ジャニーズ事務所の問題でメディアが取り上げない最悪な構造,日本のマスコミに正義は不可能,クロスオーナーシップ

  • 2023年9月26日

連日ネットを賑わせるジャニーズ事務所の故・ジャニー喜多川の性的虐待問題。

過去に裁判で性的虐待の事実が認められたにもかかわらず、なぜBBCがドキュメンタリーを放送するまで日本のメディアはこの問題を取り上げなかったのか?

忖度だけじゃない。日本のメディア・マスコミにおけるシステム的な問題点を指摘したい。

ジャニーズ事務所問題の解決はクロスオーナーシップの見直し以外にない

1つの問題が起こった後は、メタ的な視点で根本的な問題まで解決しないとまた同じことが起こる。

BBCのドキュメンタリーや国連の声明であわてているジャニーズ事務所と日本のマスコミ、スポンサーだが、このままでは併せて解決できるはずの様々な問題を見落とすことになるだろう。

ジャニー喜多川の性的虐待問題→性的加害を隠蔽してきたジャニーズ事務所の問題→あえて報道をしなかったメディア・マスコミの問題。そして問題の1番外側にあるのが、クロスオーナーシップに関する問題だ。

結論からいうと、日本でも欧米と同じようにクロスオーナーシップに対する規制を強化すべきだ。

クロスオーナーシップとは、新聞社がTV局やラジオ局に資本参加することを指す。アメリカやドイツなど欧米では厳格な規制がなされている。

日本では読売新聞が日本テレビの株を所有していたり、朝日新聞がテレビ朝日の株を所有していたりする。

欧米では完全にタブーな構造がまかり通っているのだ。

なぜタブーなのかの理由は簡単。特定の企業によって大衆向けのメディアが寡占状態になれば、言論の操作が可能になり、戦争などの極端な選択へ向かう危険性が高まるからだ。

ジャニーズ事務所の問題については、完全に癒着しているTV局はもちろん新聞社も「TV局がジャニーズに忖度している!」という記事を書けない

クロスオーナーシップの許容は、メディアが相互監視できない、チェック機能がない欠陥システムの許容と言ってよいだろう。

国民の情報源である大手のTV局と新聞社がジャニーズと利益を共有するポジションであれば、ジャニー喜多川に好意的な内容のニュースが多くなり、性加害の報道が埋もれてしまうのは必然だ。

ジャニー喜多川の性的加害が問題にならなかった理由、そして隠蔽してきたジャニーズ事務所を放置していた問題は、報道の正義や倫理よりシステムの問題が大きい

TV局の人間、キャスターや記者たちが黙殺してきたことに対して倫理観が問われているが、特定の会社に所属している、または恩恵を受けている個人が声を上げるのは極めて難しい。

そして声をあげたとしてもジャニーズ関連の好意的な報道に埋もれてしまう。

ジャニーズ事務所の存続や解体の問題、被害者救済はもちろん、日本のシステムにおける構造的な問題と捉え直した方がいいだろう。

でないと、他にも現在進行中の「人類史上最も愚かな事件」に気づくことができない。

ジャニーズの件に関して、メディアはクロスオーナーシップの規制、もしくはマスメディア集中排除原則の強化を訴える声はかなり少ないと思う。根本的な問題であるにも関わらずだ。

クロスオーナーシップの規制をおおっぴらに報道できない理由は、メディアがジャニーズ事務所の問題を扱えなかった構造と類似している。

少なくとも雇われているメディア側の人間が自社を解体するような言論を積極的に発信できるわけがない。

あなたが会社員だとして、「市民の利益に反するから会社の利益を少なくしてでも自社を複数に解体しよう」などと言えるだろうか?

大手メディアができないなら、独立系の媒体か私のような個人で情報を発信する束縛なき人々が世論を変えなくてはならない。

クロスオーナーシップのような権力構造が徐々に解体されていけば、日本社会はよりよくなるだろう。