『室井慎次 生き続ける者』ネタバレ・ラスト結末
警察で桜章太郎(警視庁捜査一課/松下洸平)と監視カメラを見る室井。杏(あん|福本莉子)が出てきた後で火が燃え上がっている。桜は室井に家族のことだから黙認すると仄めかした。
室井は杏を問い詰めたりはしなかった。しかし杏に猟銃を撃たせ、本当の暴力がどういうことか、恐怖を身をもって教えた。
杏も室井の情の厚さを感じるようになっていった。
室井は病院で狭心症の疑いがあると薬を処方された。しかし子供たちには言わなかった。
新城賢太郎(秋田県警察本部長/筧利夫)は、秋田で室井が構想した警察改革を実現すると言った。
貴仁(タカ/齋藤潤)は高校で好きな女の子・大川紗耶香(丹生明里)に家に遊びに来ないか?と誘う。しかしお父さんが家には行くなと言っていたと断られる。タカは風呂で泣いた。凜久(リク|前山くうが&前山こうが)がそれを見て不思議に思う。
そんな中、リクの父親・柳町明楽(加藤浩次)が出所して室井の家にやってきた。リクは「お父さん!」と言って父親にすり寄る。しかし父親が帰ってからは恐怖に怯え、夜はおねしょをした。
児童相談所は父親の改心した様子を見て、室井に凜久を引き渡すように言う。
室井は父親に二度とリクに暴力をふるうなと約束させた。室井はリクを送り出す。タカと杏はリクが乗った車を追いかけたが行ってしまった。
タカは警察になるために必死に受験勉強をしてリクがいなくなった寂しさを紛らわそうとしている。
しかし、リクはボロボロで薄汚れた状態で室井の家に戻ってくる。父親が暴力を振るったのだ。
翌日、父親の柳町が家にやってくる。室井が体を張って止める。杏が猟銃を柳町に向けるが、銃はあさっての方向に発射された。
交番勤務の乃木真守(矢本悠馬)がやってきて柳町を逮捕する。
しかし、銃声に驚いたのか犬のしんぺいが遠くへ逃げてしまう。室井はしんぺいを追って吹雪の中へ。
警察や地域住民が必死に捜索する。しんぺいのそばで心肺停止の室井が発見される。
室井は死亡。いろんな人が家の椅子に花をそえにきた。新城は警察改革書に室井モデルと書き、椅子に供える。
タカ、リク、杏はかつて酔っ払った室井が話したように、この家を恵まれない境遇の子供たちの憩いの場にしようと考える。
青島(織田裕二)が室井の家にやってくるが、電話が来て引き返していく。事件が起こったようだ。
『室井慎次 生き続ける者』終わり
『室井慎次 生き続ける者』考察1:ラストの本当の意味:青島が引き返した理由
室井慎次が犬のしんぺいを追って吹雪の中で死亡してしまうラストの意味について。
これは室井慎次という人物を象徴する最後だったと考える。
室井は警察内部でも湾岸署の末端の人間を大切にした。そして警察改革を諦めて秋田に帰っても、被害者や加害者家族という末端の人間(スポットが当たらない犠牲者)を大切にした。
そして犬のしんぺいについても、常識的には人間の下に属する末端である。しかし室井はそのしんぺいすら命を賭けて守った。
「自分は会議室の人間だったけど、現場の人間を命に変えても守ろうとする覚悟があった」という室井の覚悟を証明したラストだったのではないか。室井の中で青島との約束が生き続けていることの証明であり、会議室の人間も身を賭して現場の人間と協力することが室井がやりたかったことなのだと思う。最後の最後でそれが達成されたように見えた。
ストーリーの流れからすると死は少し強引で、何も死ななくても…と思ってしまうが、過去の映画シリーズで刺された青島や、撃たれた恩田すみれに対してのアンサーだと考えると納得ができる。
『室井慎次 生き続ける者』では大きな事件は起こらなかったが、室井慎次のスピリットが表現されたという意味では間違いなく踊る捜査線のテーマと約束を継承している作品だ。
ラストシーンで青島が室井の家に上がらずに電話を受けて引き返して行ったことも(もちろん上から呼び戻されたというのもあるが)、天国にいる室井からの「お前にはまだやることがある」というメッセージだろう。
考察2:池の死体と日向真奈美の関係
室井の家の池向いに埋まっていた瀬川の死体については、レインボーブリッジで同じ犯罪グループだった国見が日向真奈美に洗脳されて行ったことのようだ。
国見も瀬川も日向真奈美の大ファンで、文通で洗脳されてしまった可能性があるという。
日向真奈美がなぜそんなことを仕向けたかというと、秋田で幸せに暮らしている室井が許せなかったから。刑務所にいる日向はその情報をどこでつかんだのか?
国見が教えた可能性もあるが、警察内部に日向真奈美に洗脳されている人物がいる方がしっくりくる。
次のページでは、杏と室井の絆が示したもの、杏の父親についての考察をしていく↓↓
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