映画『トラップ』ネタバレ・ラスト結末の解説
主人公・クーパー(ジョシュ ハートネット)の正体こそが連続殺人鬼・ブッチャーだった。クーパーはライブ会場からどうやって抜け出そうか頭をフル回転させながら会場を動き回る。
クーパーは会場スタッフのジェイミーのところへ行き、頼んでいたTシャツの在庫を受け取る。その際にブッチャーを捕まえるための情報を聞き出した。
ジェイミーによると、監視をまぬがれるのはアーティスト/レディ・レイヴン用の通路だけだということだった。さらに事前の講習でスタッフ全員が警察に呼び止められたときの暗号が与えられており、ジェイミーの暗号はハミルトンだという。
クーパーはジェイミーから盗んだパスカードでスタッフ専用の部屋へ。そこには機動隊・SWATのメンバーが集められていた。クーパーはスタッフのふりをして平然とふる舞い、無線トランシーバーを盗む。プロファイラー(犯罪分析官)の初老の女性が指示を出していた。
休憩中にクーパーは酔った女性を階段から突き落として警備を動揺させ、警察の動きを確かめたりした。さらにフライ用の油の中にビンを入れて爆発させる。女性スタッフが熱された油を被って叫んでいる間に他のスタッフのエプロンを取り、屋上へ抜け出す。しかしそこにもSWATのメンバーがいた。暗号を聞かれたクーパーはハミルトンだと答えるが、カードも見せろと言われる。エプロンにスタッフの財布があり中にカードが入っていたのでそれを見せる。
ライブ会場に戻ったクーパーは娘のライリーが「レディ・レイヴンの夢見る少女に選ばれないかな!」と目を輝かせているのを見る。レイヴンは毎回客席から1人をステージにあげて一緒に踊るのだ。
クーパーは近くにいるスタッフ(M・ナイト・シャマラン監督)に声をかける。そのスタッフはレイヴンの叔父らしい。クーパーは娘が白血病から生還した…と嘘をついた。スタッフは夢見る少女に選んであげると言った。
クーパーとライリーはステージ裏側に通される。ライリーが呼ばれ、ステージで踊る。
ライブ終了後、クーパーはスタッフに頼んでアーティストスタッフ用の裏口から外に出ようとする。しかしそこにも警察がたくさんいた。
クーパーはレイヴンを見つけて話があると言って個室に呼び出し、スマホを見せる。レイヴンは監禁される男性が映っているのを見て驚いた。
クーパーは「俺がブッチャーだ。お前のリムジンに乗せろ。さもなければスマホのボタンを押して監禁されている男性・スペンサーの近くで一酸化炭素を放出させて彼を殺す。助けられるのはお前だけだ。警察に連絡するそぶりを見せてもボタンを押す」。と言う。
レイヴンは仕方なくクーパーとライリーをリムジンに乗せる。レイヴンはなんとかスペンサーを救うために「ライリーの家が見てみたい」と言う。リムジンはクーパーの家にやってきた。
クーパーの妻・レイチェルと息子のローガンを紹介する。レイヴンは家に入り、ライリーを横に座らせてピアノで弾き語る。クーパーがそれを撮影した隙を狙ってスマホを奪い、トイレに駆け込む。トイレのドアをノックして「開けろ」と叫ぶクーパー。クーパーを止める家族。
レイヴンはクーパーのスマホから監視カメラを通じてスペンサーに連絡を取り、監禁されている家の目印を聞き出す。近所に壊れたライオンの像があるらしい。レイヴンはSNSライブでファンたちに「監禁されている人を助けて」と呼びかけ目印を話す。近所に住むファンの家族がスペンサーを救い出すことに成功。
クーパーは家族を部屋に閉じ込め、ドアを開けたレイヴンを車に乗せる。しかし目の前にレイチェルたち家族が現れた。警察も周囲を取り囲む。
クーパーは家に戻り、こっそり掘ってあった地下トンネルから抜け出してSWATの1人を倒してなりすまし、レイヴンのリムジンを運転する。レイヴンはしばらくしてから運転しているのがクーパーだと知り、車から脱出した。
夜、クーパーは家に戻り、妻・レイチェルに迫りくる。
レイチェルは少し前にクーパーの服から薬剤のにおいがするのを不審に思って尾行してアジトを見つけ、警察がそのアジトでレイヴンのコンサートチケットのレシートを発見するように仕向けたのだ。それがきっかけでライブ会場でブッチャーに罠を仕掛ける作戦が展開されたのだった。(レイチェルはクーパーが殺人鬼だと確信は持てず、匿名で連絡して警察に委ねる形にした)。
クーパーはレイチェルのせいでもう子供たちに会えなくなると激怒し彼女を殺そうとする。しかしレイチェルが食べさせたパイの中に麻痺剤が入っており、クーパーは意識朦朧とする。
クーパーは母親の幻影を見て「こっちに来なさい!」と言う声を聞く、警察にテーザー銃で感電させられて捕まった。護送車に入れられる前に最後に娘のライリーと抱き合った。
護送車に乗せられたクーパーは自転車のパーツ(庭の倒れた自転車をなおしたときに細長のパーツを取った)を取り出して手錠をといて笑う。
映画『トラップ/Trap』終わり
エンドロールの意味
エンドロールではブッチャーの正体がクーパーだと判明したとのニュースを見て驚く会場スタッフ・ジェイミーの様子が映し出される。
ニュースは「クーパーだと判明した!」だけで「逮捕された」とは言っていなかった。クーパーは逃走したのだろう。
罠が仕掛けられた会場=クーパーの無意識
罠が仕掛けられたライブ会場自体がクーパーの深層心理のメタファーになっている。
クーパーには実の母親に叱られて見限られたトラウマがある。クーパーには少年期から異常な性質があっというが、母親がそれを叱って矯正しようとしていたのだろう。
ライブ会場にいた白髪の老女は存在しないが老女=母であり、クーパーが何か異常な行動をするたびに母の超自我が出現していた示唆だろう。(※超自我とは、無意識の欲望を監視する心の装置のこと)
さらにFBIのプロファイラーも現実的な超自我として機能している。
なぜクーパーが抜け出す展開がクドいほど続いたのか?その理由も、無意識下の欲望が母の超自我を抜け出す過程が何度も繰り返される人間の普遍性を描いたからだと考えられる。
つまり『トラップ』は誰もが心の奥底に持つ欲望が母の呪縛から解放されて自由になる映画なのだ。
次のページではタイトル「Trap」のAやオープニングのアルファベットが欠けている意味について解説↓↓
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