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Smells Like Maniac 第5話 共鳴 其の1〜クリス編〜

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Smells Like Maniac 第5話 共鳴 其の1〜クリス編〜

バーテンが皆の カップにコーヒーと紅茶をなみなみと注ぎ、15時ごろから全員でラウンジに集まって話し合いが始まった。警察への証言を擦り合わせるためのものだ。いくつか深刻な問題がある。

「監視カメラの映像には何か映ってないのか。」イドリスがカルロに聞いた。

「俺とみんなは、犯人から恨みを買えば殺されるかもしれない 運命共同体だよな。だからこそ正直に話すが、このホテルには、違法賭博を楽しみに来る上客が何人もいるんだ。証拠を残さないために、カメラは設置してあるが起動させてない」

イドリスがカルロを睨みけた。

「誤解を恐れずにいえば、俺たちが証言を合わせるには、カメラに何も映ってない方が俄然都合がいいだろう」カルロが続ける。

「こ、この場面を動画で配信するのは、やっぱりダメかな?」

「おい、頼むから犯人は、何かあったらまずユーシュエンから殺してくれよ」ロバートとが皮肉っぽく言う。

ユーシュエンは中国系 アメリカ人で、ネットの動画配信でかなり儲けているらしい。莫大なアクセスが見込めるチャンスを、みすみす逃したくないのだろう。もっとも、そんなことをすれば自分の命と引き替えになるが。クリスはそんなことを考えながら口を開いた。

「16日まで時間がある。警察が死体を鑑定すれば、14日の午前に死んだことわかるだろう。ジェームズとソフィアが1日以上ずっと食事にも現れなかったのを誰も気に留めなかったのは、不自然じゃないか」

「ソフィアの部屋にはDo not disturb(入らないで)のカードを掛けておこう。何とか誤魔化せるだろう。宿泊中は必ずレストランで食事しなければならない決まりもない」カルロが言った。

「ジェームズはシアタールームにいたが、映画をセットした従業員がいたはずだろう」

「そうだな、彼はシアタールームに入って酒を飲んでいただけで、映画は観ていなかったことにしよう。スタッフはディスクを取っておいてくれ」ロバートが言い、カルロがバーテンに指示を出した。ジェームズは死ぬ前に何の映画を観ていたのだろう。

シアタールームの窓が開いているのも、外部犯を上手く匂わせられれば、さほど不自然ではないな、とクリスは思った。

クリスが問題を提示し、カルロやロバートを中心に意見を言う展開が続く。

「さて、じゃあ本題だ。警察の捜査の目を外部犯に向けるためにはどうすればいいか」

「考え方を間違えない方がいい。窓に傷をつけたり、犯人の痕跡を外の森に残したり、そんなことでは今の警察の目は絶対に誤魔化せない。本を書くために以前警察を取材したが、想像の何倍も緻密な捜査をしていると思った方がいい。映画のアホな警察像は完全に捨ててくれ」

「そうだな。何か小細工を弄するよりも、個人個人のアリバイ、動機のなさを警察にどう証言するか話し合って固めていこう。そうすれば暗殺者は外からやってきてホテルの中へは入らず、外階段やバルコニーを使って直接部屋へ行った線が浮かび上がるだろう」クリスは言った。

「とりあえずアレハンドロ、お前が1時間置きにホテル内を見回っていた。しかし、ホテル内で不振な動きをする人物は見かけなかった。そういうことにしよう」カルロがバーテンにその役を押し付ける。彼が嫌がっていないところをみると、だいぶ信頼関係が出来ているのだろう。アレハンドロという名前なのか。

「それだけじゃ確実じゃないから、各階のラウンジかどこかにそれぞれ複数居て、夜遅くまで何かしらしていたことにしましょう。宿泊客の中にソフィアの部屋の周辺でうろつく人物や、シアタールームに向かう人物が誰もいなかったと証言すればいいんじゃない」シャーリーが言った。

「少し大胆だがいいア イデアだ。警察もまさか見ず知らずの宿泊客たちが全員で偽証しているとは思わないだろう。一蓮托生ってやつだな」ロバートが言った。

「では14日深夜の配置を決めようか。頼むから金を賭けてポーカーをしたことは内緒にしてくれよ。無許可なんだ」カルロが言う。

「俺の部屋はソフィアと同じ4階だ。その階のラウンジで本の原案でも書いていたことにしよう。事実、部屋でその作業をしていたからパソコンにも履歴が残っている」ロバートが言った。

「わたしはクリスとバーでお酒でも飲んでいたことにするわ。夜遅くは入口からも誰も出入りしていないことにする」シャーリーが言う。

ケイトは4階のラウンジで読書、カルロとアンはそれぞれ自室で睡眠中。ユーシュエンとイドリスは3階のラウンジでパソコンを見て過ごしていたことになった。

「それにしても犯人はどうやってソフィアの部屋に入ったのかしら。鍵は掛かってたんでしょ」アンが従業員の マーシー方を向いて話す。

「アン、状況を考えてくれ。今俺たちは犯人探しのゲームをしているんじゃないんだ。この場で探偵ぶって犯人を特定しても、いいことは何も起こらないだろう。まるで違うゲームなんだよ」カルロがあきれ顔で念を押すように言った。

「最後にもうひとつ、他人の部屋に入るにはマスターキーが必要だろう。マスターキーが保管されていたことがある程度証明できるなら。内側から誰かが部屋に入るのは、例え全員の目を盗んだとしても困難になるな」クリスは言った。

カルロがマスターキーは昨夜金庫に入っていたかを マーシーに聞き、彼女は頷く。

昨夜の全員のアリバイと、マスターキーが使われた形跡がなければ、必然的に外部から直接部屋に侵入した線に警察の目が行くと、クリスは思った。

「捜査に対する大筋は決まったし、夕食は7時半まで一旦解散にしよう」カルロが手を叩いて言った。

みんな、自ずと単独行動は避けるようになっていたが、結局は暗殺者が誰かわからなければ一人で鍵をかけて部屋に籠っている方が安全だ。ただ、クリスはまったくそんな気分にはならなかった。

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