女性がメスの尊厳を踏みにじる/映画オクジャの皮肉な構造
研究施設で、肉体的にも精神的にも辛いオスのスーパーピッグによるレイプシーンが痛々しい。
そもそも食肉にするなら、交尾の必要はないはず。あえてそのシーンを入れたとしか思えない。
映画『オクジャ』では、 ミランダ社のCEOルーシーも女性だが、彼女がやっているのはメスの尊厳を踏みにじることではないか?
ポン・ジュノ監督が意図していたかは不明だが、この視点は強烈だ。
根底に、そんな物議をかもすような皮肉のテーマがあったからかもしれない。
果たしてALFは正義か?
『オクジャ』で答えが出なかったのは、ALF(動物解放戦線)は正義かどうか問題。
中心にいたス ティーヴン・ユァン演じるケイはコミックリリーフ的な役割も担っていたので、正義として描かれていたようには思えない。
最後ALFに入るメンバーが増えて、いろいろな主張を持った若者が活動を続けていくのは素晴らしいような気もするが、彼らが何かを変えていけるのかは疑問。
企業が動物を虐待していることはわかっても食肉文化と資本主義がある限り、根本的な解決は難しいだろう。
ちなみに動物解放戦線ALFは実在する組織で、放火や盗みなど非合法な運動を行ってきた。
キューブリック風の左右対称・寒色,対比がすごい
余談だけど、『オクジャ』では、 ミランダ社の施設などが、左右対称で寒色のシーンが多かった。 スタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』や『シャイニング』、『 フルメタルジャケット』を想起させる。
逆にミジャには暖色を使っていて、対比が素晴らしいと感じた。
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