Netflix映画『私は世界一幸運よ』(Luckiest Girl Alive)は、結婚を機に過去のトラウマと向き合う女性のリアルな心情を描いた物語!
作品情報・キャスト・あらすじ・見どころ、ぶっちゃけ感想・主人公のキャラクター評価、本作のメッセージ考察を知りたい人向けに徹底レビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
作品についての視聴者・口コミアンケートも投票お願いします↓
Netflix映画『私は世界一幸運よ』作品情報・キャスト
原題:『Luckiest Girl Alive』
ジャンル:ヒューマンドラマ、社会問題、銃規制、性被害
監督:マイク・バーカー
脚本:ジェシカ・ノール
原作:ジェシカ・ノール小説「Luckiest Girl Alive/幸運なんてわたしはいらない」(2015)
出演者:ミラ・クニス、フィン・ウィットロック、コニー・ブリットン、ジャスティン・ルーペ
原作者のジェシカ・ノールが脚本も務めています。
小説はフィクションで、本作もフィクションという位置付けですが、彼女の人生に実際に起こったこと・経験したことが反映されていると自伝で明らかになっています。
通りで心理描写やシュチュエーションが非常にリアル。凄まじいほどの問題提起の力を持った作品です。
英語タイトルのLuckiest Girl Aliveは、“最高にラッキーな生存者”と訳せます。
主人公を襲った出来事に対する皮肉に加え、結末まで包括する二重の意味が込められているのでしょう。
キャスト:ミラ・クニス
©︎Netflix
主人公のアーニーを演じたのはミラ・クニス。『ブラック・スワン』や『テッド/TED』、『バッドママ』シリーズで知っている人が多いのではないでしょうか。
私は『ファミリーガイ』というブラックコメディアニメの大ファンですが、そのメグ役の声優でもあります。
本作でミラはトラウマを抱えるキャリアウーマンを演じましたが、クールな美貌からの悲しみや激怒への表情変化が素晴らしかったです。
あらすじ(ネタバレなし)
女性誌のライターとして性的なトピックを書き続けるアーニー・ファネーリ(ミラ・クニス)は、数週間後に結婚を控えていた。
相手のルーク・ハリソンは金持ちで家柄もよく、まさに完璧な夫だ。
アーニーには高校生のときに銃乱射事件で生き残った過去があり、トラウマを抱えていた。
銃乱射事件のドキュメンタリーが撮影されることになり、アーニーは監督から“生還者”として出演を熱望されている。
その銃乱射事件で車椅子になり、現在は銃規制活動家として脚光を浴びているディーンが「アーニーが銃乱射に関わっていた」と話している。
アーニーは世間に事実を広めたいと熱望するが、過去のトラウマに向き合うのは想像以上に過酷な作業だった…。
ネタバレなし感想・海外評価
観ていて面白いというより、ひたすら辛いタイプの作品です。
似たテーマを持つ『プロミシング・ヤング・ウーマン』のような二転三転するおもしろさはなく、冒頭や独白以外はシリアスなテイストです。
性被害のリアルな描写もあるので注意してください。
アナ・デ・アルマスがマリリン・モンローを演じた『ブロンド』もそうですが、最近のNetflixは性被害をテーマにしたものが多いですね。
実話が反映されていることもあり、女性の性被害の現実・問題提起という面では傑出したものがあります。
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おすすめ度 | 70% |
性被害への問題提起 | 97% |
ストーリー | 72% |
IMDb(海外レビューサイト) | 6.5(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 44% 一般の視聴者 73% |
メタスコア(Metacritic) | 54点(100点中) |
※以下、映画『私は世界一幸運よ』のストーリーネタバレありなので注意してください!
Netflix『私は世界一幸運よ』ネタバレ感想・評価
冒頭では主人公アーニーがナイフで人を刺す妄想をするなど結構ぶっ飛んでおり、過去のトラウマを探るサスペンスかと思いきや、高校の頃にレイプされた苦しみが徐々に明らかになっていく内容です。
考察(ネタバレ)
共感が救いに
映画『私は世界一幸運よ』のメッセージは性被害に遭った辛い過去は変えられないけど、共感してくれる人が多くいれば救いになる!でした。
アーニーがNYタイムズ誌に掲載したエッセイは大反響を呼び、多くの女性が自分1人で抱え込まずにネットで発信するようになります。
ひとつひとつの発信でまた救われる人が増えることでしょう。
トラウマに対処する現実的な方法として“忘却”があると思います。
しかしそは決して解決ではありません。
経験を共有するネットワークで誰かが救われることもあるのです。
完全な解決ではないですが、少なくとも心を軽くすることはできるでしょう。
告発しずらい社会
本作では性被害の告発の難しさや、犠牲になるものを現実的に描いていました。
被害の告発は自分や加害者の生活だけでなく、社会にまで影響を及ぼしてしまうのです。
高校生のときにパーティーでアーニーをレイプしたディーンは、現在は銃規制活動の第一人者という社会に欠かせない人物になっています。
告発でディーンが社会的立場や家族を失うのは自業自得といえます。しかし彼が関わっていた銃規制活動にまで影響が出てしまうわけです。
似たケースでは2011〜2021年までニューヨーク州知事を務めたアンドリュー・クオモ前知事の問題があるでしょう。コロナ対応などで称賛されましたが、セクハラを告発されて辞職しています。
クオモ氏が失墜するべきだったかどうかはわかりませんが、社会的に良い影響を与えていた人物を告発することで、別の面で損をこうむる人が出てくる構造があるわけです。
アーニーが抱えていたジレンマもこれでしょう。銃規制活動家のディーンを告発すれば、必死の思いで一緒に活動を前に進めてきた人々にも影響が出ることは避けられません。ディーンには罪があるとしても、彼と一緒に活動していた人たちは、悪いことは何もしてないのに立場が弱まるわけです。
さらに、相手が立場のある人間だった場合告発した被害者のほうが狂言扱いされてしまう最悪なパターンもありえます。
特に性被害は明確な証拠があることの方が少ないので、告発したものの意図せず誹謗中傷を受けてしまうことが多いです。アーニーもこのパターンでした。
日本でもフリージャーナリストで性的暴行の被害に遭った伊藤詩織さんが、「自分で誘ったのでは?」などネットでひどい書き込みをされているのが顕著な例でしょう。
現実社会でも告発で犠牲になるものが大き過ぎると考えた結果、事実を闇に葬り去ってしまう被害者が多いのではないでしょうか。
『私は世界一幸運よ』からは、そんな問題提起が感じられました。
最後のまとめ
映画『私は世界一幸運よ』は、映画として面白いかどうかはさておき、性的暴行の被害者の実態をヴィヴィットに描き出したという意味で価値のある作品でした。
こういった映画で潜在的な加害者の意識が少しでも変化すれば幸いですね。
ここまで読んでいただきありがとうございます。『私は世界一幸運よ』レビュー終わり!
2022年10月配信ネトフリ映画
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