6人の嘘つきな大学生のストーリーを最後まで解説。
映画『六人の嘘つきな大学生』ネタバレ・ラスト結末解説
波多野祥吾(赤楚衛二)は、封筒を開ければ仕掛けたやつの思う壺だ!という。しかし、野球部での過去をバラされて投票が集まらなくなった袴田亮(西垣匠)は、全員の封筒を開けろ!と叫ぶ。
矢代つばさ(山下美月)の悪事は、ファミレスで働いていると嘘をついてキャバクラでバイトをしていることだった。会社の人事がこんな手の込んだ暴露を仕掛けていると考えて激怒する矢代。
九賀蒼太(佐野勇斗)の罪は大学で彼女に妊娠と中絶をさせたことだった。
森久保公彦(倉悠貴)の罪は、老人を騙す詐欺に加担していたことだった。
暴露されたメンバーに投票は集まらなくなった。
嶌衣織(浜辺美波)は部屋で回っているビデオカメラをチェックしようと提案。すると最初に部屋に入った森久保が封筒を置いていたことが判明した。森久保は、封筒は家に送られてきて会議室に置くように指示が添えられていたと話すが、みんなは信用しない。森久保が犯人ということになり、彼に得票は集まらなくなった。
波多野は、異様な雰囲気に異をとなえ、みんな一緒に支え合ってきた仲間じゃないか!と熱弁する。それに感化されたメンバーがみんな波多野に投票し出した。
しかし、九賀は封筒に入っていた暴露写真の右上にノイズ、左下に黒い点がついていることから、同じカメラで撮影されたと突き止める。さらに森久保が、家のポストにあったという封筒のメッセージ(会議室に置け)をみせ、彼が真犯人ではないとわかる。
そして、それぞれの暴露写真が撮られたのが4月20日であることが発覚。その日に予定のなかった波多野が真犯人ではないか?となった。衣織を含め全員が波多野が犯人だという多数決で手をあげた。
波多野の暴露の内容も、未成年飲酒をしているだけの比較的内容の軽いものだった。怪しい。
ショックを受けた波多野は、その場で「受かりたくてみんなの悪事を調べた。でも衣織の悪事は見つからなかった」と自白する。全員が激怒した。
投票で内定者は衣織に決定する。
8年後。
スピラリンクスで働く衣織のもとへ波多野の妹がやってくる。波多野は先月癌で死亡したという。そして犯人、衣織宛という手紙を見つけ、あの時の面接で封筒を仕掛けたのが衣織ではないか?と問い詰めてきた。USBも添えられている。パスワードは「犯人が愛したもの」と設定されているがわからない。
衣織は8年前のディスカッションの映像を見返した。そして森久保と矢代が封筒から何かを取り出してポケットに隠していたことを発見する。
衣織は波多野以外の4人をスピラリンクスの面接室へ呼び出した。そして、暴露写真が撮られた4月20日の午後に1人で3人分の写真を撮るのは無理だ(場所が離れているため)と証明した。
衣織は、あの日ポケットに何を隠したのかと森久保と矢代に尋ねる。2人は、暴露写真の日付が4月20日だと証言しろと脅しのメモが入っていたと答える。あの写真を暴露されたら就活どころではないので仕方なく従ったという。
衣織は犯人は九賀だと断言する。波多野の暴露の飲酒写真から、お酒に詳しい人物ではないと推測し、酒が飲めない九賀だと判断したのだ。
九賀は、現在一緒に会社を立ち上げた大学時代のすごく優秀な先輩がスピラリンクスを受けて2次面接で落ちたことに納得がいかず、人事の無能さを暴くためにディスカッションで暴露を仕掛けた。外づらだけが良い6人を選ぶスピラリンクスの人事は無能だと思った。全員落ちればいいと思った。と告白。袴田や森久保が激怒する。
衣織は九賀の口癖「フェア(Fair)」のパスワードを入力。波多野が残した音声データが入っていた。
あの面接の後、波多野はみんなが憎くなり、それぞれの過去をさらに暴こうとして友人に話を聞きに行った。しかし、袴田は野球部内のいじめを報告したらいじめた人物が自殺してしまっただけだと判明。矢代がキャバクラで働いていたのは母を助けるため。森久保は詐欺グループに騙されそうになった友人を止めた。九賀が中絶させたのは彼女と話し合った結果だったと判明したと語る。
そして最終面接の前の日、衣織から「投票になったらお互いに入れよう」と提案されたことがショックだったと話す。波多野は衣織は小細工などしなくても内定に相応しいと考えていたからだ。
衣織は、私の封筒に書かれていた秘密を話して!と九賀に言う。九賀は今さらだと言った。みんながうなづく。そしてみんなは別れた。
衣織はスピラリンクスの面接官として凛とした表情で就活生にのぞむ。
考察:就活生と月
本作は、人間とは1面だけで語られるものではないというテーマだったと思う。波多野は就活生は綺麗な面だけ見せている月のようだと言っていた。月の裏は隕石によるクレーターでボコボコになっている。就活生は良い面だけ見せている月と一緒だ。
しかし、隠されていた面が悪いものだというのはSNSやネット社会でもよくある決めつけだ。隠された秘密も、それぞれの人格を形成する大事な要素なのだ。
良い面ばかりを見せろと強要される就活生に、そのままの自分を大切にしろという前向きなメッセージを送った映画だと感じた。衣織たちはそんなメッセージを継承して会社員としてやっていけるのではないか。