シスター・デスと呼ばれていた。
ナルシサは学校を訪問し、ベロニカ(映画『エクリプス(2017)』のヒロイン)と出会う。
Netflix『ブラックサン』ネタバレ感想・評価レビュー
倫理的に気持ち悪すぎる秀作!
目を覆うようなスプラッターまではいかないんですけど、ナルシサが日食を見て目が焼けただれて血を流すシーンなど、とにかく生々しさと痛々しさがすごかった。
視聴しながら神経がすり減りました。
また、シスター・ソコロが戦時中に強姦されて娘を産み、シスターたちがその存在を隠そうとして病気なのに病院へ行かせずバスタブで死亡させてしまった過去の秘密など、倫理的に最悪なストーリーも印象的でした。
ヒロインが自分の体を鞭打ちする修行からも、宗教の気持ち悪い面が浮き彫りになっていました(昔は修道女が鞭打ちの苦行を行っていた記録があるようです)
さらに修道女や孤児たちの幻想的な映像も魅力。
風呂で頭から血を流す少女…最悪の光景ですがどこか美しくもあり、さすが芸術大国スペインだと思いました。
映像は被写界深度が浅いのもそうですが、被写体が完全に二重に見えるシーンも多くありました。
写し方なのか特殊なレンズを使っているのかちょっとわかりませんが、現実か幻覚かわからないような映像の数々を堪能できました。
ホラー映画『ブラックサン』考察(ネタバレ)
ラストの意味
ラストはシスター・ソコロの亡霊が時間を超えて復讐を果たしたというもの。「幽霊は時間の概念を超えて行動できる!」みたいな設定なのかもしれませんね。
主人公・ナルシサは、日食の黒い太陽=ブラックサンで目を潰し、視力と引きかえに能力を得られたのでしょう。
その能力でソコロの過去を見て、呪いを解き放ったのです。
ソコロが孤児のロサを殺したりしたのも、ナルシサの能力を目覚めさせるためだったのだと思います。
目玉が象徴するもの!
ナルシサは夢で口から目玉を出したり、懺悔室では無数の目玉を見たり、太陽を見て目玉が焼けただれたりと、全体的に目玉押しの映像が多かったですよね。
これらはナルシサが視力を失うことを伏線的に暗示していました。
また、序盤でナルシサは「自分は見たいものだけを見ていたかもしれない。聖少女と言われた時期に自分が見たものがマリア様でなかったら?」と懺悔室で信仰への疑問を投げかけていました。
その問いに対してのアンサーとして、見えなくても聖なる力を感じ取ることができる結末となったのでしょう。
最後のまとめ
Netflix配信のスペインホラー『ブラックサン』は、信仰に揺れる聖女の視点で修道院で起きた忌まわしい出来事を暴いた良作でした。
ジャンプスケアなエンタメホラーではなかったかもしれませんが、芸術性も高く、倫理的な気持ち悪さもあり、個人的には大満足でした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。映画『ブラックサン』レビュー終わり!
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