映画『リボルバー・リリー』酷評ポイント!
おままごとみたいな撃ち合い
ヒロインの綾瀬はるか(小曾根百合)が陸軍相手に無双するのはいいとしても、なぜ彼女に弾が当たらないのか?理屈がまったくわからない。
百合は軍隊に正面から向かっていく。彼女を狙う銃口は何十、隠れる場所もない。しかし弾が当たるのは数回…。誰がどう見てもおかしい。
大半の陸軍兵士は銃を構えるだけで撃たない、そして銃のスキルは女子学生レベル。この2つが組み合わさることによって成立した奇跡によって綾瀬はるかが守られていた。
森の中とか、建物の中とか、隠れる場所が多いならまだ納得できるが、百合は普通の平地で正面から軍勢に向かっていく。百合の行動からして明らかにプロフェッショナルではない。
あとは片手で肘を伸ばして銃を撃つのも、綾瀬はるか映えのための演出に見える。腕を伸ばし切らないほうが早撃ちとかしやすそうだけど…。
また、お隣の韓国と比べるのは賛否あるかもしれないが、韓国の場合は徴兵があるので銃の扱い方や銃撃戦の知識を一般の人も知っている状態。当然、制作陣やスタッフも銃や格闘技に多少詳しい状態。
逆に日本は銃激戦のリアルについて全く無知な平和ボケ状態。これが『リボルバー・リリー』のアクションがひどい根幹にある気もする。
コミュニケーションなきアクション
『リボルバー・リリー』は、アクションがコミュニケーションになっていないのが致命的だと思った。
『ジョン・ウィック4』を見てほしい。自分が動くから相手がどう動くというのが論理的に表現されている。まるで敵と味方がアクションで会話しているかのようだ。
逆に『リボルバー・リリー』は、百合の弾はバンバン相手に当たる。陸軍の弾は百合に当たらない。百合だけが独りよがりに喋っているようにしか見えない。会話やコミュニケーションになっていないのだ。
重みがない格闘
百合と南始(清水尋也)が格闘するシーン。仕方ないかもしれないけど、打撃に重みがなくてリアリティがない。合気道系の技も使って説得力を出そうとしているのはわかるけど、格闘技をやったことがあって格闘技を見るのが自分からすると全然面白くない(逆に『ジョン・ウィック』とかの場合は、ずっと格闘技の試合を見ているかのような高揚感がある。比べちゃいけないのはわかってるけど)。
格闘アクションのカットの割り方も臨場感がない。
南始(清水尋也)や老婆のキャラに説得力がない
執拗に百合をつけ狙う男・南始(清水尋也)。たぶん百合が見ている死神みたいな存在なんだろうけど、説得力がないため結局なんだかよくわからないまま終わる。反対に白い老婆は生きるエネルギーの象徴なのだろうか。
南始も老婆も意味不明なキャラクターで終わった印象。生や死のメタファーなら、もう少しその方向性を示してほしい。
狙われてるのに堂々と外歩くな
細見慎太は(演じたのは羽村仁成くん。『ゴールド・ボーイ』の彼の役柄は非常に良かった)、陸軍に狙われているにもかかわらず、琴子(古川琴音/『みなに幸あれ』みたいな雰囲気の映画の方が似合うな)と外を出歩いてあっさりヤクザに捕まる。百合とか岩見はなぜ外を出歩くな!と言っておかなかったのか?というか、琴子もラストバトルに参加するほどは強いのだから、ヤクザくらいどうにかできそうなものなのに…ツッコミどころが多すぎる映画である。
なぜ岩見が好き勝手行動して捕まらないのか
岩見(長谷川博己)は、海軍の山本五十六(阿部サダヲ)と直接交渉して慎太を保護してもらうことに。なぜ岩見だけが陸軍にマークされずに動き回れるのか?陸軍はそれほど情報収集能力がないのか。
そう考えると、全体的に陸軍の能力が低すぎるから成り立っている映画である。
陸軍が街中で銃撃戦?
陸軍が街中で百合のカフェを囲み、いきなり銃撃戦をはじめる。陸軍というよりはテロ組織に見える。しかも陸軍は店を取り囲んでいるのに防御のための盾などを使っていない様子。この街中の撃ち合いが1番ごっこ遊びに見えた。
原作をはしょりすぎた陳腐なストーリー
横領された大金をめぐって、なぜ陸軍が暴走しているのか説得力のある理由が一切ない。海軍と密談して金を折半したほうが良かったのでは?何度も言うけど、綾瀬はるかを引き立てるために日本陸軍のIQが幼稚園生並みになっている。
あとは、百合が細見の死の偽装に気づかなかったというのも無理がある。
またハードボイルドな作風なのに、味方に死者が1人もいないのが気になった。琴子か奈加(シシドカフカ)は死ぬと思ったけど…。みんな正面突破で生き残るから、本当にもう笑うしかない。