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Smells Like Maniac 第5話 共鳴 其の2〜カルロ編〜

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Smells Like Maniac 第5話 共鳴 其の2〜カルロ編〜

第5話〜カルロ編〜

 カルロは自室に戻って考えた。アレハンドロがシアタールームをチェックしたときにジェームズとその横にあった書き置きを見つけ、全員の安否を確かめる過程でソフィアの死体も見つかった。10時半に来た清掃員たちには適当な事情を話して帰した。殺された二人はそれなりの理由があったのだろう。しかし重要なのはそこではない。アンと自分の身を守るためにも、犯人が誰なのか想定しておかなければ。殺人が起こったときホテルに泊まっていたアレハンドロ、シェフの・ジャン、従業員の マーシーは恐らく犯人ではないだろう。全員2〜3年は勤めているし、素性もよく知っている。やはり宿泊客の中に暗殺者がいるのだ。カルロの勘は、イドリスかクリスが犯人だろうといっている。特にイドリスは年の割に体つきがガッチリしている。

死体には争ったりもがいたりした形跡が殆どなかった。殺し方を熟知しているプロの暗殺者による可能性が高い。裏社会の揉め事が絡んでいるのだろうか。なぜカルロのホテルが犯行場所に選ばれたのか、気になった。偶然ならまだ気持ちは楽だが、カルロに対する何らかの脅しの意味もあるなら最悪だ。売買してきた土地の件での揉め事はひとつやふたつではない。しかしそれは今に始まったことでもない。裏社会から恨みを買うような問題は、最近は起きていないはずだ。

カルロはこのホテルを作った経緯を思い出した。50歳を過ぎて、不動産などの事業で儲けを出すことに価値が見出せなくなり、第二の人生を歩むためにこのホワイトブロウを買ったのだ。円をバキッと半分に折ったようなシンプルな外観がとても気に入ったし、ベイルの町から離れている立地も気に入った。趣味のハンティングをするにも最適だ。湖では大きなマスも釣れる。土地や建物の売買ではトラブルがつきものなので、ホワイトブロウを買う前にもこの建物ができた経緯について詳細に下調べをした。どこかの富豪が1940年代に建てたものらしい。その後、何回かオーナーが変わっている。特に注意するべき人物は関わっていないようだ。変わったところといえば、建物のデザインを手がけたのが イラクの出身だったことだ。現在では珍しくないが、当時の アメリカではなかなかなかっただろう。

カルロは407号室へ入りソファに腰を下ろした。葉巻に火をつけてソフィアを眺める。若い頃に、不動産絡みのトラブルで殺された人間を何度か見てきた。そのとき見たものと違って、この死体には憎しみや嫌悪感は全くない。アンより少しだけ年上に見えるソフィア。彼女は幸せな生涯を送ってきたのだろうか。ふとカルロは、アンの人生が幸せなのかを考えた。

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